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人のことをよく「二枚目(にまいめ)」・「三枚目(さんまいめ)」というけど、どうしてそう言うのですか?
中2・女
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東京で言うと歌舞伎座(かぶきざ)、京都で言うと南座(みなみざ)などでは、やねの上に「今このぶたいではこういう人がでてますよ」というかんばんが出ます。
1枚目は座頭(ざがしら)といって、そのげきだんのとてもえらい人のなまえが書いてあります。
そしてかっこいい男は2枚目にかかれます。つぎの3枚目にはおもしろことやる人がきます。そうしてみると、「二枚目」・「三枚目」のいみがわかるよね。かんばんのじゅんばんでかっこいい人が「二枚目」、おもしろい人は「三枚目」ということがわかるようになっているのです。
そして、これは歌舞伎(かぶき)のせかいでのおはなしです。ですから、歌舞伎では女の人はぶたいにたちませんから、女の人には言わない言い方なんですよ。それはおぼえておいてくださいね。
放送タレント:永 六輔 先生
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ことわざで「ピンからキリ」というのがあるんだけど、 それはどういうふうに作られたのですか?
小4・女
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いま日本語として使われていることばの中には、外国のことばがいつのまにか日本語として使われているというものがあります。「ピン」というのはまさしくそのことばのひとつなんです。
「ピン」とは、サイコロの「1」のことをポルトガル語でいった言い方です。それが「さいしょから」といういみを持つようになりました。
ほかには、「ピンから・・・」と同じような言葉で「ハナから・・・」というものがあります。この「ハナ」というのは、朝鮮(ちょうせん)のことばで「1」という意味で、「1・2・3」のことを朝鮮では「ハナ・トゥル・セツ」というところからとられました。
そして次に「キリ」ですが、これは「これでおしまい」という意味なのです。たとえば、お母さんに「おこずかいはもうこれきりよ」なんていわれたことない?あの「これきり」の「キリ」も同じ意味です。
というわけで、「ピンからキリまで」というのは、意味は「最初から最後まで」という意味で、そもそもは外国からきたことばなんだということをおぼえておいてください。
放送タレント 永 六輔 先生 先生
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「いっぱい」と「たくさん」ってどっちが多いんですか?
小2・男
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どうしてそう思ったのかな?
こども:おやつをもらう時に、どっちの方が多いのかなと思って。
おもしろいことに気がついたねぇ。僕も長いこと生きてきたけど、そんなことは一度も考えたことなかったです。
もともとの言葉として考えると、両方とも「多い」という意味だよね。だけど、「いっぱい」っていうのは、ある入れ物の限界まで何かが入っている、という意味なの。「お腹がいっぱいだ」なんて言う使い方があるでしょ。だから、入れ物があるときには「いっぱい」の方が多いかもしれないよね。だってそれ以上入らないんだからね。
だけど、入れ物がないとき、たとえばおやつをもらうでしょ?おやつって、家の中ぜーんぶおやつにするわけにはいかないよね。そうすると、おやつなんかの時には「いっぱい」よりも「たくさん」のほうが多いのかもしれないね。
「両手いっぱい」のおやつってことは、両手に入るだけの量だけど、「たくさん」って言うと、その両手いっぱいよりも多くあるかも知れないでしょう。
だから、「いっぱい」と「たくさん」は、その時その時によって、どっちが多いかはちがうかもしれないけど、その場合に、どっちの方が自分にとって得なのかって考えて使い分けるのがいいと思うよ。それと、「いっぱい」っていうのは、何か前に言葉をくっつけて使うんじゃないかな。「トラックいっぱいのおやつ」なんていうふうにね。「たくさん」っていうのは前に言葉をつけないでしょ。だからきっと「たくさん」は「限りなく多い」っていう意味になるんだろうね。
そういうのをいろいろ考えてみると、日本語の達人になれるよ。
歌手・タケカワユキヒデ 先生
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「午前中」とは言いますが、どうして「午後中」とは言わないんですか?
小3・おとこ
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福尾先生:いいことに気がついたなあ。全然わかんないや。でも「ひるひなか」って言い方はしますよね。それから「真夜中」って言う言い方もしますよね。もちろん「夜中」と言うのもありますよね。そうやって考えていくと、「午後中」って言うのがあってもいいよね。
「中」ってどういう使い方なんだろう?あ、普段使っている先生がいました。「午前中は風力3,雪になるでしょう。」なんて言っている大野先生に聞いてみましょう。大野先生、お願いします。
大野先生:これねえ、「中」って言葉を調べてみるとなんとなくわかってくるんですよね。「中」って「その最中」って言う意味もあるんですけれども、「その時いっぱい」って言う意味もあるんですよ。だから午前中っていうと、午前の間とお昼までという意味があるんです。そうすると、仮に「午後中」って言葉があると、お昼から真夜中の12時までと言う意味になってしまうんですね。でも、真夜中の12時までっていうと違う言葉があるじゃない。「今日一杯」って。そういう言葉が代わりになっているから、段々「午後中」って言葉を使う機会がなくなって、使わなくなったんじゃないかなって思いますよ。
トラや帽子店・福尾 野歩 先生
気象予報士・大野 治夫 先生
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「三竦み(さんすくみ)」ということわざがあるけど本当にヘビはナメクジをこわがっているの?
