史上最速での横綱昇進を確実にした、大関・大の里。
石川県出身の24歳、小学1年生で相撲をはじめ、中学から親元を離れて新潟県の強豪校に通いました。日体大では、2年連続でアマチュア横綱のタイトルを獲得しています。
■大の里の横綱昇進に振り返る“相撲番付”
そもそも、相撲界の頂点に立つ「横綱」とは、どれだけ凄いのかを説明します。
番付表に名前が載る力士は600人ほどいる中で、最も下の「序ノ口」から始まり「序二段」「三段目」「幕下」と、ここまでは付け人として関取の力士に仕えながら修行する立場です。給料はありません。
そして「十両」から、ようやく関取となって給料がもらえます。いわゆる「幕内」がこの「前頭」以上。そこからさらに「小結」「関脇」「大関」と昇進し、大関の立場で2場所連続優勝か、それに準ずる成績でようやく頂点の「横綱」となるのです。
この横綱の座を入門してわずか2年程、13場所で手にしようというのが大の里です。
現在の年間6場所制になって以降、これまで最も早かった朝?龍でも25場所。白鵬(38場所)、貴乃花(41場所)、千代の富士(66場所)といった名だたる大横綱でもそれ以上かかっていますので、13場所という大の里の速さが際立っています。
このスピード昇進を実現させた要因の一つに、「幕下付出」という制度があります。この制度の特徴は、大の里の「アマチュア横綱」のように、特別に優れた成績を収めて入門した力士が「幕下」の番付からスタートできる仕組みです。
ただ、この「幕下付出」からスタートして横綱になれたのは、大の里以前には輪島だけです。この輪島でさえ21場所を要しているので、やはり大の里の出世の速さがよく分かります。
番付は場所ごとに勝ち越せば上がり、負け越せば下がるのですが、なんと大の里はデビューから13場所すべてを勝ち越していて、これも史上初の偉業なんです。
■相撲界の“大谷翔平”!? 圧倒的な強さの理由
では、その類まれな強さの理由はどこにあるのか。
まずは身長192cm、体重191kgという恵まれた体格。一般的に200キロ近い大きな力士は、どうしてもスピードや技で劣る事が多いんですが、大の里はそこが違います。
元横綱・若乃花の花田虎上さんは「体格を活かした突き押しのパワーだけでなく、相手によって戦い方を変える柔軟性もある」と言います。さらに、「立ち会いの踏み込みが早く、運動能力が高い。この体格では、まさに鬼に金棒」と指摘。「相撲界の大谷翔平のような、規格外の存在だ」と絶賛します。
大関昇進時の口上で述べた「唯一無二」の言葉を、すでに体現しつつある大の里関。どんな横綱になっていくのでしょうか。
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