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参月の猟奇的な彼女を紹介します

インタビュー【大石参月(林田若葉)×土井裕泰(チーフ監督)】

参月:映画『猟奇的な彼女』をドラマにするうえで難しかったところはどこですか?

土井:2時間の映画を11時間のドラマにしなきゃいけないことが、一番難しかったですね。単純に11時間に物語を薄めればいいってことじゃなくて、1話1話の中にこの映画ならではの“ややぶっ飛んでるけど楽しく見せるところ”と“三朗と凛子の切ない気持ちが現れているところ”をうまく作らないといけないなと。

参月:笑えるとこと、泣けるところのバランスですか?

土井:そう。面白くテンポよく見せていくところは表、彼らの抱えているもの…恋愛の切なさだったり、人に言えない気持ちだったりを裏として表現できたらなと。ひとりの人間の“表と裏”として見えるようにしようと思いました。

参月:凛子みたいな人物、あんまりいないですもんね。

土井:いないですよね。でも、「実際はあんな子いないよ」と言われても、このドラマの中で三朗と凛子がちゃんとイキイキと生きていればいい。全部がリアルじゃなくても「三朗と凛子だからありだよ!」と視聴者の皆さんに思ってもらえることが一番大事なことだと思って。

参月:二人はとってもイキイキしていたと思います。

土井:ただ、凛子という役はとても難しかったと思うので、“僕のイメージしている凛子”と“麗奈ちゃんがイメージしている凛子”をひとつの方向に向かわせるために、話し合いは結構しましたね。「答えはこうです。だから、こう演じて下さい」というのではなく、それぞれの凛子像をぶつけ合う作業なんですけど…。

参月:撮影の合間に、草彅さんと麗奈さんがセリフ練習されていたのが印象的でした。土井監督も一緒になって演技されていましたよね!

土井:今回はそれがちゃんと出来る現場だったんですよ。三朗というキャラクターも凛子というキャラクターも個々に大切なんですど、“三朗と凛子の二人が作る世界”が一番大切なんですね。だから、草彅くんと麗奈ちゃんがすごく頑張ってくれて、そこから生まれてくるものは素晴らしかったと思います。

参月:視聴者としてドラマを見たとき、“練習していたシーンがこうなったんだ!”って感動しました。土井さんは、自分が経験したことを“これはドラマに使えるな”と思ったりしますか?

土井:ううん。普段は普通に生活してるから(笑)。

参月:そうですよね〜(笑)。

土井:そんなに普段からドラマのことばかり考えていないし、「あっ。この瞬間はドラマに使える!」とは思わないですね。でも、台本を貰って読んで“どんなシーンにしようかな”と考えていると、電車に乗っているときやご飯を食べているときにふと浮かんでくることはあるかな。恋愛ドラマをやっていて面白いのは、状況は違っていても“恋をしているときの気持ち”って誰でも経験したことがあるってことなんです。

参月:なるほど!

土井:三朗と凛子みたいな恋愛じゃなくても、人を好きになったときの気持ちは同じだから。それが恋愛ドラマの面白いところだと思います。

参月:私も視聴者として「あ〜。わかる!」って思いましたよ。胸がキューンとしました。

土井:そうだよね。参月ちゃんは台本を読んでいたわけじゃない?自分がイメージしたのと、実際にドラマを見たときって違った?

参月:凛子ちゃんはすっごく強い子というイメージがあったんですけど、実際にドラマをみたら想像していた感じと違う部分もありました。台本を見て“このセリフはシンミリした感じで言うのかな”と思っていたところを冗談っぽく明るく言っていたり…。でも、だからこそ面白かったです。

土井:ドラマ初めてだったから、どういう風に見えているのかなと思って。

参月:すっごく新鮮でしたよ。自分が出ていないシーンは、楽屋のモニターで拝見していたんですけど、「カット!」の声がかかると、「ちょっと待って〜。いいところだったのに…」って思ったりして(笑)。それをすぐ側で撮影していると思うと不思議な感じがしました。

土井:でも、自分がそのテレビの中に入っているわけじゃない?どんな感覚なの?

参月:自分を見て笑っちゃうみたいな(笑)。最後の最後まで目の前に草彅さんや麗奈さんがいることが不思議だったんですよ。楽屋でテレビを見ていたら草彅さんが出ていて、スタジオに行ったらここにも草彅さんがいる…みたいな。そういうところに、すごく違和感がありました。なんで私がここにいるんだろうって。

土井:友達にも何か言われる?

参月:友達やお母さんには、なぜか笑われます。演技が面白いとかじゃなくて、「なんでアンタがここにいるにいるの?」みたいな。自分とは違う自分がいるような、双子になった気分でした。

土井:なるほどね。

参月:土井さんが演出していて、草彅さんや麗奈さんの演技が自分の想像と違うことってあるんですか?

土井:よくありますね。

参月:そっちのほうがよかったり?