小6・女
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まず、「三竦み(さんすくみ)」ということわざの意味ですけど、ヘビがナメクジをこわがり、ナメクジはカエルをこわがり、カエルがヘビをこわがる様子から「お互いに動きがとれなくなる」意味なんですね。
じゃあ、さっそくヘビについて考えてみよう。ヘビには小さなヘビもいるし大きなヘビもいる。そう考えると、大きなカエルだったら小さなヘビなんかやっつけちゃうよね。
ナメクジというのも本当は「ナメクジラ」っていう名前なんです。今は「ラ」がなくなったけど、昔は巨大なナメクジがいたんだね。でも、ナメクジがヘビを攻撃していたわけではないらしいし、本当にヘビがナメクジをこわがっているんでしょうか。それはね、たぶん大きなナメクジ、それこそ「ナメクジラ」って言われるようなわけの分からない大きなドサッとしたもの、つちのこみたいなものもふくめてみるとヘビだってこわがるかなっていう気がするんですよね。
それと、僕らの時代というのは、忍術(にんじゅつ)使い、つまり忍者が、何かの動物を化け物みたいに大きくするというものがありました。その巨大化した生物をあやつって敵を倒すなんてものもあったんです。
そうしたら、ヘビも大きなナメクジを見て「強そうな奴が来た!」とドキッとすることもあると思うんだよね。そして今度は大きいカエルが来たら、ナメクジがびっくりしちゃう。その繰り返しなんじゃないかな。
あとね、もしかしたら、ヘビ・ナメクジ・カエル、それぞれ気あまり持ちのいい生き物じゃないよね。だからお互いがお互いを見て、「気持ち悪い」ってすくんじゃったのかもしれないよね。
放送タレント・永 六輔 先生
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「屁のカッパ」って、どういう意味があるんですか?
小3・おんな
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「カッパ」ってさぁ、実在の動物じゃないってことは知ってるよね。
こども:はい
東京には「合羽橋(かっぱばし)」なんていう所があって、その昔カッパが現れたという言い伝えなんかもあるけどね、でも動物園にはカッパはいないでしょう?
マンガとかにもカッパが出てきたりするけど、あれはあくまでも想像上のことなのね。
その「カッパ」の「屁」、つまりおならね。想像上の生き物のおならなんて頼りないでしょう。想像だけの頼りないものの「屁」だから、すごく頼りないよね。
そういう、頼りないこと、たやすいことを、「カッパの屁」って言うんです。普通は「屁のカッパ」って言ってるけど、もともとは「カッパの屁」なのね。
もうひとつは、「木っ端の火(こっぱのひ)」から音が変化したということもあるの。「木っ端」ってわかるかな?木のかけら…小さい木のことね。
「木っ端みじん」って言うでしょう。あの「こっぱ」です。木っ端は火をつけても、ポッとしかつかないでしょ。
かけらだから、いきおい良くはつかなくて頼りないよね。その頼りないことを表すのに「木っ端の火」って言って、それがだんだん「こっぱのへ」に変化して、「かっぱのへ」になって、いつのまにか「かっぱ」と「へ」が入れ替わって「へのかっぱ」というふうになったんですって。 おもしろいね。とにかく、それくらい頼りないこと、なんの問題にもならないことを言うんですよ。
放送タレント・永 六輔 先生
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「レッテルを貼る」というのは、誰が言った言葉なのですか?
小4・おんな
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その言葉は誰から聞いたの?
こども:ことわざ辞典で見ました
そっか。どういう意味でしたか?
こども:その人やその人の能力を勝手に決めつけるってことです。
なるほど、その通りですね。この「レッテル」という言葉は、もともとラテン語なんです。
でも日本に入って来たときには、オランダ語として入ってきました。「蘭学(らんがく)」というのが入って来た頃なんですね。
それで「レッテル」というのは、英語で言う「letter(レター)」と同じなの。
わかるかな?オランダ語で「レッテル」と言うと、英語では「レター」と同じことなのね。
つまり「文字」とか「手紙」という意味です。だから、日本に入って来たときにはそういう意味しかなかったんですよ。
ところが、日本で独特に、ちがう意味として使うようになったの。日本では、何かに名前を付けるときに書いた札みたいなものを「レッテル」って言うでしょう?だから、例えば「これは麦茶ですよ」と言うために「麦茶」って書いた紙を貼り付けたとします。すると、その中身が麦茶じゃなくても、勝手に麦茶と決めつけることになるでしょ。
それで「レッテルを貼る」という言葉が「勝手にその人のことを決めつけてしまう」っていう意味の使われ方になっていったのね。
だから、誰が最初に言ったかはわからないけど、こうやって、むかし日本に入ってきた言葉は、本来の意味から変わって使われているものがいっぱいあります。こういうのを調べていくとおもしろいかもしれませんよ。
エッセイスト・神津 カンナ 先生
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ことわざはいつごろ出来たのですか?
