ニュースの視点

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事件・事故や政局、環境や教育問題、経済の動向から国際政治まで・・・。限られた時間では、伝えきれない事実や真実、捉え方があります。「ニュースの視点」では、時事問題の中から毎日一つのテーマを絞り、時にはゲストや専門家を招いたり、現場から生中継を繋いだり、TBS NEWSのキャスターが、政治部、経済部、社会部、海外特派員などの現役記者や解説委員と共に、ニュースの本質に迫ります。

2018年07月放送

2018年07月14日放送

#2538「今年の映画を振り返る」

ゲスト  :宮内鎮雄さん
解説   :「報道特集」金平茂紀キャスター
キャスター:上野愛奈

【テーマ】
あっという間に半年が過ぎました。今回も、アナウンサーで年間600本以上もの作品を鑑賞するという映画通・宮内鎮雄さんと、映画や文化、音楽に触れるのが大好きだという「報道特集」の金平茂紀キャスターとともに2018年上半期公開の映画を振り返ります。

▼宮内さんのベスト作品
(1)「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」/(2)「タクシー運転手 約束は海を越えて」/(3)「はじめてのおもてなし」/(4)「空飛ぶタイヤ」/(5)「アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル」/番外「カメラを止めるな!」/「孤狼の血」/「万引き家族」/「ニッポン国VS泉南石綿村」/「アンロック/陰謀のコード」/「ワンダー 君は太陽」
▼金平キャスターのベスト作品
(1)「万引き家族」/(2)「ザ・スクエア 思いやりの聖域」/(3)シェイプ・オブ・ウォーター/(4)「タクシー運転手 約束は海を越えて」/(5)「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」/番外「ニッポン国VS泉南石綿村」/「スリー・ビルボード」/「ラッカは静かに虐殺されている」/「ラジオ・コバニ」/「馬を放つ」/「審判」/「私はあなたの二グロではない」

【放送後記】
恒例となったお二人による今年上半期公開映画の総まとめです。今期は、制作者も驚くほどのヒットとなった『カメラを止めるな』、米・アカデミー賞作品賞受賞の『シェイプ・オブ・ウォーター』など、話題作がいっぱい。映画を語り始めたら止まらないお二人のトークも、いつも以上に盛り上がりました。いつも、お二人がスタジオで取り上げたい作品リストを事前にお教えいただいて、私が見ていなかった作品は、急いで全部見てからスタジオに臨むのですが、今回、取り上げた作品の中で最も心に響いたのは、何と言っても『万引き家族』でした。東京の下町で、万引きで生計を立てている家族の物語です。団地で拾われた少女は、素性がバレないように髪を切り、名前を変えます。少女が、肉親との関係を断絶できたことを喜ぶシーンは胸が、痛くなりました。社会の規範から逸脱したなかで結びついている血のつながりのない家族だからこそ、その絆は、悲しくも暖かいのです。その中心にいる母親役を演ずる安藤サクラさんの演技には、オーラすら感じました。この『万引き家族』は、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞「パルムドール」を受賞し、話題となりました。日本映画としては21年ぶりの快挙だそうです。是枝監督は、テレビ・ディレクター出身。1年以内にテレビ番組を制作している時は、肩書きに「映画監督」とともに、「テレビ・ディレクター」と入れるのだそうです。自身の出身はテレビ、との思いが強くあるのでしょう。あるインタビューで、テレビは「今を生きている人と、向き合うメディアだから」と話されていました。今回の『万引き家族』も、“いま”という時代を捉えつつ、普遍的な人と人の繋がりが、繊細に描かれているように感じました。
(上野愛奈)

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