2015年4月期連続ドラマ毎週日曜よる9時
自分の中で 「こういう人だ!」 と、決めた上で撮影に臨んでいるわけではないですが、石丸プロデューサーや平川監督と宇佐美について話をしていると 「若い人から見ると怖い存在」 なのかなと思います。
仕事に対して厳しいのは、いつの時代も、どの世界でもあることで、当たり前なのですが、宇佐美は、仕事に対して “誠実さ”、作品の中では “真心” と言っていますが、仕事に対してそういう向き合い方を “教え” として持っていて、それを若い人にも同じように求める… そういうところは、若い人にとって非常に怖い上司だと思われてしまうかもしれませんね (苦笑)
それを求めることができるのは宇佐美だからこそ。仕事を重ねて年輪も重なっている人でなければ、若い人に 「真心だ」 なんて言っても嘘っぽく聞こえてしまいますよね。いろんな積み重ねがあった上でそういう発言をするからこそ、さらに怖い存在なのかな、と思います。
けれど、漠然とただ怖い人を演じているつもりはなくて、この当時の人だから、やはり口で言うより手のほうが早い (笑)、そういう人でもありますね。この時代は 「盗んで覚えろ」 とか、職人的な気質の人が多かったでしょうし、丁寧に指導していくというような今日的な優しさはなくて、小僧の時代から叩き込まれて技を身に着けていく、そういう志や、前向きな人間に対しては手を差し伸べるような、そういう優しさは一方で持ち合わせている人だと思っています。
ご一緒するのは初めてなんですよ。
演じられている篤蔵がいるところがドラマの中心になっているので、僕らが話の中に入っていく量に比べると台詞の量が膨大で大変だなと思います。彼はスタジオのときも休む時間もないんじゃないかな。朝から夜中まで撮影をしていますから、どうやって休息しているのかなと心配になるほどです。
現場での様子を見ていても、芝居で疑問があるところは監督にきちんと伝えて、演出側の撮りたい方向性を納得して、全部受け入れて動いていく… 素晴らしい青年ですよね。
そして、包丁さばきも素晴らしい!篤蔵とダブるところがあります。相当な練習もされていたそうですし、篤蔵を演じることで佐藤健さん個人とも化学反応を起こし、さらにとてもいい役者さんになっていくような気がします。
僕は京都出身なんですが、冬場だったら、漬物の 「すぐき」。
蕪のような野菜を漬けた発酵食品ですが、少し酸味があって、すごく好きなんです。
僕が劇団に入っていた頃は、お金も持ち合わせていなかったので 「すぐき」 が食べたいということすら忘れていて、俳優として10~20年たってから、気持ちにゆとりができたとき、ふっと 「すぐき」 を思い出し、改めて食べたら 「あ、これだな。冬場はこれを食べていたよな!」 と懐かしく思い出しました (笑)。特別なことではないけれど、普段、家にちょっとあったらプチ贅沢ですね。
現代ドラマの撮影だと、もともとあるビルの内部をお借りして撮影したり、スタジオの中にセットを作ったり… というのが普通なのですが、今回は、明治~ 昭和当時の雰囲気をだすために、制作スタッフはとにかく撮影場所には様々な工夫をしているようですよ。遠景の街の様子も見逃さないで見ていただけると 「今では見られない風景だけど、おそらくこんな風景だったんだろうなぁ」 と思える景色がドラマを通して見られると思います。
ドラマで印象的に登場する 「一丁倫敦」 も、所々 CG を加えながら、ストーリーとともに、街が徐々に広がって、進化していくのを見せるために毎回登場しているんでしょうね。
このドラマは、篤蔵が周りの人々に支えられながら料理人として成長していく人間ドラマですが、同時に時代が変わることで、人や街の景色が今後どういう見え方をしていくのか、変化していくのか、僕自身も放送を見て発見するのを楽しみにしています。