この差って何ですか?

2020年11月17日(火)

昔と今の「スシロー」の差

専門家:浅田和彦(株式会社 あきんどスシロー)、吉田啓之(株式会社 あきんどスシロー)

この差は…
「マグロ」は、種類と部位、加工
「えび」は、加工
「創作寿司」は、見た目とコスト、視覚効果があるか どうか
今回は鬼のスシロー 3人衆が登場!!

回転寿司業界で、9年連続売上ナンバー1の「スシロー」!

定番の寿司は、もちろん数多くの「創作寿司」、さらに、ラーメンやデザートまで!そのメニューは、実に150種類以上!連日、店は家族連れやカップルで溢れかえっている。そんなみんなに愛される「スシロー」は、10年前までは、売上1位ではなかった。しかし、お客さんを想い、様々な努力と工夫を重ねた結果、9年連続1位を獲得しただけではなく、あらゆる外食チェーンの中で、顧客満足度1位を獲得!今回は、そんな「スシロー」にまつわる3つの差をご紹介!
そこで、まずは「スシロー」の昔と今の差。例えば、昔と今のレーンの差!昔は、「O型」だった。しかし、その場合、座る場所によって、「状態が劣化してしまう」という問題が!そこで1台3,000万円をかけて、「レーン」を大改装!上から見ると、「Eの字型」に変更!すべてのお客さんに、美味しいお寿司が行き届くように改良した。さらに、およそ200万円を使って、「シャリ ロボ」を導入!職人の技術を完全再現し、口の中でほぐれる絶妙な仕上がりに!そして、シャリは、新米に加えて、あえて乾燥した古米を使う事で、酢が染み込みやすい様に工夫!
そのほか、女性にも満足してもらうために、デザートメニューを充実させたり、有名シェフとコラボしたり、そして「寿司の主役」であるネタも、昔と今では、大きく変化した!
ということで、今回は「鬼のスシロー 3人衆!」と呼ばれる3人が進化させた3つのネタの昔と今の差をご紹介!

「マグロ」のマグロー六角さん!

まずは「スシロー」で売上1位のネタ「マグロ」!1日に、なんと16万皿も売れる。実は、気付かないうちに、この「マグロ」も、昔と今で変わってきている!まずは食べ比べてみると、「食感が違う」、「マグロの風味が強い」、「噛んだ瞬間にマグロって感じがする」とのこと。実は、「マグロ」の種類も違えば、部位も違う。それを変えた人が、「鬼のスシローの3人衆」の1人のマグローの六角。目利きと基準に対する厳しさ。実は、水産業界の中でも、とても有名な人で、元々はマグロの専門の水産会社の営業をしていたマグロのスペシャリスト。そのため、六角さんが「スシロー」に入社し、買い付けの担当をすることになり、業界的に驚きがあったとのこと。以前は、料亭やホテルに「マグロ」を卸していたのに、なぜ1皿100円の「マグロ」を提供する「スシロー」に転職したのか?日々の日常に寄り添って たくさんの方々に、“うまい寿司”を提供するという、その熱き思いがある。やはり、「うまいものをどれだけ安く売るか」。これが、やはり「商売の鉄則」であり、そこがすごい、面白いなと思ったとのこと。
それでは、「スシロー」の「マグロ」は、昔と今でどう進化したのか?昔と今では、まず「魚種」が違う!昔は、「手に入りやすさ」と「価格」もあり、時期によって「キハダマグロ」であり、その時期に「一番手に入りやすいマグロ」を調達していた。しかし、今は「メバチマグロ」、しかも40キロ以上サイズという一番大きいサイズ、それだけにこだわっている。業界では、「大バチ」と言う。大きければ大きいほど身の味は濃くなり、色目も濃くなるということで、世界中から「大バチ」を買っている。しかし、「スシロー」で使われるのは水産業者が売り込んできた「マグロ」の中でもマグロー六角さんが厳選した物のみ!あと、「加工形態」。どのお皿食べても、「スシローのマグロうまいね」になるために、さらにこだわるとのこと。しかも、「握り」に使われるのは、「天身」という貴重な部位のみ。「スジのないマグロ」のより、芯の部分、部位の中では厳選された部分。ここまで、こだわっているのに、お値段2貫で100円 採算は取れているのかというと、ハッキリ言って「マグロの赤身」に関しては赤字。「マグロの赤身2貫100円メニュー」、「スシロー」の不動の1位なので、やはりお客様の期待度も高い。
しかし、この商品もマグロー六角さんにとっては、まだ進化の途中!「本マグロにしたい」とのこと。もし、100円で売れば、お客様も喜んでいただけると思うので、そういうことを意識しながらチャレンジしていきたいとのこと。だからこそ、「スシロー」で頑張れる余地はまだあるとのこと!
さらに、今回、「スシロー」の従業員オススメの食べ方を紹介!「醤油」でも十分に美味しいが、「塩」で食べていただくというのが、より一層美味しくなるとのこと。