小5・おんな
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まず「ことわざ」っていう言葉を分解するね。
そうすると「こと」の「わざ」、つまり、言葉の技(わざ)なんです。
「技」は分かりますね。スポーツでも「この技は」とか言うでしょう。すぐれた、いい言葉というのは、それを誰かが使うことによって、気持ちが上手く伝わったりするものなのね。
だから、いつ出来たかというより、昔の人たちが言っていた言葉が、今に言い伝えられているんですね。
それにね、「ことわざ」を漢字で書くと、ごんべんに「彦」って書くの。「彦」という言葉は、「優れている」という意味なのね。というわけで、優れた言葉のことを「ことわざ」って言うんだね。
僕は小さい時から「稔(みの)るほど頭(こうべ)をたれる稲穂(いなほ)かな」なんていう言葉が好きなんですが、知ってます?
こども:はい
あ、知ってた?うん、僕はあのことわざを大事にして、今もキミにていねいにことわざの話をしているんですよ。「稔るほどこうべをたれる稲穂かな」って頭を垂れながら・・・優れた言葉ですよね
三屋先生:私が好きなのは「大は小を兼ねる」です。 (一同:笑)
「大は小を兼ねる」、いいですねえ、三屋さん大きいんだものねぇ。
三屋先生:ラジオで聴くとすごく大きく聞こえるけど、そんなに大きくないのよ!
(一同:笑)
でも、色々なことわざを覚えるのって、話題が豊かになって楽しいですよ。
放送タレント・永 六輔 先生
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昔の「あいうえお」は「いろはにほへと」だったって聞いたのですが、どうして「いろはにほへと」が「あいうえお」になったんですか?
小6・おとこ
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今、キミは「いろはにほへと」って言ったけど、実は、ある説では、「いろは・・・」じゃなくて、「色は匂えど、散りぬるを・・・」という言い方なんです。 つまり、それが「いろは」のもとになったという説なの。もっと言うと、「色は匂えど、散りぬるを、我が世誰ぞ、常ならむ」という言い方なんだけどね。 でも、ただ「いろは・・・」って見ると、文字が並んでいるだけに見えるでしょう?でも、これは本来は、ちゃんと意味のある「うた」なんですよ。 人が使っている言葉、例えば今、僕は「ことば」という言葉を使ったけれど、これは「こ」と「と」と「ば」を組み合わせたものでしょう?こういう風に、字を組みかえて、別の言葉に作り替える遊びがあるんですよ。 言葉遊びの中から、音をつなげて、意味のあるうたにするの。それで「色は匂えど…」が「いろはにほへと」になったんですね。 で、「あいうえお」っていうのは、キミは「母音(ぼいん)」「子音(しいん)」ってわかるかな?母音は、「あいうえお」のこと。で、今日の電話のお姉さんは広重(ひろしげ)さんだけど、「ひーい、ろーお、しーい、げーえ」となるので、母音は、い・お・い・え、になるの。もっとわかりやすくすると、キミはローマ字を知ってる?
こども:はい
ローマ字も、hとiを組み合わせて「hi(ひ)」という音をつくるでしょう?同じように、日本の音を、母音と子音の組み合わせで分けたものが、「あいうえお」っていうものなの。 「あいうえお」のほうは、ただそういう決まり事なんだけど、「いろは」の方には本当は、意味があるんです。意味のある「うた」なの。 で、こんなにすごいものを作るのはきっと立派な人に違いない、それはきっと弘法大師(こうぼうだいし)だ、ということで、これをつくったのは弘法大師という説になっているんですよ。
放送タレント・永 六輔 先生
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はがきとかに「○○様」って書くけど、同じ「様」を使う「貴様」という言葉はいい言葉なんですか?
小3・おんな
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あのね、実は「貴様」っていうのは、もともとは相手を悪くいう言葉ではないの。
「貴い」という字と「様」という字で構成されているぐらいだからね、昔はとっても大事な人のことを「貴様」って言ってたのね。
それがだんだん「きさまぁ!」って、悪くいう感じに変わってきちゃったの。他にも、例えば「馬鹿」って嫌な言葉でしょう?だけど、お母さんがキミのことが可愛くて仕方がなくって「バカねぇ」っていう時って全然嫌な感じがしないじゃない?こういう風に、言葉というのは意味がだんだん変わってくる場合があるんです。
それから、もう一つ。あなたのお友達でも自分のことを「ぼく」っていう子がいるでしょう?あの「僕」という言葉は本当は「しもべ」と言う意味で、一番悪い言葉なんです。それがだんだん意味が変わってきて、普通に使える言葉になったの。昔は自分が相手に対して「私はあなたより身分が低い」という意味で使ったんだよ。
面白いね、言葉って。使う人の問題なのね。「貴様」っていっても大事な意味できちんと使う人もいれば、相手をいじめる時に使ってしまう人もいるんです。本当に言葉というものは、使う人が意味を変えてしまうものなんです。だから、キミもこれから言葉は大事に使って下さいね。
放送タレント・永 六輔 先生
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