見どころ

2012年6月、ボクシング界に新たな伝説が生まれようとしている。
日本史上初のWBA・WBC世界王座統一戦が、ついに実現!

WBC世界ミニマム級王者・井岡一翔(井岡ジム)は、ボクシング世界二階級王者の井岡弘樹を叔父に、そして父も元プロボクサーという、まさにボクシング界のサラブレッドである。
昨年2月には、40戦無敗の世界王者を相手にプロ7戦目で挑戦し見事KO勝利。日本ボクシング史上最短での世界王座獲得を成し遂げた。
初防衛戦でも、ランキング1位の最強挑戦者を大差の判定で退ける。
そして昨年大晦日に行われた2度目の防衛戦では“1R98秒”で衝撃的なKO劇を見せ、日本中にその実力を証明した。
自身が最大の目標と掲げる“絶対王者”に向かって、
次なるステップとして選んだのが、王座統一戦のリングだ。

そしてもう一人の世界王者が、
WBA世界ミニマム級王者の八重樫東 (大橋ジム)である。
2007年6月にはプロ7戦目にして初の世界戦へ挑んだが、2Rに偶然のバッティングにより顎を骨折。
12Rまで戦い抜くも判定で敗れ、世界タイトル戴冠は失敗に終わった。
再起後は、様々な苦難を乗り越えながら日本タイトルを獲得。
防衛を重ねながら、世界再挑戦の機会を待ち続けていた。
そして迎えた昨年10月、八重樫に再びチャンスが訪れた。
“ターミネーター”の異名を持つタイのチャンピオンとの対戦。
壮絶な打ち合いの末、10RTKO勝利で悲願の世界タイトルを手に入れた。
そしてこの試合はESPN(米スポーツ専門チャンネル)の選ぶ、年間最高試合に選ばれた。苦労人の世界王者がサラブレッドを倒すべく、王座統一戦のリングに上がる。

そして、この二人の間には幾つかの共通点がある。
1.「アマチュアボクシング日本王者」
両王者は過去にアマチュアボクシングでの優勝経験を持つ国内トップ選手であった。
WBC王者・井岡一翔は、100戦を超える戦歴で高校六冠・国体(成年)二冠という偉業を成し遂げている。
そして八重樫 東も、70戦の戦歴を誇り、インターハイ・国体(成年)のタイトルを獲得している。
井岡の“ズバ抜けたディフェンス&カウンターの破壊力”と八重樫の“多彩なパンチ&素早いステップワーク”の高度なテクニックの応酬は、一瞬も目の離せないスリリングな戦いになることに違いない。

2. 「日本最短プロ7戦目での載冠」
記録というものは狙うものである。
彼らにとっての“プロ7戦目”は、ボクシング人生に大きな影響をもたらした重要な一戦となった。
2007年6月、“プロ7戦目”にして世界初挑戦をした八重樫には、
それまで辰吉丈一郎・名城信男の持つ8戦目での世界王座獲得の記録更新である。
しかし、八重樫の挑戦は儚く散った。
その4年後、日本人最短のプロ7戦目で世界タイトル獲得に成功した男こそ、井岡だったのである。
挫折を味わう事となった“プロ7戦目”と、
ボクシング界に新たな伝説を作った“プロ7戦目”。

3. 「時代を越えた夢の対決」
所属ジム会長達も、この一戦にただならぬ想いを寄せる。
井岡ジム会長・井岡弘樹は、WBA世界ストロー級(現ミニマム級)と
WBA世界ライトフライ級の二階級王者であり、八重樫の所属ジムである大橋ジム会長・大橋秀行は、
WBA・WBC世界ミニマム級王者(※両団体統一ではない)であった。
彼らが現役時代には、その対戦を期待する声も多く上がり、専門誌の企画「最も見たいカード」では、数年に渡って1位となり続けてきた。
大橋会長自身も、「井岡弘樹は僕の現役時代からのライバル。」と発言。
そんな夢の対決が時空を越えて今、それぞれの教え子によって現実のものとなろうとしている。

この十数年で、
ここまで大きな意味や価値のある対決が存在しただろうか。
ボクシングファンならずとも、絶対に見逃したくない一戦のゴングが打ち鳴らされようとしている。