レーンにしか流れない「超貴重部位」とは?

そして、「スシロー」では、「マグロ」の赤字を補うため、2つの工夫が!1つ目は、仕入れたマグロは余すことなく使いきる。「天身」以外のスジの多い部位は、「マグロの山かけ」などに使い、頭の部分をラーメンのスープを使うなど、1匹丸々使うことで「マグロ」の赤字を補っている。
さらにレーンにも工夫が!お店に入って、席に座った時に、「マグロ」が最初に流れてきたら嬉しい。つまり、人気の商品をできるだけ早い段階で食べてもらうということ。今、どこのお客さんが新規で入られたかのに合わせて、人気のネタを流すようにしている。勝手に流れてきたと思っても、実はコントロールされているわけ。もう一個は、入り口の端末で、大人と子供の人数を打ち込む。お子さんが多いところには、「たまご」、「ツナ」、「コーン」など、お子様の人気の商品を優先的に流す。そういうお客さんのニーズに合ったお寿司を流すようにしている。あとは、食べ終わりのお客さんもわかるので、食べ終わりのお客さんとかに対しては、デザートのサンプルを流して、デザートをお願いするっていう形に。このシステムのおかげで、赤字にならないということ。100皿流して、だいたい1皿、2皿ぐらいが廃棄になるようにお寿司の売れ筋をコントロールしているとのこと。
さらに「スシロー」が身を削って情報大公開!レーンには、このように「流れている商品」と「タッチパネルで注文できる商品」という2つがある。多くのお客さんが「タッチパネル」で注文しがち。
しかし、「同じネタ」であっても、レーンに流れている寿司と注文する寿司では、「部位」が違っており、実はレーンにしか流れない「超貴重な部位」がある。レーンを取った方を良くしないと、みんな注文してしまうため。商品は、一応「同じ名前」で売っているが、それが「ハマチ(隠し)の腹身」! 白い部位で、すごく脂がのっている。なかなか一匹からでももとれる量がすごく少ない希少部位とのこと!是非、チェックしてみてください。

「えび」のエビロー福本さん!

