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手作りフリップ

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8月31日放送

物流ストップに停電・断水も? 富士山噴火が首都圏に与える“衝撃”「いつ起きてもおかしくない」

■「いつ噴火が起きてもおかしくない」“活火山”として監視

日本のシンボルでもある富士山は、5600年の間に180回もの噴火を繰り返してきたことが、地層の分析などによってわかっています。古文書などで噴火の記録が確認できるのは、西暦781年以降で少なくとも10回。そのうち7回は1083年までの300年ほどの間に起きていました。

その後の約350年間、噴火のない時期が続いた後、1435年に1回、そこから約80年経った1511年に1回、そして、さらに約200年経った1707年に、これまでで最大級とされる「宝永噴火」が起きています。

当時の絵には、富士山の山腹に噴火口ができて、噴煙が上がる様子が描かれ、「富士山が雷のように鳴って、16日間焼けた」などと記されています。

この宝永噴火を最後に、300年以上噴火は起きていませんが、2000年に、富士山の地下でマグマが活動していることを示す「深部低周波地震」が多数観測されたことなどを受け、気象庁が「活火山」として監視を始めました。

山梨県富士山科学研究所・吉本充宏研究部長は「300年というのは、10万年間活動する富士山にとって短く、いつ噴火が起きてもおかしくない」と指摘。こうした状況の中、政府は噴火した場合の影響などについても調査を進めてきました。

■大規模噴火を想定したシミュレーション 東京・新宿付近でも約10センチの降灰か

そして今回政府が公開したのが、前回の「宝永噴火」と同規模の大噴火を想定したシミュレーションです。今回は山頂から噴火し、火山灰が首都圏に大きな被害を与える風向きを想定して分析しています。

その降灰の厚さを可視化してみると、例えば、富士山から25キロに位置する神奈川の丹沢湖付近で1メートル。60キロ離れた相模原市付近では30センチ。100キロ離れた東京・新宿区付近でも10センチ降り積もるという予測。▼10センチ以上積もると、二輪駆動の車は走行不能となり、雨が降ってぬかるむと、3センチでも走行不能になるとされているので、首都圏では物流がストップし、食料や生活必需品を手に入れることが難しくなる恐れがあります。

電車も、わずかな火山灰でも電車とレールの間に積もると、通電不良が発生するので、運行できなくなるといいます。

その他のインフラへの影響ですが、電線にわずか3ミリでも火山灰が積もったところに雨が降ると、停電が発生する可能性があり、大量の火山灰で河川などの水質が悪化し浄水施設の処理能力を超えると、水道水が飲めなくなったり断水したりする恐れもあります。

これはあくまでも最悪のケースの1例ですが、都市機能が失われ得る富士山の噴火。 政府は「2週間分の食料・飲料などを備蓄しておくことが望ましい」としています。

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