サンデーモーニング|TBSテレビ

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新春スペシャル「迷える世界」(1月8日放送)

ナイジェル・ファラージ氏 インタビュー

なぜ、イギリスはEUからの離脱という選択をしたのでしょうか?
その裏には一人の政治家がいたのです。
イギリス独立党の党首だったナイジェル・ファラージ氏。
(インタビュー:2016年12月21日イギリス・ロンドン)

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Q.EU離脱派が国民投票で勝利したときの気持ちは?

午前3時10分位だったと思う。その前の48時間、ほとんどの世論調査が「EU残留派」が勝つだろうと予想していた。私でさえ残留派が勝つかも、と考えてしまう瞬間があった。ま、選挙のときは、こういう気持ちになってしまうこともあるものだ。

最初の結果を見て「なかなかいいぞ」と思った。しかし、テレビで話している専門家たちは「残留派が勝つだろう」と言っていた。それを聞きながら私は「いや、我々が勝つ」と仲間と話していた。その時、離脱派勝利に賭けようという話も出たのだが、夜中だったので、賭け屋に掛け金を払う事は出来なかったんだ。

(何はともあれ)午前3時10分に我々が勝利したことが分かった。信じられない思いだった。なぜなら私は25年間、EU離脱を求めて闘ってきたが、ほぼ孤独な戦いだった。なので(勝利を知った時は)素晴らしい1日だ、日が昇った!という気分だった。たとえ、最悪の天候だったとしても、私は最高の天候に感じただろう。

Q.記者会見では様子は高揚しているように見えたが?

もちろんそのとおりだ。とは言っても、個人的な部分で感情的になっていたということだ。

だが私は、心の底から真剣に「イギリスは機能していない政治的連合(EU)から離脱した方が、良くなる」と信じている。イギリスの未来について考えると胸が高まる想いだ。

Q.EUから離脱すると、イギリスは具体的に、どの部分がよくなる?

もし民主主義や独立国家であることを信奉するのであれば、自国で法律を作り、判断を下すことができなくてはいけない。このことが最も重要なことだ。国境を国が管理できることも、この中に含まれる。どんな人が自分の国に来て、どんな人が働くのか、そして、世界の中のどの国と、新たに友好な関係を築くのかを決めることも、その国が決めるべきなのに、EUはそれを禁じている。

例えば、スイスは日本と自由貿易協定を結んでいる。(だがイギリスはEU加盟国なので)私の父は2年前に日本車を購入したが、なんと10%の関税を払わなくてはならなかった。日本にしてみても、イギリスがEUから離脱した方が両国の関係は、もっと良く、もっと強くなるだろう。

民主的な理由、商業的な理由など、いろいろな理由があるが、世界におけるイギリスの地位ということも重要な理由のひとつだ。外交面になどにおいてイギリスは独自性を完全に失っている。

Q.イギリスはかつて産業革命を起こし、多くの植民地を持っていたし、7つの海を制覇していた。昔の力を取り戻したいのか?

別に軍隊で他の国を侵略したいなどとは思わない。しかし、世界の中で、より重要な国になりたいかと言えば、新たに外交関係を新たに結ぶ場面などにおいて、イギリスを、より強い国にしたいと思う。(EUから離脱して)自分で全てを統治できるようになれば、イギリスは、もっと自信に満ちた、誇り高い国になるだろう。

EUを離脱したことでイギリスは内向きになったという意見があるが、それは大間違いだ。EUを離脱することで、我々は、もっと積極的に世界各国にアプローチしようとしているのだ。

Q.EUから離脱したことでイギリス本来の姿を見せるということ?

そのとおりだ。世界最古の民主議会を開催したのはアイスランドかもしれないが、「議会制民主主義」というコンセプトを生み出したのは他ならぬイギリスだ。我々が思いついたのだ。(EUに加盟したことで)我々は、その大事な考え方を捨ててしまったのだ。

しかし、ついに取り戻した。現状維持派、自分の利益のためにだけ動く大企業、各国首脳、オバマ大統領も「イギリスはEUにとどまるべきだ」と言っていたが、我々はそれに打ち勝ったのだ。歴史的瞬間だったと思う。

Q.EUを離脱後のイギリスについて、どのような未来を描いている?

