ニュースの視点

ニュースの視点 午後3:00〜4:00 再放送 同日午後9:00〜10:00

事件・事故や政局、環境や教育問題、経済の動向から国際政治まで・・・。限られた時間では、伝えきれない事実や真実、捉え方があります。「ニュースの視点」では、時事問題の中から毎日一つのテーマを絞り、時にはゲストや専門家を招いたり、現場から生中継を繋いだり、TBS NEWSのキャスターが、政治部、経済部、社会部、海外特派員などの現役記者や解説委員と共に、ニュースの本質に迫ります。

2020年12月放送

2020年12月30日放送

#2573「今年の映画を振り返る」

ゲスト:アナウンサー 宮内鎮雄さん
解説:「報道特集」金平茂紀キャスター
キャスター:米澤かおり

【テーマ】
2020年もあっという間に終わろうとしています。今回もアナウンサーで年間600本以上もの作品を鑑賞するというアナウンサーで映画通の宮内鎮雄さんと、「報道特集」の金平茂紀キャスターとともに2020年下半期公開の映画を振り返ります。

▼宮内さんの下半期ベスト作品
(1)「オフィシャル・シークレット」/(2)「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」/(3)「アルプススタンドのはしの方」/(4)「瞽女 GOZE」/(5)「ミッドナイトスワン」

▼金平キャスターの下半期ベスト作品
(1)「異端の鳥」/(2)「はりぼて」/(3)「れいわ一揆」/(4)「パブリック 図書館の奇跡」/(5)「ソワレ」

▼宮内さんの2020年ベスト作品
(1)「オフィシャル・シークレット」/(2)「娘は戦場で生まれた」/(3)「淪落の人」/(4)「アルプススタンドのはしの方」/(5)「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」
※宮内さん“「パラサイト 半地下の家族」は別格としてあえて外しました”

▼金平キャスターの2020年ベスト作品
(1)「パラサイト 半地下の家族」/(2)「異端の鳥」/(3)「はりぼて」/(4)「レ・ミゼラブル」/(5)「れいわ一揆」

【放送後記】
新型コロナウイルスに翻弄された2020年。映画界も例にもれず厳しい状況に置かれましたが、逆境に負けない力強さも見せました。宮内さん・金平さんのランキングには入りませんでしたが「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の歴史的大ヒットです。興行収入は「千と千尋の神隠し」を超え歴代1位になりました。人々の「映画を観たい」という気持ちは、コロナ禍にあっても変わらず根底にある——むしろ強くなったと実感する出来事でした。
今回ランクインした中で私のお気に入りの作品は「ミッドナイトスワン」です。トランスジェンダーの凪沙と育児放棄された一果。それぞれの孤独と苦しみを抱えながらも徐々に心を通わせ希望を見出していく過程がとても優しく描かれていました。
また、クラシックバレエを習っている身としては、一果役・服部樹咲さんの踊りも注目のポイントでした。バレエの所作や舞台上の雰囲気など、仮に知らない人が作ったものであれば違和感があるはずなのですが、それを全く感じさせませんでした。服部さんの踊りは一流で、プロの舞台を見ている錯覚に陥るほどでした。複雑に絡み合う孤独と、白鳥のはかない美しさが折り重なって何度も涙が出ました。
先の見通せない状況はまだ続きそうですが、新しい年もたくさんの作品に出会いたいと切に願います。(米澤かおり)

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2020年12月29日放送

#2572「田中泯はなぜ踊る」

解説:「報道特集」 金平茂紀キャスター
キャスター:福島佑理

【テーマ】
12月の初め、東京・池袋にある東京芸術劇場で舞踊家の田中泯さんと思想家・編集工学者の松岡正剛さんによる舞台「村のドン・キホーテ」が開催されました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、文化・芸術が立つ舞台を失っていくなか、敢えてステージに立った二人。その思いとは…2時間に及ぶステージの一部、そして単独インタビューの模様をお伝えしました。

