見どころ

6月10日、ボクシングの聖地・後楽園ホールにこの男が帰ってくる。
前OPBF東洋太平洋フェザー級王者・天笠尚(あまがさ ひさし)

去年の大晦日。難攻不落の絶対王者・ギジェルモ・リゴンドーに挑み、
「勝つ確率は1%」という圧倒的不利が囁かれる中、2度のダウンを奪うなど善戦。
最後はリゴンドーの強打を浴び続け、顔面が大きく腫れ上がり、セコンドが続行不可能と判断。
11R終了時でのTKO負けとなったが、最強王者を相手に諦めず戦い続けた姿は、人々に感動を与えた。

そして、あの激闘から約半年。階級を本来のフェザー級に戻し、再び世界王者を目指すべく、天笠が戦いのリングに戻ってくる。

リゴンドーとの一戦以降、「もっとパワーをつけたい」と新たに体幹トレーニングを導入。
厳しい練習を自らに課し、肉体改造に取り組んできた天笠。
その成果は確実に表れてきており、本人もパワーアップに手応えを掴んでいる。

そんな天笠に立ちはだかるのは、 IBFパンパシフィック・フェザー級王者のパトムシット・パトムポン(タイ)。
リゴンドー戦に続き、苦手と語るサウスポーとの戦いとなるが、「世界前哨戦」と銘打たれるからには、結果だけではなく内容も求められてくる。
だが、そんなことは本人も十分承知。会見でも、「フェザー級で世界戦をやるためにも、圧倒して勝つこと、KOで勝つことしか考えていない。思い切り暴れたい」と、その意気込みを熱く語った。

「リゴンドーからダウンを奪った男」という肩書きから、「世界王者」という肩書きを手にする為、再び走り出した天笠。本当のサクセスストーリーはここから始まる!

遂にこの男が、世界への扉をこじ開けるのか!?
OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者・和氣慎吾(わけ しんご)

ここまでの戦績は、18勝(11KO)4敗2分。
アマチュア仕込のテクニックに加え、持ち前の負けん気の強さを前面に押し出したアグレッシブなスタイルが特徴の左ボクサーファイター。
トレードマークのリーゼントヘアーから「リーゼントボクサー」としても人気を集める27歳が、満を持してIBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦に挑む!

しかし、そんな和氣が今回の舞台に辿り着くまでには、紆余曲折があった。
去年の大晦日、リゴンドー戦が内定しながらも、不可解な理由により急遽試合をキャンセル。
ここまで育ててくれた恩師・古口会長との信頼関係も崩れかけ、一度は引退も噂された。
しかし、和氣本人が今回の一件に関し、自らの過ちを認め、謝罪。古口会長もこれを受け入れ、再び、二人三脚で夢の世界王座を目指して走り始めることとなった。

今年2月には、騒動後、初めての試合となる東洋太平洋S.バンタム級5度目の防衛戦で、周囲のゴタゴタを吹き飛ばす、圧巻の1RKO勝利。
改めて、その実力が世界に通用することを証明すると共に、今回の挑戦者決定戦出場のチャンスを手繰り寄せてみせた。

そんな和氣の前に立ちはだかるのは、IBF同級3位のマイク・タワッチャイ(タイ)戦績は43戦35勝(21KO)7敗1分。
2010年以降、21戦して敗れたのは僅かに一度のみ。
現在9連勝中と絶好調で、KO負けは僅か1度だけというタフネスさと、常に前に出続けるアグレッシブさを武器に、今回の挑戦者決定戦に名乗りを上げてきた。

「この先には、世界というのが確実に見えている。今回の試合は世界戦のつもりでしっかり準備して、必ず勝ちます。」と、今回の試合に向けた意気込みを熱く語った和氣。
一度は閉ざされかけた夢への扉。その扉を、自らの拳で再びこじ開けるのか?
和氣慎吾のボクシングロードは、ここから始まる!