日曜劇場『集団左遷!!』

インタビュー

【1】福山雅治さん
オファーがあった時の感想
台本には、会社勤めをされている多くの方が抱えてらっしゃるのではないかと思われる迷いや葛藤が描かれていました。
僕は18歳の頃5か月間だけ会社員をやったことがあるのですが、正直その頃は組織のなんたるかということや、上司・部下の関係性だったり、その人間模様を深くは理解出来てなかったと思います。それでも、エンターテインメントの世界で30年ほどやらせていただいて、自分の所属するプロダクションやテレビ局やラジオ局の方々、紙媒体等、様々なスタッフさんの人間模様、組織の悲喜交々のお話を聞かせていただくと、上司・部下、組織…誠に勝手ながら本当に大変だなと思うようになりまして(笑)。
loading......

僕は会社員ではありませんが、組織の中で、自分らしさをキープしながら、戦い方、勝ち方、負け方、模索して日々頑張ってらっしゃる人たちの人生を見たり聞いたりさせていただいています。とはいえ、わかっちゃいない部分ばかりだとは思いますが、およそ4か月間、久しぶりの会社勤めを疑似体験させていただきながら、組織人の悲喜交々を体現させていただける。50歳になった自分が挑戦すべき作品だと感じました。
演じる片岡洋という人物
キャラクターについてはプロデューサーと監督から「とにかく部下から愛される支店長になって欲しいです」というリクエストをいただきました。
愛されるという要素は、人の上に立つものにとってとても大切な要素だと思います。
「愛されるためには、先ずは自分から愛すること」。それをどう表現するのか?自問自答していく4ヶ月になるんじゃないかなと。
loading......

また、愛されキャラであると同時に、片岡は熱血漢でもあるので、その熱血が片岡のどこから来て、何がそうさせるのかということも、自問自答していくことになると思います。彼は、頑張らずにはいられないタイプ。だけど、いろいろなことが不器用ですから、僕がもし彼の部下だったら「この上司、アイデア持ってないんだなあ」と思っちゃうかもしれない(苦笑)。けれど、解釈によっては片岡はイノベーター(革新する人)です。勢いと熱量だけで「この人を支えなきゃ」と周りに思わせる人物。リーダーはアイデアやテクニックじゃないところで求心力を持つ人もいる。彼はそのタイプかもしれないなと思っています。
片岡を、魅力的な人間としてつくりあげることが僕の今回のミッションですね。
そんな片岡が、廃店に追い込もうとする銀行本部に立ち向かいますが
何をもって、あきらめずに、戦おうとするのか…。片岡には家庭もあるし、「頑張らずに何もしなければ、本部には戻れます」、という約束もしてもらっているけど、それでも戦おうとする。それはもう、“自分の生き方に殉ずる”という、彼の生き様ですよね。生き様に殉職するんだという覚悟。
でも、それがただの玉砕にならないようにしなければいけないなと。片岡を演じるうえで、そこは慎重になりたいと思っています。
今まで撮影してきたなかで、印象的なシーン
こんなに走って、こんなにアザだらけになるとは思っていませんでした(笑)。
結構肉体で表現する作品なんです。
なので、その肉体の躍動感が、視聴者の方により高い熱量を感じさせてくれるドラマになるのではないかと思っています。
個性豊かな出演者たちとの共演
loading......

目指すは「ロッキー・バルボア」(映画「ロッキー」主人公)です(笑)。最後はロッキーのように、気づけば走っているロッキーの後をみんなが付いてきてくれるようになると嬉しいです。それくらい愛され、愛すべき支店長になれるかどうかが、今回の片岡洋のテーマだと思っています。
すでに、蒲田支店は素晴らしいチームワークを発揮してますから、その熱量を絶やさぬよう、片岡に情熱の火に薪をくべ続けなければいけないと思っています。
1話では、車で引きずられるシーンなどもありましたよね?
あの部分はトム・クルーズさんオマージュですかね(笑)。イメージは飛行機に捕まって、そのまま上昇してしまうっていう。
銀行ドラマというだけでなく、エンターテインメントとして…
loading......

世界でも類を見ない銀行アクションエンターテイメントです(笑)。
肉体を使って走ったり転んだり、ゴルフバックで殴られたり、車に引きずられたり…というアクションもあり、ポイントポイントで笑ってもらえるような部分もあって。けれど、組織論や、上司・部下の人間模様を描くという部分も見応えがあって。老若男女、日曜の夜に存分に楽しめていただけるような全方位のエンターテイメント作品を目指したいと思っています。
副支店長・真山徹について
真山さんは、まず謎にみちたミステリアスな存在です。(敵か味方か)どっちに転ぶかはわからないですが、当然この作品のキーマンというのは間違いないです。
真山を演じる香川照之さんについて
大河ドラマでご一緒させていただいて以来です。「龍馬伝(NHK)」が2010年なので9年ぶり。さらにパワーアップしてらっしゃいます。パワフルかつ、より緻密に。
香川さんはお芝居の部分でも、合間のキャスト・スタッフたちとの談笑でも、オンでもオフでもこの『集団左遷!!』というドラマを盛り立ててくださってます。本当に、頼り甲斐がある頼もしい先輩です。
三友銀行・常務 横山輝生について
loading......

怖い存在です。単にパワハラとか、トップダウンだと、ただの嫌な奴ですが、横山さんには横山さんの正義がある。だからとても怖いんですよね。片岡だって熱血漢だけれど、49歳で何が組織の正論なのかがわかっている上で、さらに横山さんは正義を持って斬りにくる。だからこそ彼は怖いんですよ。
片岡は片岡なりの現場の正義を持っているし、その正義と正義のぶつかり合いが、このドラマの序盤で描かれています。本部が組織として成立させたいバランスか、支店として頑張りたいバランスか…。そこは本当に現実でも起こりうる組織の軋轢だと思います。
「頑張る」というキーワード
loading......

頑張らないで上手くいくことも人類の歴史上であったかもしれないけれど、でもやはり、誰よりも頑張った人が結果を出すことは間違いないと思うんです。
自分自身で言うのもなんですが、僕もそれなりに頑張ってきたつもりです(笑)。けれど、基本的には頑張る姿を人には見せたくない派なんです。だから「頑張ろうよ」とか「頑張るぞ」とか、究極のシンプルな答えは言いたくないんですよね。けれど、片岡は言っちゃう。その当たり前の結論を口に出してしまうのであれば、誰よりも片岡が頑張らなければいけない。「誰よりも汗をかくんだ、誰よりも走るんだ、誰よりも苦しむんだ、誰よりも悩むんだ!頼むよ片岡!」と。
メッセージ
片岡洋を演じます、福山雅治です。
日曜劇場『集団左遷!!』は、平成最後の下克上、そして令和最初の下克上。巨大組織で戦ういちサラリーマンの物語です。
上司、部下、組織、そして家族…、その中でどう生き抜いていくのかを模索するドラマでありながら、笑って、泣けて、そして、躍動感溢れるアクションもあります。360度全方位のエンターテインメントドラマになると思います。
老若男女問わず、ご家族みなさんで楽しんでいただければ。
新しい週、月曜の朝を元気に始められるようなドラマを一丸となって作っていきます。
日曜劇場『集団左遷!!』ぜひご覧ください。頑張って頑張って頑張ります!!