この差って何ですか?

2021年2月16日(火)

愛されチェーン店(ピザハット)の昔と今の差

専門家:石橋恭子(ピザハット 商品開発課課長)、中俊博(ピザハット マーケティング企画課)、中村昭一(ピザハット 社長)

この差は…
「人気商品」を絶えず改良していく結果だった!
2020年、ついに、世界で唯一!日本独自の「トマトソース」と「チーズ」に変更!

「ピザハット」の誕生とは!

今回は!デリバリー需要が高まる今、食べる方も多いのでは?「ピザハット」の昔と今の差をご紹介!
1958年、アメリカ・カンザス州に、第1号店を出店。今や、110の国と地域に、1万8,000店舗を展開する「世界一のピザチェーン」!エジプトでは、あのスフィンクスの近くに「ピザハット」がある!
日本に初進出したのは、1973年。イートインスタイルの、ピザレストランとして、東京・茗荷谷にオープン。アメリカのピザが食べられると話題に!しかし、1980年代後半、現在もしのぎを削る、ライバルの大手ピザチェーンが、相次いでオープン!ここから、3社による、ピザ戦国時代の火蓋が切られる!
当時、「ピザハット」が「イートインスタイル」なのに対し、ライバルの大手ピザチェーンは、「宅配」がメイン。そして、この「宅配ピザ」が、日本で大ブームに!「ピザハット」も後を追い、「イートイン」から「宅配」に方向転換するも、ライバルに先手を取られ、苦しい状況が続いていた。

肝心の「ピザの味」に問題が!?

さらに、当時の「ピザハット」には、「宅配」の出遅れだけでなく、肝心の「ピザの味」にも、ある問題があった!
その当時を知る「ピザハット」の中村昭一社長は、「ピザの基本の部分が問題だった。ソース、チーズなどが、強豪との比較の中で、劣ってた。社員の中でも、競合の方がおいしいのではないかと、そういった声も、ちらほらと聞こえてきた」。社長自身も、正直、自分たちのピザも美味しいけれども、「これは、やられているな」という感じはあったとのこと。ただ、問題だったチーズとトマトを変えることが出来なかった!
「ピザハット」は、アメリカが決めた基準のソース、チーズがある。世界中にある「ピザハット」の味は、アメリカ本部が厳密に定めており、日本の「ピザハット」だけ独自に「チーズ」や「トマトソース」などを変えることは許されなかった!アメリカ本部が考える、「一番美味しいピザ」は、香辛料が練りこまれたサラミ「ペパロニ」がトッピングされたピザ!トマトソースは、「ペパロニ」に負けないよう、強めに香辛料を効かせていた。しかし、「うま味」や「風味」を重視する日本人の味覚には、あまりマッチしなかった。競合は、日本人向けの味付けに、アレンジしており、その辺のところで差が出始めてたとのこと。
そんな時代に入社したとある女性。この女性が、後にピザの改良を推し進め、ヒット商品を生み出す、まさに、「ピザハット」の救世主となる!商品開発課に所属する石橋さんがその人!社内では、「ピザハットの母」と呼ばれており、石橋さんがいなければ、今の「ピザハット」はないといっても、過言ではない存在とのこと。
石橋さん曰く、「ピザハット」のピザは、昔と今で大きく変わっているとのこと!ただ、ここに来るまでには、アメリカ本部と色々あって、長い道のりだったと振り返る。

「トマトソース」と「チーズ」は変えられない!?

では、その戦いの日々を振り返っていく!1991年、商品開発チームに配属された、若き日の石橋さん。まず考えたのが、「やはりトマトソースを日本人好みに変えないと、このままだったらライバルのピザチェーンに、勝てない。よし、上司に相談しに行く」こと。そして、当時の役員に相談。しかし、アメリカの本部は、このピザの味で、世界に進出しているというプライドがある。よって、「トマトソース」と「チーズ」は変えられない!とのことだった。そこで、石橋さんは、「トマトソース」と「チーズ」以外、つまり「生地」の改良なら、アメリカ本部は文句を言わないはずと考えた。石橋さん曰く、「変えられないものを、変えようとして、無駄にエネルギーを使うのであれば、何か出来ることからやってみようというように、ちょっと切り口を変えてみた」とのこと。
ただ、実は「ピザハット」の生地、創業当時から、各店舗で粉から作っており、口どけが良いと評判は良かった。しかし、石橋さんは、友人とピザを食べている時に、あることに気付いていた!それは、「ピザのミミのところを、食べないで残っていることが多かった。ミミのところはちょっと味気ない、というか美味しくないかも」と。それを聞いた石橋さんは、「せっかく作ったピザ、残されたくない!たとえミミでも」と思い、1996年に、石橋さんのアイデアで生み出されたのが、「ミミにチーズが入ったピザ」!ミミの部分に、「棒状のチーズ」を巻き込むことで、最後まで美味しく食べてもらえるように開発した「チーズクラスト」を商品化!その結果、約1年で、300万枚くらいを売る大ヒット商品に!ライバルに遅れをとっていたピザハット。この大ヒットで起死回生なったかというと、2位!実は、競合も、「こうやれば、出来るんだ」とマネして同様の商品を開発!まさに「ミミ戦争」の勃発!ただ、石橋さんは、「マネされるほど、いい商品だったと考え、闘志を燃やした」とのこと。
そこで、次の作戦として、「ミミを単独で食べても美味しい商品」を具現化した。それが、「チージーロール」!実はこれ、ピザのミミの部分がひと口ごとにつまめて、ハニーメープルシロップをかければ、デザート感覚で味わえる!こちらは、「チーズクラスト」超えの、1年で400万枚の大ヒット!しかし、結果は、2位のまま!

