2019年11月26日放送
#2561「ダウン症」と「形質細胞性白血病」2つの病に立ち向かうことから学ぶ
ゲスト:玉井真理子さん(信州大学医学部保健学科准教授)
解説:小嶋修一解説委員
キャスター:米澤かおり
【テーマ】
「何が何でも、生き延びて」
そう願う母親は、「ダウン症と難病の血液がん」という2つの病を抱えた息子から片時も目を離すことができない。
このような特殊でまれなケースに身をおく患者やその家族はどう向き合うのか、また行政などに何が求められるのか。
母でありながら臨床心理士で医学部で生命倫理などを教える医学に携わるプロでもある玉井真理子さんとともに「医療のスキマ」を考える。
【放送後記】
ダウン症と発症が非常に珍しく治療法が確立されていないという難病「形質細胞性白血病」を患った玉井拓野さん。
看病の合間を縫って母親の真理子さんにスタジオにお越しいただいたのは、真理子さんの「息子が?ここにいる?ことを知ってほしい」という強い願いからでした。
知的障害があって症状をうまく言葉で伝えられなかったり衛生を保てなかったりと、ダウン症であるがゆえの大変さを話していただきました。
一方で救われることもあるといいます。たとえば拓野さん本人が病気を自覚していないこと。
これまでと変わることなく持ち前の明るさを発揮し、周囲への愛情表現も欠かさない様子から、真理子さんは拓野さんを「元気な重病人」と表現していました。
その明るさは真理子さんはじめご家族や病院のスタッフなど、拓野さんとともに病と闘っている多くの人にとっても?生きる希望?になっているのではないかと感じました。
2019年11月05日放送
#2560「死刑を免れた男たち〜仮釈放後の生活〜」
解説 :「報道特集」 巡田忠彦 記者
キャスター:河野千秋
【テーマ】
現在、全国の刑務所には、約1800人の無期懲役囚が服役しています。以前は15年ほどで仮釈放されたケースも少なくなかった無期懲役も、2004年の法改正後は、仮釈放はほとんど認められず、塀の中の高齢化に拍車がかかっています。そんな中、仮釈放された無期懲役囚、「死刑を免れた男たち」の素顔に迫ります。
【放送後記】
約1800人。まずこの数に驚きました。そもそも無期懲役囚がいるということは、被害者も(少なくとも)同じだけいるということ。そして残された家族や友人がそれ以上にいるということ。被害者たちの存在抜きに今回の問題を語ることはできません。このうち仮釈放されるのは年間わずか10人足らずだといいます。被害者側の感情や、最近の厳罰化の流れを見ると、当然と思うかもしれません。ただ、実際に刑務所の中の実態を目の当たりにすると、今のあり方が果たして正しいのか、と、疑問も湧いてくるのです。自分の罪をすっかり忘れてしまった高齢の受刑者。そうした高齢者の入浴を介助する受刑者たち…。そうした中で、更生保護法人「古松園」の取り組みには本当に頭が下がります。社会でどう受け止め、再出発を支えるのか。「誰かが」、「どこかで」ではなく、「ここで」、「自分が」やらなければという岩戸園長の思いは温かく、素晴らしいと思いました。死刑を免れた、無期懲役囚。皆さんは、どう感じましたか。(河野千秋)