
病院で処方されている薬のうち、どんな薬が全額自己負担となるのか、医療費の抑制にはどの程度の効果があるのでしょうか。
保険適用外で8500億円の削減効果も…
見直しの議論となっているOTC類似薬。そもそも「OTC」とは「Over The Counter」。つまり、「カウンター越し」という意味で、薬局やドラッグストアで手軽に購入できることを指しています。ここから薬局などで買える市販薬は、「OTC医薬品」と呼ばれるようになりました。
一方、こうした市販薬とほぼ同じ成分ではあるけれども、医療用医薬品に分類される物は、「OTC類似薬」と呼ばれています。ここの保険適用を外すかどうかがいま議論になっているのです。
具体的なOTC類似薬をあげますと、「ロキソニン」の名前で知られる痛み止め、「アレグラ」などの花粉症の薬、「PL顆粒」などのかぜ薬などがあります。一方で、タミフルや高血圧の薬はOTC類似薬ではありません。
日本で使用される主な薬は約3万品目あるとされていて、このうち約7000がOTC類似薬です。日本総合研究所調査部・主任研究員の成瀬道紀さんによると、その市場規模は約1兆円。全体の8%ほどを占めます。
仮にこのOTC類似薬に保険適用がなくなった場合、保険料など約8500億円の削減効果があるといいますが、一方で病院に行ったときの薬の値段は高くなります。
保険適用外になると…どれくらい高くなる?
今OTC類似薬は保険適用なので、薬の自己負担は1割から3割で済みます。
厚生労働省の資料から試算すると、痛み止め(ロキソプロフェンナトリウム水和物錠剤60mg4日分)は、3割負担だと36.4円ですが、保険適用から外れると、約121円になります。
花粉症の薬(フェキソフェナジン錠剤60mg14日分)は87.4円~となっていますが、保険適用から外れると291.3円~に。
かぜ薬(非ピリン系感冒剤散剤8日分)は46.8円~となっていますが、保険適用から外れると156円~になります。
それでも、ほぼ同じ成分の市販薬よりは安くなるとみられます。
医療費増額の指摘も…求められる配慮とは
OTC類似薬は保険適用なので、病院で処方箋を出してもらったら安く手に入ることから、軽症でも病院にかかる人が多くなっている可能性や、中には必要以上の薬をもらう人もいて医療費がふくれあがっているのではないかという指摘が出ているのです。
実際、日本の医療費は高齢化に伴って増え続け、2024年度は48兆円と過去最高を記録しました。ここに現役世代の保険料の負担が大きくのしかかっているのです。
政府は、子どもや慢性疾患を抱えている人、低所得者への配慮も必要としていますが、厚生労働省の諮問機関は2025年末までに結論を得るように議論しています。
医療費削減と患者負担のバランスの取れた制度になるのでしょうか。
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