「生地」だけの改良では1位になれない!?

こうして、元々評判の良かった生地を、ミミの部分まで美味しく食べてもらいたいと、改良してきた。しかし、生地の改良で美味しさを追求してきたが、やはりピザなので、「ソース」がポイント。そこで石橋さんは、「トマトソース」が変えられないので、何か「別ソース」のピザを作ってみようと考えた!
ただ、「トマトソースを使わないピザ」と言っても一体、何を使えば良いのか?その時、ヒントになったのが、「ツナマヨ」!石橋さんは、「やっぱりマヨネーズはなんでも合う!あっ!そうだ!マヨネーズ!」と思い付き、「ピザに使うトマトソースは変えないで、マヨネーズソースのピザを作れないか」と思ったとのこと。この石橋さんの閃きが、のちに「ピザハット最大のヒット商品」を生み出した!そして、無事アメリカ本部も説得し、2000年に生み出されたのが、「マヨネーズソース」を使った、今でも看板メニューの1つ、「特うまプルコギ」!「トマトソース」ではなく、「マヨネーズソース」を使った新しいピザとして、「ピザハット」史上最大のヒットに!
スタジオにも登場した、「特うまプルコギ」!「ニラ合う」、「得してる感じ!ピザとプルコギを二個食べてる感じ」、「隠し味にはちみつ入ってるので、わっと辛いわけではなく、じわじわ甘辛な感じ」と好評価!当時、韓流ブームで、韓国料理が結構新大久保でもあった。石橋さんは、「これお肉載せたらおいしいかも」と、頭の中で出来上がったとのこと。この時以外でも、何か食べてる時でも、絶対これはピザに合うかな」と考えている。
この努力の結晶でもあるピザハットの最高傑作、「特うまプルコギ」!このヒットにより、万年2位だったピザ業界でのランキングがどうなったのかというと…、今回も2位!!

2020年、ついに日本独自の「トマトソース」と「チーズ」に変更!

これまで、様々な改良を加えてきましたが1位になるには、やはり避けては通れない、「トマトソース問題」!そうはいっても、やはり6割くらいは「トマトソース」を使った商品が多い!そこを崩さないことにはピザを征服したとは言えないんじゃないかと。そして、2017年、遂に石橋さんに「トマトソース」改良するチャンスが!「ピザハット」で経営陣が大きく刷新された。今までより以上に私たち開発の想いや、現場の声をきいてくれる体制になったことが大きかった!実は、現在の中村社長をはじめ、現場を知る叩き上げの人たちが経営陣に就任。まず、実施されたのは、ピザチェーン大手3社の食べ比べ調査。そこで、実際に、「ピザハット」は、「ピザーラ」のトマトソースに負けているという客観的なデータを算出。客観的なデータと現場の熱量を合わせて、だからやらせてくださいということで、上申。すると、苦節30年、ついに、「トマトソース改良の許可」が!そして、2020年にようやく日本人好みにあわせた「新しいトマトソース」が完成し、販売!
以前のソースは、「オレガノやバジルなどハーブが立ったソース」だったが、今回「日本人が好む、ハーブをおさえたトマトのフレッシュ感のあるトマトソース」に変更!しかも、「トマトソース」だけでなく、ピザに欠かせない「チーズ」も、日本独自に大改良!2020年10月に、すべてのピザの「チーズ」を変えることに成功!そう、これまで改良が許されなかった「チーズ」も、交渉を繰り返すことで、ようやく許可が!もともとは「モッツァレラチーズ」を使用、伸びと柔らかさが特徴のチーズだったが、そこに新たに「オランダ産のゴーダチーズ」を加えることで、焼いた後の香りやコクが増すのでそれを組み合わせることで、最強のブレンドが出来た!
実は、110の国と地域に展開している「ピザハット」の中で、オリジナルの「トマトソース」と「チーズ」を使っているのは日本だけ!この進化は今後どのような結果をもたらすかはまだわからないが、スタジオで食べ比べてみた!
今回は、マルゲリータを用意。今のピザは、昔のピザに比べ、「フレッシュトマト感がある」、「イタリアのピザの感じに近い」、「チーズとのマッチングが、このトマトソースのほうがいい」、「昔のピザは、何枚もいけない感じするが、今のピザは何枚でも行ける感じ」などと好評価!コロナ禍で、アメリカ本部の試食はまだとのことだが、石橋さんは、「いつか絶対食べてほしい」とのこと。皆さんも、是非お試しください!

ページトップへ戻る



関連リンク