はじめに
今年は戦後80年。太平洋戦争を体験した方は少なくなり、その言葉を直接伺える機会は減ってきています。一方で、ウクライナ、ガザなど、世界では戦争状態が続き、日本を取り巻く環境も厳しくなってきています。この2つのことは、もしかしたら互いに関連しているのではないかー。この世界情勢は、戦争の愚かさ、悲惨さを、私たちが実感できなくなっているせいではないかー。そんな思いから、TBS/JNNでは「戦後80年プロジェクト つなぐ、つながる」をスタートさせます。
『JNNニュース(昼)』『Nスタ』『news23』『報道特集』『サンデーモーニング』といった報道番組内で、2025年1年間を通して、戦争を防ぐための教訓を未来につなぐ企画を毎月放送していきます。
またインターネット上では、Yahoo!ニュースと共同で「#きおくをつなごう」をスタートさせます。これは一般の方がお持ちの80年前の「きおく」を、2つの方法で、デジタル空間で共有していこうという試みです。
▼1つ目の方法は、視聴者の皆さんに祖父母らの戦争体験を聞いてもらい、その内容や感じたこと、見せてもらった写真などを、共通のハッシュタグ「#きおくをつなごう」をつけてSNSに投稿、共有していくというものです。今回はTBSのアナウンサーたちもこの企画に積極的に参加していきます。
▼2つ目の方法は、TBS/JNNが持つ80年前の映像・画像を公開。そこに映る人や物、場所といった具体的な情報を視聴者から直接寄せてもらうものです。
「戦後80年プロジェクト つなぐ、つながる」のテーマ曲は、坂本龍一さんの永遠の名曲「戦場のメリークリスマス」のピアノバージョン、「Merry Christmas Mr. Lawrence - version 2020」。2020年の12月12日に行われたオンラインコンサートで坂本さんがピアノ演奏した音源を、「つなぐ、つながる」プロジェクトのために自らミックスした曲です。
コメント
プロジェクトプロデューサー・延廣耕次郎
ひとつひとつの記憶をつなぎ、未来に向けて記録に残す。世代や場所を越えてつながり、「戦争のない世界」を追い求め続ける。そんなプロジェクトを目指し、TBS/JNNの総力をあげて取り組みます。
坂本龍一
坂本龍一さんは、プロジェクトに楽曲を提供するに際し、生前、2度にわたってコメントを寄せています。
<2021年>
戦争が起きてほしくない。
戦争は、自国、敵国の差なく、ただ若い兵士と無辜の民を傷つけ殺す。
なぜ戦争がなくならないのか。
なぜ戦争を起こそうとする人間がいるのか。
戦争で利益を得ることに倫理的に耐えられる人間がいるのか。
今も世界のあちらこちらで子供の上に爆弾が落とされている。
なぜ私たちは止められないのか。
<2022年…ウクライナ侵攻後に>
抑圧した側は一世代で忘れてしまうが、抑圧された側は七世代忘れない。
しかしよく考えると、抑圧した側が忘れてしまうというのも、
無責任なだけではなく、実は潜在的な罪の意識が働いているのだとも考えられる。
アメリカ人が原爆を落としたことを色々な理由で肯定したがるのも、
逆に言えばそれだけ罪の意識を感じているのだと思える。
そんな罪の意識や憎しみと共に生きなくともよい世界になればいいのだが。