日本人選手のメダルラッシュとなったスケートボード「ストリート」。連覇を果たした堀米選手と、14歳で頂点に立った吉沢選手が繰り出した高難易度の“大技”を徹底分析。欧米を中心に若者カルチャーとして発展してきた「スケボー」で、なぜ日本人はここまで強いのか、その背景を手作り解説でお伝えします。
3回までは失敗しても“OK”
男女ともに日本が金メダルを獲得したスケートボード「ストリート」。
45秒間、自由にコースを走り、連続でトリックする「ラン」2回のうち点数の高い方と、一発の大技「ベストトリック」5回のうち点数の高い2つの合計点で競います。
ベストトリックは3回までは失敗しても大丈夫というわけです。
▼堀米雄斗選手の結果
「ラン」 89.90点、68.54点
「トリック」 94.16点、0.00点、0.00点、0.00点、97.08点
合計 281.14点
手すり見えず“感覚”で勝負…
堀米選手が最後に見せた逆転の大技「ノーリー・バックサイド270テールブラントスライド」は、ボードの先端を蹴って飛び跳ね、背中向きに周り、270度回転し、手すりにボードの後ろを当てて滑るという大技です。
背中を向けて飛ぶので、飛び乗る手すりが、一瞬、視界から消えるという難易度の極めて高い技です。この日の最高得点97.08をたたき出しました。
吉沢選手は「3D系」縦横回転
吉沢恋選手が決めた大技「ビッグスピンフリップ・フロントサイド・ボードスライド」は縦横の回転を組み合わせたもので、ジャンプした時に足からボードを離して、縦に一回転、同時に横に270度回して、ボードの真ん中を手すりに当てて下りてきます。この大技が決まり96.49点を出しました。
なんで日本人は強い?
今回のスケートボード「ストリート」では、日本人選手の好成績が目立っていますが、なぜそんなに強いのでしょうか。
▼日本人選手が活躍 スケートボード「ストリート」
金メダル 堀米雄斗(25)
4位 白井空良(22)
金メダル 吉沢恋(14)
銀メダル 赤間凛音(15)
7位 中山 楓奈(19)
スケートボードは、欧米などでは路上や公園で楽しむカルチャーが根付いていますが、騒音に厳しい日本では街中ではスケボーをすることが難しいため、専用施設やスクールで基本を習得していることなどが指摘されています。
また東京五輪以降、公共のスケートパークが243か所から、2024年は475か所と3年で2倍近くに急増していることなど、環境が整ってきたことも追い風になっているとみられます。
若者のカルチャーだったスケボーが、日本でも急速に競技スポーツとして認められてきていることがわかります。
トップは年収数十億円にも…
世界最高峰の大会「ストリート・リーグ」では優勝賞金が10万ドル=約1500万円にもなり、本場アメリカではスポンサーがついたトッププロの年収は数十億円にも達するといわれるほど、マーケットの裾野が広がっています。
若者のオリンピック離れを食い止めるために、3年前の東京大会から正式競技に採用されたスケボーは、新たな日本のお家芸として定着していくのでしょうか。
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