インタビュー

星野源さん(津崎平匡役) Part.2

新垣結衣さんとの掛け合いについて

二人で演技についてのお話をしたり、掛け合いについての打ち合わせをしたことは一度もないんです。初日の撮影から既にこの感じでした。新垣さんは僕が気まぐれにリハーサルと違うアドリブをしても、ものすごい速さでのってくださるので、本当にすごい俳優さんだなぁと思います。5話の最後に瓦そばを作るシーンで、平匡が茹でたお蕎麦のお湯を流したときにメガネがくもるんですが、あれは台本に書いてあったわけではなく「くもれ!」とは思ったら本番で見事にくもってくれて、「前が見えません…」とつぶやいたら、みくりさんが自然にメガネを拭いてくれたんです。それは残念ながら本編には入っていなかったんですが…仲が良すぎに映ったのかもしれません(笑)。何の打ち合わせもしていなかったのに、動きや感情が自然と出てくる方なんだなと思いました。

『逃げ恥』がたくさんの人に愛された理由

『逃げ恥』は、そもそも原作がとてもおもしろいアイデアで成立していて、それを3次元の人間が演じる上で野木さんがさらにおもしろい台本にしてくださって、それを金子監督がすごく密に演出をつけてくださいます。このドラマは会話が主なので、画面が地味に映らないよう、金子監督だけじゃなく『逃げ恥』の監督3人はいつも「どう見せるか」とすごく考えて演出されています。細かい小ネタに関しても、小道具さん装飾さんたちが細かくこだわられていて。途中まではなかったのですが、黄色い「SUN」って書かれた缶バッチをセットに置いてくれたり、那須田さんはプロデューサーなのに「これをセットに置きたい!」って自らクマのぬいぐるみを持ってきたり(笑)、みんな情熱と愛があって、それぞれベストを尽くされているからなのではないでしょうか。

恋ダンスブームについて

すごいですよね!いわゆる社会現象みたいなブームのなかに自分の音楽があるというのはすごく幸せです。実は主題歌『恋』のシングルは、ドラマ放送よりも1週間はやくリリースされたんですが、それを聞いてくれた人が「じゃあドラマを観てみようかな」と思ってくれたり、曲のMVを見てくれた人がドラマも観てくれて、おもしろいと思ってもらえたり、恋ダンスが話題になってからは、恋ダンスを知った人がドラマを観て「おもしろい!」ってなってくれたり、ドラマで曲を聞いて「CD買いました!」と言ってくれたり…。タイアップって言葉だけだとすごくビジネスな感じがしてしまいますが、今回はそれぞれがそれぞれにいい影響を与え合う、本来の理想的なタイアップになっていて、素晴らしいなあと感じます。ドラマのエンディングでのダンスも、MV でダンサーの方が踊っていたフリと同じなので、「簡単にして流行らせよう」ではなく「このフリが面白い」と思って作って流行ったというのが素敵です。何かに合わせるんじゃなくて、本当に面白いものをつくっていいんだと、思いました。この現場に居られて本当に幸せです。

今まで津崎を演じてきて

漫画だと平匡のモノローグはあまりなくて、だから彼が何を考えているのかしばらくわからないのが印象的でしたが、野木さんの脚本ではモノローグが多めなので、最初から人間味がより強い気がします。硬かったものがほぐれていく…そうなっていく平匡を演じるのがすごく楽しいです。でも、きっと生まれ持った資質は後半の平匡なんでしょうね。たとえば結婚という突拍子もない提案をみくりはしますけど、突拍子もない決断をするのは彼なんです。たぶん元々感情が豊かなタイプの人だったけど、生きていく上で様々なことがあり、それがマスクされていたんじゃないかな…と。キスをしたのもそうだと思いますし。
みくりさんとの化学反応で彼の面白い部分が出てきたことで、またみくりさんにも影響を与えていくのではないでしょうか。そもそも、みくりさんが彼にすごくいい影響を与えてくれましたよね。本当に。平匡にとってみくりは、自分の呪いを解いてくれたヒーローなんだと思います。

みくりのベストOFかわいいシーン

2億5000個くらいあります(笑)!! でもあえて言うなら…カピバラをなでたい!って見ているみくりの感じはすごく可愛いと思いました。「なでたい!」って思っていたら平匡に見つかりそうになってささっと逃げていく姿…すごく楽しそうで(笑)。あと自分がハグしているときは、みくりさんの顔が見えないじゃないですか、だから「こんな表情してたんだ」って放送を観るたびに思います。キュンとしたシーンだったら、やはり新婚旅行帰りの電車です。原作を読んだときもキスのところで、今までで一番高い声がでました(笑)。なぜか台本を読んだとき、自然とみくり側の気持ちになっていて、だから急にキスされて「キスされたああ!!」って女の子の気持ちになりました。だって急にキスされたいじゃないですか!?「好きだな…でもこの想いは届かない」とか思っているときに急にキスされたいじゃないですか!女の子だったら(笑)!その感じが見事だったので、台本を読んだら思わず声が出てしまいました(笑)。

最終回への希望

8話では、はじめてちゃんと二人がちゃんと揉めるというか、思いを伝え合うというか…「すごくショックでした」ってみくりははっきりと平匡に言って「ごめんなさい」と謝る二人だけのケンカがあって、そこから仲直りするというプロセスを経ることによって二人の仲がより一層深まるんじゃないかなという予感を感じさせるお話で、すごく好きです。そのあとの展開も気になります。給料制がどうなっていくのか…平匡はプロポーズを改めてするのかとか、給料はあがるのかとか…子どもが出来たら子育てというのにも対価が発生して、平匡さんがめちゃくちゃ働くのか、みたいな(笑)。お金は払い続けてほしいって個人的には思っています。すごく理に適っている気がするんです。お金を払って感謝して、対価じゃないですけど、専業主婦をしてくれることに対して何か返りがあるのがすごく普通のことに感じてきました。払ったものが夫婦の同じ銀行口座に行くのでもいいと思うんです。この作品は、自分の価値観を変えてくれたドラマだと思います。

Index

このページの先頭へ