大体のことにおいて、どうなるかは我々次第だ。なぜなら我々は、イギリスの未来、イギリスの運命を自分たちの手に取り戻すからだ。イギリス政府がうまく機能せず、うまくいかないこともあるだろう。だが、少なくともそんな政府は辞めさせて、新しく選んだ人に正しい方向へ導いてもらうことが出来る。

これこそが民主主義の核心ではないだろうか?EUを離脱することだけで、イギリスは良くなるとは言えない。しかし、EUを離脱することで正しい未来を作る機会を手に入れることが出来る。実際、今まではその機会がなかったのだ。EUに何が起こったかを考えてみて欲しい。銀行危機、イタリアの銀行危機、メルケル首相がもたらした移民危機…問題続きだった。今では、ハンガリー、スロバキア、チェコ、ポーランドが(移民受け入れを)拒否している。右派の政党がヨーロッパ各地で勢力を拡大している。イギリスはタイタニックから脱出して救命ボートに乗り込んだと思っている。

Q.もし独立党が政権をとったとしたら、どのような国づくりをしたい?

まず、トランプ氏がアメリカに革命をもたらした事実を受け止めることが必要だ。トランプ氏は力強く、母親がスコットランド出身で、しかもイギリスとの関係を非常に重要視している。歴史的にみてもイギリスとアメリカ関係は常に協力関係にあった。強固な結び付きをさらに強化していこうとトランプ氏は考えている。私はアメリカとの貿易協定を最優先で実現したいと思っている。(アメリカとの貿易協定は)イギリスの雇用に良い影響をもたらすからだけではない。ブリュッセル(EU本部)との交渉においてイギリスの立場を強化してくれるから余計に大事だ。これが私にとっては最優先事項だ。

Q.日本との関係について

日本との関係は、とても前向きなものになるだろう。日本の人と話した時にこんなやりとりがあった。「なぜEUを離脱するのか」と。私は、こう答えた。「もし日本が中国と連合を組んで、全ての物事を中国が決めたとしたらどうする? 嫌だろう?もし日本の移民政策を日本が決められなかったらどうする? 誰でも日本に来ることができたらどうする?嫌だろう? 今の日本は普通の国なんだ。イギリスも、国民投票を通じて、ようやく普通の国になったんだ」とね。だから日本は何も心配することはない。日本は「友好国」リストに載っている

Q.トランプ氏についてどう思う?あなたは3回も会っているが?

素晴らしい人物だ。人々が陥りがちな間違いとして、トランプ氏という人間を真剣に受け止めず言動だけで判断してしまうことがある。そうではなく、彼という人間を真剣に受け止めるべきだ。彼は、あの大胆な性格、そして訓練をつんだ政治家ではなくビジネスマンという背景から、たまに行きすぎたコメントをしてしまうことがある。

翌日になって考え直したら「あんなこと言わなきゃ良かった」という類いのコメントだ。彼は実際、選挙戦の中で、そんな言動を行ってきた。だが、そのたび、トランプ氏は謝罪していた。「私が間違っていた、申し訳ない」とね。トランプ氏の言動が原因で腹が立った人も多くいるだろうが、トランプ氏が指名している閣僚たちの顔ぶれを見て欲しい。

トランプ氏は抜群の経歴を持つ陸軍将軍や、何十万人という雇用を生みだした大企業の経営者などを選び、全く新しい形の政府を生み出そうとしている。アメリカの経済を立て直し、中西部(ラストベルト)に雇用を作り出すことができる人物がいるとしたら、それは、まさにトランプ氏だ。私はそう信じる。

Q.トランプ氏の能力を信じている?

