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2006年02月06日
 「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」代表の水木雄太さんインタビュー』

水木雄太さん 未公開の危機から大ヒットへ!〜
「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」代表
水木雄太さんインタビュー


現在公開中の映画『ホテル・ルワンダ』、この映画は昨年9月にこのコーナーでお伝えした通り、一時は日本での公開が危ぶまれていました(http://www.tbs.co.jp/radio/stand-by/attack/20050905.html)。 しかし、若い映画ファンたちを中心に公開を求める署名運動が盛り上がり、見事に公開が実現。しかも連日大入り満員の大ヒット! 渋谷シアターNでの単館上映から、全国およそ50館での公開が決まるなどこの映画への支持は拡がりを見せています。 今日はその公開運動の中心となった「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」代表の水木雄太さんをスタジオにお招きし、お話を伺いました。


mixiはじまりはミクシィから
「暇さえあれば映画を観ている」、水木さんはそんな映画好きの26歳の青年。 昨年のアカデミー賞で、主要3部門にノミネートされた『ホテル・ルワンダ』の存在を知り、当然日本でも公開されるものと楽しみにしていたそうです。しかし、「アフリカのルワンダで実際に起きた虐殺というテーマが重すぎる」「主役の黒人俳優、ドン・チードルの知名度が日本では低くて客が呼べない」「アカデミー賞にノミネートされた為、配給権の価格が高い」といった理由で日本での公開が決まらず、このままでは日本では未公開に終るかもしれないという状況が続きました。 何とかしたいと思った水木さんが、最初に活動の舞台に選んだのはインターネット、それもSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)のmixi(ミクシィ)でした。

SNSやミクシィについては2004年の6月にこの番組でも取り上げていますが(http://www.tbs.co.jp/radio/stand-by/attack/20040628.html)、僕が取材した当時、登録者数3万5000人程度だったミクシィが現在では登録者数270万人を超える巨大サイトに成長しています。 2005年6月、そのミクシィで『ホテル・ルワンダ』のコミュニティ(ネット上の同好会のようなもの)を立ち上げた水木さんでしたが、この映画の存在自体がマイナーで参加者がほとんど増えない状態が続いたそうです(ただ、立ち上げ3日目にして後に「ルワ会」副代表として活躍することになる古川琢也さんが参加、以後二人三脚で活動をリードすることになります)。

ホテル・ルワンダ
作戦開始!
〜「それがぼくには楽しかったから」

なかなか参加者の増えない『ホテル・ルワンダ』コミュでしたが、映画評論家の町山智浩さんが自身の人気ブログで『ホテル・ルワンダ』について取り上げたことをきっかけに、急にコミュ参加者が増え始めます。そんな中、水木さんはコミュの参加者に呼びかけて作戦会議を開催します。今までネット上でやり取りしていたメンバーが実際に集まり、ホームページの立ち上げやメディアへの働きかけ方などについて具体的な方針を立てていったわけですが、集まった人の多くは水木さんよりも少し年上の30歳ぐらいで、この後もこの世代が運動の中心になりました(もちろん、より年長の世代のアドバイスやサポートも大きな力になりました)。 それぞれが職業を持ち、若いながらもそれなりのノウハウを身につけた年代が、それぞれの得意ワザ(メンバーにはライターやイラストレーター、メディア関係者など様々な職業の人がいました)を生かして、最年少の水木さんサポートしながら活動を進めていったようです。

僕自身も取材して以来、半ば応援団の1人としてこの活動に参加していましたが、とにかく楽しかったですね。上映実現という同じ目標を持った人たちが智恵とアイディアを出しあって作戦を考え、実行していく。しかも業界の常識としては「無理」という判断がなされている中で、それをひっくり返せたら痛快だろうなあなんて気持ちもありました。

この上映運動に参加した人の動機は様々ですが(映画好きだったり、アフリカに関心がある人だったり)、例外なく共通する動機は「楽しかったから」だったような気がします。楽しかったからこそ多くの人が誰に命令されたわけでも、報酬がもらえるわけでもないのに一生懸命署名を集めたり、チラシを配ったりしたのでしょう。代表の水木さんだけでなく、この上映運動には本当にたくさんの人が参加しました。運動の主体となった「ルワ会」も、組織としてはゆるやかなもので、全国各地でいろんな人がミクシィやルワ会サイトで情報交換しながら、やれることをやっていました。こうしたゆるやかで自律的な運動を行う上でミクシィのシステムは非常に有効だったと思います。


「ホテル・ルワンダ」日本公開を応援する会マスメディアとパーソナルメディアの
相乗効果

一方、当時無職だった水木さん(春にそれまで勤めていた会社を辞めて、バンド活動をしたりそれまで書き溜めていた文章をまとめながら次の展開を模索している時期だったそうです)は、持ち前の行動力と人懐っこい性格で(出会った人がどんどん協力者になっていったのは水木さんの人徳でしょう)、「『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会」(ルワ会)の顔として、配給会社や各種メディアへの対応をこなして行きました。その甲斐あって次第に人気サイトや雑誌、そしてこのTBSラジオなどのマスメディアがこの映画と署名運動について 取り上げるようになり、マスメディアを通じて『ホテル・ルワンダ』を知った人がブログやミクシィ内の日記に書いて、それを見た人がさらに自分のブログや日記に引用し、その盛り上がりを見たマスメディアがまた取り上げて...という具合に、マスメディアとブログやミクシィなどパーソナルなメディアが相乗効果を起こして署名運動が広がっていったようです。マスメディアだけではなく、発信力を持った個人が積極的に関わったというのが、大きなポイントだと思います。

その甲斐あって、署名を集め始めておよそ3ヶ月、4600名分の書名が集まった段階で、映画配給会社メディア・スーツが、『ホテル・ルワンダ』の購入を決定。1月14日から念願の劇場公開が始まりました。マスメディアとブログ、ミクシィなどの相乗効果は、劇場公開後もさらに有効に機能し続けていて、映画を観て感動した一般の人たちが、ネット上の映画レビューなどに積極的に書き込む動きも見られます。こうした相乗効果が話題が話題を呼び、
『ホテル・ルワンダ』の大ヒットに繋がっているのではないでしょうか。

担当ディレクター 長谷川裕
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