著名人のメッセージ

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俳優 玉木宏

  フェルメールは光を自在に操る画家だと思います。《水差しを持つ女》は左から強く当たる光でコントラストをつくり、写真のような美しさを感じました。レンブラントは影が象徴的な画家。陰影をうまく使い、左手の楯をいきいきと見せています。

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編集者・評論家 山田五郎

  17世紀オランダのバロック絵画は、光と闇のドラマチックな対比が特徴です。自らの人生も栄光と没落を極めたレンブラントの強烈な明暗対比。庶民の日常を照すフェルメールの柔らかな光。飾り気のない聖堂の内部を好んで描いたサーンレダムの冷たく冴えた明るさ。人間観察の名人ステーンが描き出す心の闇――。さまざまな光と闇のドラマが、現代の日本に生きる私たちの胸にもせまってきます。

→山田五郎さんが展覧会を分かりやすく解説!『山田五郎のよくわかる「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」』はこちら

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美術史家・目白大学教員 小林賴子 

  女が日々の営みに集中し、男が仕事に没頭する。フェルメールは人の暮らしのそんな密やかなひと時に目を向けた。ちょうど、独り静かに過ごせる個室が市民住宅の中に登場し、プライベートな営みが大事にされ始めた頃のこと。フェルメールは、新たな時代の到来を告げるその徴候をすかさず捉え、光を味方につけ、たとえば《水差しを持つ女》を描いた。彼女の身支度の朝は、つまり、市民社会におけるプライバシー誕生の朝でもあったのだ。

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生物学者 福岡伸一

  レンブラント―ファブリティウス―フェルメールという時代の流れを一挙に俯瞰することができる贅沢な展覧会だ。ぜひ、心の中に時間軸を持って鑑賞されることをお薦めしたい。そして科学と芸術が極めて近い関係にあったオランダ黄金期に思いを馳せていただきたい。科学と芸術のあいだに共通してあるものを感得することができるはずだ。それは美しいものを探求し、それを正確に表現したいというマインドである。

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キュレーター 林綾野

  「光の画家」、ときおりフェルメールはそんな風に呼ばれています。30数点ある作品のいくつかを、これまで繰り返し見てきましたが、ひとつずつの絵が放つ光の印象は、それぞれに異なり、特色があることに驚かされます。
《水差しを持つ女》が湛える光は、フェルメールの絵の中でも、ひときわ繊細です。女性の被るスカーフにほどこされた描写は格別。絵と向き合い、まるで細い絹糸を紡ぐように塗り重ねられた光の表現を追ってみてください。

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神戸大学教授 宮下規久朗

  世界史上、類を見ない美術の黄金時代だった17世紀オランダ。三大巨匠といわれるハルス、レンブラント、フェルメールを中心に、黄金時代の巨匠たちが揃う。ヤン・ステーンやピーテル・デ・ホーホらの傑作も見逃せない。
  メトロポリタン美術館とフリック・コレクションのあるミュージアムマイルとよばれるニューヨークの一角には、8点ものフェルメールがあり、世界でフェルメール密度がもっとも高い地域だが、その中でも《水差しを持つ女》は頂点をなす作品。オランダの日常生活の一瞬が、青い光の中で美しく結晶している。

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美術史家・武蔵野音楽大学講師 熊澤弘

  オランダ絵画といえば、その際立った写実描写が特徴ですが、それは単に「本物そっくり」なのではなく、人々の想像力や知的好奇心を喚起するものでした。例えば、ウィレム・カルフの描いた静物画に登場する貝殻や漆塗りの箱が、オランダから遠く隔たった異国を想起させるように。この展覧会では、当時の画家たちの豊かな描写力を見比べることが出来るよい機会です。どの画家も魅力的ですが、ここではレンブラントとテル・ボルフを挙げておきたいと思います。前者のダイナミックな筆遣いと、後者による、衣服の様々な素材を繊細に描き分ける技量の高さは注目に値します。

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美術ジャーナリスト 藤原えりみ NEW

  フェルメールとレンブラントという二大巨匠作品だけでなく、粒よりの作品構成で、17世紀オランダ絵画の黄金時代を概観できる。なかでも見所は、貿易国家オランダの財力を象徴する豪華な舶載の品々や高価な食物が描かれた静物画。これら贅沢なモチーフには、この世の栄華や富は虚しいというキリスト教的教訓も重ね合わされていたというが、それもモチーフをとことんリアルに描く画家の超絶技巧あってこそ。テーブルに置かれたものたちがある時代に生きた人々の夢と希望、欲望を語り出す。人々が思い描いた幸福のイメージが凝縮された小宇宙。日常の片隅に息づく存在の神秘さえ感じられるような思いがする。

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