2015年4月期連続ドラマ毎週日曜よる9時

インタビュー

武田鉄矢さん(桐塚尚吾役)

日本の食文化について

ものすごいクオリティを持っていると思います。
日本の食文化を輝かせているものは何かというと、ローカルなんですよ。
僕はいつも日本はローカルで持っていると思います。地方がある、故郷がある、ローカルがあることがいかにこの国の文化全体を励ましているか。
この物語の主人公は福井の人ですよね。近代史の中でも豊かな県ではないですが、かつては北前舟の航路として、非常に豊かな食材を誇っていたんですよ。その食材を大事に使って京都の勝手口のような県だったんです。その県から日本を代表するこれだけの人物が出たというのが凄いですよね。
ローカル、地方、故郷… そういうものが日本を回転させている。そう思いませんか?フィギュアスケートは名古屋、テニスは島根。つまり、首都である東京が、そんなに大きな顔ができないですよね。ニューヨークヤンキースで活躍したのは、石川県の人ですし。つまり、そういう風にして地方の人が日本を活性化させているんです。ひとつは、このドラマを職業のドラマとして、もうひとつはローカルの、地方のドラマとしてみていただけると、2倍楽しんでいただけると思います。

家族の愛…

恐らくこのドラマの主人公は、家族と一緒にご飯を食べるうちに、己の舌を鍛えたのでしょう。
この番組で、そのことには触れていませんが、人間の舌は絶対に家庭から育てられたものですよね。俗説をきいたことがありますが、すっぱいものをたくさん食べた風土からは良いコックさんが出るらしいですよ。酸味は、ものすごく舌が高度じゃないと感じられないんですって。よく 「甘い話にのるな」 とありますけど、世の中、甘いばかりじゃダメなんですよ!すっぱいものや苦いもの、そういうものが人間の舌を鍛える。このドラマの主人公は福井の故郷の味のなかで、そういう食物によって舌を鍛えられたのではないかな。

『天皇の料理番』 という作品について

この『天皇の料理番』 は何がすばらしいかというと私の台詞にありますが、この時代、料理をつくる人は堅気家業じゃなかったんです。包丁一本で腕一本で売るゆえに非常に一発組が多い。
でも、このドラマの主人公は、世間から高く評価されていない職業に自分の魂を吹き込んで、ついには天皇の料理番となるんです。一途に一つのことをやり遂げることによって、その職業が光り輝く。今、料理を作る人に対して見下したような見方ってありませんよね。一種、芸術家として料理をつくる人を見上げている。それはこういう先人たちが 「己が腕一本」 で、天皇の料理番にまで上り詰めたからなのではないかな。そういう生き方をした人たちがいた時代から近代への歩みを見ていただければと思います。
考えたらそうじゃないですか、お菓子を作る職人だって、昔は子ども相手の職業だけど、今はパティシエという別の呼び方で尊敬されている。かつては大人が子供向けの漫画を書いて生きるのは、とんでもないあきれた職業だった。でも今、漫画というのはアニメも含め、日本の一種文化となったわけでしょ。そんな風にして、一つの職業を強い志で生きることによって、その仕事自体を輝かせることができるということをドラマの中で見ていただけるとうれしいですね。

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