【放送後記】
“自分の中、あるいは頭の中に浮かぶ大切な、大切なことはぜひ死ぬまでに吐いて死にましょう。(中略)どんな言葉でもいいから出しましょう。なんか、小便やうんこだったらね、空の雲になれるかもしんないけど、その体の中にある言葉は何にもなれないんですよ。”
 田中泯さんのこの言葉に、私はなぜか涙が出そうになりました。自分の中にある考えや気持ちは大事なことだと言ってもらえたような気がして。それを言葉にすることを許されたような気がして。田中泯さんのどんなことも受容してくれるような、大きく懐の深い言葉が心に響きました。スタジオで金平キャスターが話していましたが、コロナ禍で顔だけでなく心にもマスクを着けているような思いを感じていた方もいたかもしれません。その中で開催された舞台でのこの言葉には救われるような心地がしました。
 “踊りは言葉を熱望していた表現だ”と田中泯さんは言います。言葉というコミュニケーション手段が生まれる前、人は内側にあるものを“踊り”として放出していたのではないか。今、言葉は“踊り”にあった熱量を失ってはいないか。今回、踊りや体について考えるとともに、言葉についても自分なりに理解を深められた気がします。(福島佑理)

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2020年12月23日放送

#2571「死刑を免れた男たち~仮釈放の現実~」

解説:「報道特集」巡田忠彦 記者
キャスター:釜井美由紀

【テーマ】
2004年の法改正後、有期刑の最高が30年に引き上げられたため、無期懲役囚は、仮釈放までに最低でも30年の服役が必要になりました。遠い仮釈放。同時に塀の中の高齢化は進んでいます。そんな「死刑を免れた男」の仮釈放の現実について「報道特集」の巡田忠彦記者に聞きました。

【放送後記】
無期懲役囚は死ぬまで刑務所の中というイメージがありましたが、仮釈放の制度・実態について、今回初めて知ることになりました。
“いつかは刑務所を出て生きて社会に帰りたい”という執念を持つ無期懲役囚が多い中、岡山刑務所で仮釈放される無期懲役囚は例年1人いるかどうか(※令和元年は10人)。近年の厳罰化の流れからすると当然ともいえますが、塀の中は介護施設化・高齢化が進んでおり、その解決法もないのが現状です。
仮釈放された人への同行取材の様子を見ましたが、塀の中での30年以上の時を経て外に出ると、かなりのものが目新しく、外の世界に順応して生きていくのは容易ではありません。また簡単には社会に受け入れられない中で、古松園のような更生保護施設はとても重要な存在だと感じました。 古松園の園長の話として、「受刑者は服役してから時間が経つごとに自分の犯した罪が軽くなったと錯覚に陥るのではないか、謝罪の気持ちよりも自分の一生を棒に振ったという後悔の方が大きいのでは」と聞き、非常にショックで残念な気持ちになりました。単純に語れる問題ではありませんが、被害者や遺族の感情を考えると、被害者への償いの気持ちを忘れないでほしいと感じます。(釜井美由紀)

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2020年12月09日放送

#2570「米大統領選 トランプ後の世界は」

ゲスト:米在住ジャーナリスト 津山恵子さん
解説:「報道特集」金平茂紀キャスター
キャスター:福島佑理

【テーマ】
アメリカの大統領選挙は現地11月3日に投票が始まり、郵便投票の集計などをめぐり異例の展開をみせたものの、11月7日、メディアが一斉に民主党・バイデン氏の当選確実を報じ、一応の決着を見ました。この異例の選挙戦について、現地で取材した二人のジャーナリスト、津山恵子さんと「報道特集」の金平茂紀キャスターに聞きました。

【放送後記】
“But while I may be the first woman in this office, I will not be the last.”
“私はこのオフィスで最初の女性ですが、最後ではありません。”
 
 これは、副大統領に指名されたカマラ・ハリス氏の演説での言葉です。私の後にもどんどん女性が続いていくんだという力強い言葉。津山さんによると、カマラ・ハリス氏は女性から圧倒的な人気があるといいます。スピーチでのこの言葉、登場した時の雰囲気・・・その人気も頷けると思いました。同じ女性としても活躍を応援したくなる気持ち、よくわかります。
 また、津山さん・金平さんの現地取材では、トランプ氏の熱狂的支持者たちについてのお話も印象に残っています。選挙集会では日本では考えられないくらいの熱量で、マスクをしない自由を掲げてマスクを着けていない人も多く、身の危険を感じることもある中での取材だったそうです。津山さんの記事によると、トランプ支持者たちの中にはアメリカ経済の立て直しに対して期待を寄せている人も多いということです。実際、トランプ氏の支持率は4年の間、約4割を維持していたといいます。民衆の関心を強く引きつける巧みな演説、アメリカ・ファーストを掲げる愛国的な政策などが熱狂的支持を集める理由の一つなのだろうと思います。(福島佑理)

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