土井:見ていてその方が面白いとか、力があるとか、伝わるって思ったら、迷わずそれを選ぶし、それをもっと面白くしていこうって思います。それがドラマを作る面白さかな。今回は撮影が全部終わってからの放送だけど、普通の連続ドラマだと放送しながら撮影を進めていくので、生っぽく変わっていくんです。だから、自分も決めすぎないで、割と自由でいられるようにしなきゃいけないなと思っています。限られた時間の中で、どれだけ膨らませることができるか、ちょっとでも面白くなるようにギリギリまで頑張りますね。

参月:「友達に撮影はどう?」と聞かれることがあるんですけど、「もう終わったんだよね」というと、すごくビックリされるんです。私は初めてだったから、そんなに違和感なく終わったんですけど、やっぱり知っている人からすると珍しいといわれて。そういうので、違いはありましたか?

土井:放送が始まると気持ちが追われるんですよ。例えば3話を放送している日に5話を撮っていたりするんですよね。「え?もう、次の次の週にはこれを放送しなきゃいけないの?時間ない…」みたいな。だから、いつも追われるような気持ちになるんです。今回もこの日までに全ての撮影を終わらせなきゃいけないって決まっていたから追われてはいたんですけど、放送が迫っているわけではないので気持ち的には少しゆとりがあったかな。

参月:どっちがいいですか?

土井:それぞれに良いところがあるので、どっちが良いってことはないですね。僕も放送される前に全部撮り終えることが初めてだったんですけど。でも出演者の皆さんは、形になったものを見ないで11本分演じなきゃいけないので大変だったと思います。
参月ちゃんは、最終回まで全部台本を読んで楽しみなシーンはある?

参月:最終回で、海に行くシーンがあるじゃないですか。私なりにイメージしながら台本を読んだので、それが自分のイメージとどれくらい違うものに仕上がっているかが楽しみです。私、お母さんには「この後どうなるか知ってるでしょ」といわれるんですけど、なぜか初めて見た感じがするんですよね。だから、毎週どんな風に仕上がっているのかとっても楽しみで。あと、個人的に谷原さんのキャラクターが大好きなんです。

土井:谷原さんとは一緒のシーンあったよね。

参月:ありました!共演したときは、あのキャラクターに圧倒されましたよ。そのときに思ったんですけど、私が“こう演技しよう”と思っていても、草彅さんや谷原さんと芝居してみると、自分のイメージしていたものと全く違うものになったんです。そういう部分って、すごく勉強になったし楽しかったですね。健作のキャラはとにかくツボで本番中なのに笑いそうになっちゃいました。どうして、あんなキャラにしようと思ったんですか?

土井:いやいや、あれは脚本家の坂元さんが健作をああいうキャラにしたけど、現場でさらにエスカレートしていったよね。

参月:へ〜(笑)。谷原さんはいつも本番前に「ここはこういうシーンだから、こうした方がいいよね」という感じで考えて撮影に入っていたんです。その姿を見て、「なるほど。こういう風にして作品を作っていくのか」って思って。私、監督さんのイメージだけでドラマを作っていくのかと思っていたんですけど、自分自身がどう演じたいのかということを事前に監督に相談して作っていくじゃないですか。打ち上げのとき、土井さんと出演者の皆さんがすごく仲良かったから、きちんとコミュニケーションを取ってとっていたんだなって。今回は教えられることだらけでした。

土井:特に今回は、いつもよりもそういうことができる現場だったんだよ。

参月:そうなんですか。初めてだから、私は驚きだらけでしたね。

土井:でも、初めてにしては緊張していなかったよね?

参月:えっ!!すごく緊張していましたよ。

土井:意外と落ち着いてやっているなって思ったよ。

参月:最初の「あ、おはよう」というセリフ、直前まで足が震えていたんですから!思い出すだけでも緊張します…。

土井:緊張はしているんだろうけど、現場にいることを自分なりに楽しんでいるなって感じがした。

参月:共演者・スタッフの皆さんがとってもアットホームな雰囲気を作ってくださったので。もっとピリピリした現場だったら…(汗)。ほんと、皆さんには助けられました。

土井:じゃあ今後、参月ちゃんはやってみたい役ある?

参月:すごく意地悪な役をやってみたいです。

土井:最初に会ったときに、『花より男子』の“つくし”と“いじめる役”の2つを演じてもらったじゃない。いじめる役をやっているとき、すごく楽しそうだったよね(笑)

参月:あはは、そうですか(笑)。なんか、とっても楽しかったんですよね。だから、凛子を見ていると面白そうだなって。三朗さんと言い合うシーンは見ていて気持ちがよかったので、私もああいう役をやってみたいって思いました。

土井:じゃあ、そのうちそういう役で参月ちゃんと会えるのを楽しみにしてるよ!

参月:楽しみにしていてください!今日はありがとうございました。