続いてもランキングから、先ほどの売上ランキングに注目すると、3位に「えびアボカド」、7位に「えび」、9位に「えび天握り」、10位に「赤えび」。トップ10に、4つも入っている。「えび」は、やはりヘルシーな感じで、女性の方でもすごく人気のある商品になっている。ただ、「えび」というのはパサパサしているイメージがある。そこで、「えび」を変えたという人物が「鬼のスシロー3人衆」の1人、エビロー福本さん。実は、「えびのパサつき」というのは、回転寿司では、常識で、業界に対して革命を起こした男。より良い「えび」を求めるため、1年の大半を海外で過ごす。このエビロー福本さん、「スシロー」の社長がその味覚に惚れ込み、ヘッドハンティングをしたとのこと。
今、グランドメニューで使用している「えび」というのはスーパーでも売られているモノと同じ。他のところと同じ加工だったら負けてしまう。多くの寿司屋では、「えび」は蒸して提供。しかし、「えび」を蒸すとその調理工程で、水分とともに「旨味」がこぼれ落ちてしまう。そこで、「えび」をカゴに詰めて、「スシロー特製の出汁」でボイル、「旨味」が逃げないようにしている。
しかし、実はエビロー福本さんが「本当にオススメするえび」は、先程のランキングには入ってない!それが「大エビ」。「スシロー」では、「ブラックタイガー」と「メキシコブラウン」というエビを使っている。しかし、「大エビ」の場合、やはり、「大きくなればなるほどパサついているんじゃないかな?」というお客さんとのイメージのギャップを、まだ埋められないとのこと。
そして、売上ランキング3位、女子に特に人気な「エビアボカド」の「スシロー」社員オススメの食べ方!テーブルに、「甘だれ」を用意してあり、マヨネーズ系の物の上に「甘だれ」をかけて食べるというのが従業員の間で流行っている。実際に食べてみると、「てりやき感」がすごくするとのこと!

創作寿司のツクロー吉田さん!

そして、スシローと言えば創作寿司!「鯛茶漬け」をイメージして作られた「漬けごま真鯛」は、すりゴマが効いた「スシローオリジナルの出汁醤油」に漬け込まれた「真鯛の旨味」が絶品!「サーモンモッツァレラバジル」は、バジルソースとの相性が病みつきになるイタリアン風なお寿司。肉寿司の中でも、一番の人気を誇る「牛塩カルビ」は、醤油ベースのタレをかけ、直火で炙られたカルビが「特製塩だれ」で、さらに食べ応えあり!このように「和風」、「中華」、「洋風」、「お肉」など、今まで数千種類の創作寿司が作られてきた!その新商品開発を一手に引き受けているのはたった1人「創作寿司の鬼」、ツクロー吉田さん!例えば、シャリの上にナンプラーで和えたエビを揚げて、トムヤムクンのソースを自家製で作り、パクチーとしめじを乗せた「食べるトムヤムクン」。実は、ツクロー吉田さんは、ヘッドハンティングで、「スシロー」に!その前は、大阪のリッツカールトンの日本料理店で13年ほど働いていたとのこと。
現在、創作寿司は、大体20商品は毎月新メニューとして、年間100以上!しかし採用されているのは、わずかで、実際は年間600もの新商品を考案している。スシローの会長と社長が、毎週 プレゼンしてジャッジ。「スシローの味の番人」、社長の堀江陽!創作寿司は、「見た目」や「コスト」はもちろん、回転寿司ならではの採用基準があるとのこと!「海鮮てんこ盛り」は、社長の採用基準を突破し、今まさにレーンに流れている。回転寿司は、大体横から見る、レーンでお客さんが座って見るので横から見た「顔」いわゆる高さ、これがうまそうかどうか。職人さんのいる店で食べると、作っている工程を見るので、そこまで「顔」を意識しなくていいが、回転寿司の場合、やっぱりキッチンで作ったものを、急にお客さんの前に現物となって出てくるので、この「顔」が美味しそうかどうかというところを、絶対最後見るとのこと!お客さんが「これ何だろう、美味しそう!」と、手に取るような顔をしているということ!普通の寿司屋はあまりネギとか載ってないが、回転寿司は青ネギが載っていることが多い。これも少しアクセントをつけることによって、「レーンに手が伸びやすくなるような視覚的な要素」を意識している。
最後に、ツクロー吉田さんから、定番のたまごやエビをちょっと味変するアレンジレシピをご紹介!ツナサラダのツナだけをエビや卵に載せてもらうと、サンドイッチじゃないけど、ちょっと洋風なイメージの寿司に お子様とか味のバリエーションが広がる。

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