追悼 野際陽子さんを偲ぶ 弁護士二重丸承子

2017年6月19日

あらすじ

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二重丸承子(野際陽子)は弁護士。といっても、今は引退を決め込み、娘の玲子(森口博子)とその夫・俊樹(沢村一樹)に弁護士事務所を継がせて、自分は教習所に通っている。ペーパードライバーを返上し、亡き夫・孝之(竜雷太)のキャンピングカーで日本全国を回るのが夢なのだ。

 承子が教習所で態度の悪い教官とバトルを繰り広げた直後、玲子から電話が入った。殺人事件の容疑者である水村早苗(原沙知絵)という娘が承子に弁護を依頼してきたというのだ。承子はその名を聞いて愕然とした。15年前のことだが、承子には決して忘れられない事件だった。承子は力を尽くしてある殺人容疑者の無罪を勝ち取った。ところがその男が別の殺人の現行犯で逮捕されたのだ。早苗は殺された女性の娘だった。
 
早苗は、不動産会社社長・大谷卓治(不破万作)殺しの容疑をかけられていた。長嶋幾(石井トミコ)という女性が事件の後に公園で手や服に付いた血を洗い落としている早苗を目撃していたと証言した。しかも早苗の出したゴミ袋の中から犯行に使われたナイフが発見されたのだ。
 
接見に赴いた承子に、早苗は挑戦的な態度をとる。大谷が殺された時刻のアリバイはあるが言いたくない。だが15年前に殺人犯を無罪にした承子なら、アリバイを言わなくても自分を無罪にできるだろうというのだ。承子は早苗の無実は信じるが、自分を信頼してアリバイを話してもらえないなら弁護はできないと告げた。押し黙る早苗。承子があきらめて帰ろうとした時、早苗の唇が動いた。その言葉を聞いて承子は慄然と立ちすくんだ。早苗は犯行時刻に、被害者とは別の人間を殺していたという…。