もちろん信じている。だが、アメリカは巨大な国だ。たった一人でアメリカを運営できる人などいない。だからこそ、誰を(閣僚に)任命するかが重要なのだ。批判的な人たちは「(トランプが指名した人たちは)経験がない」と言うだろう。だが私だったらこう言う。「トランプ氏が指名した人たちには、膨大な人生経験、ビジネスでの経験、世界中での経験を持っている」と。(トランプ氏の選択は)見事な方向転換だと思う。

私は非常に嬉しく思う。トランプ氏に対してもそうだが、何よりアメリカにとって嬉しい事だと思う。

Q.あなたはマスコミの一部に「嘘つきだ」と言われている。原因は、EUに支払う金額のことで…

その発言は私がしたものではない。私は実際に、他の「離脱派」の人たちに「その数字を使うべきではない」と言ってきた。我々としても、もう少し低めの数字を使うべきだったと思う。だが我々が「嘘つき呼ばわり」されるのは本意ではない。

そもそも我々は50年もうそをつかれてきたんだ。私の両親は1975年の国民投票で「共通市場」について賛成票を入れた。政府は「共通市場に限定されたことで、イギリスの民主主義や主権を侵害するものではない」と説明していたからだ。

だが気付けば、イギリスの法律の75%は国外で作られていた。これを知った両親は「どういうことだ?最初からこうなることが決まっていたのか?」と思ったのだ。真実を語っていないということで言うならば、我々よりも、もっと分が悪い連中がいるということだ。

Q.独立党の党首から退いたのはなぜか?

勝利したからだ。政治家の多くは選挙に負けた時に辞めることが多い。すると残りの人生は惨めでつらいばかりだ。私はそんな人生はごめんだ。私は「不可能な夢」と言われていたことをUKIP(独立党)と共に実現できた。独立党がなかったら、私が独立党を率いなかったら、国民投票は実現しなかっただろう。

独立党がなかったら、国民投票で(EU離脱派は)勝てなかっただろう。だが、こんな小さな政党が歴史を変えたのだ。私は満足だ。

だが、私は党首の座は退くが、政治への関与は続けるし、コメントもするし、本も書くし、ラジオにも出て政治に関わる。ただ24時間休む間もなく組織を運営する責任に追われることからは離れるということだ。党首として良い時間を過ごせたと思うし、今は、とてもリラックスしている。

Q.今、どんな活動をしているのか?

今、アメリカ行きの飛行機の時間を気にしていることが多い。とにかく大西洋の上空を行ったり来たりだ。8月以来、7回も往復している。実はまた数週間後にアメリカへ行く予定だ。アメリカに行って、トランプの政権移行チームと関係を深めている。前からの知り合いもいるが、新しい人たちもいるので。

欧州議会のあるストラスブールやブリュッセルには、今も足を運んでいる。ある意味、これまでにないくらい忙しい毎日だ。だが党首ではなくなった今、5月ごとに行われる様々な選挙の行方に責任を持たなくてよくなった。

党首である以上、全ての選挙においてマニフェストを用意し選挙応援のために各地を駆け回り、選挙資金を集めなくてはいけなかった。ようやく、他の人が、そのような仕事をしてくれるようになった。

Q.もっと大きな目標をもっているのでは?

そのようなものは特にない。政党の党首は、やりたい事を自分で選べない。やらなければいけないことは、おのずと決まっている。今の私の立場は、やりたいことを自分で選ぶことができる。このインタビューを受けていることも、そうだ。

Q.ポピュリスと呼ばれることについてどう思う?

最初に「ポピュリスト」という言葉を聞いたのは12年ほど前だ。私が欧州議会に出席していたとき、当時の欧州議会議長のバローゾが、実は彼は毛沢東主義者でロクな仕事をしなかったヤツだが、そんな彼に「ポピュリスト」呼ばわりされたことがある。なんて無礼なヤツだ、必ず成果を挙げて見返してやろうと思った

今の欧米社会では、政治的エリートたちというものは、大企業と組んで、金持ちをさらに金持ちにする連中で、ろくでもない経済政策と移民政策を行っている。そして、そういうやつらは、こんな現状を変えようとする政治家に対し、この失礼極まりない「ポピュリスト」というレッテルを貼る。

私はこう言い返してやろう。「我々は民主主義者だ」。自分たちの人生や国を、自分たちの手に取り戻し、既存の政治家が我々に対して無礼であればあるほど、我々が完全勝利を手にする日は近い。

<終わり>

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