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2009年1月24日(土)よる7時スタート(初回2時間スペシャル)

インタビュー

Vol.04 横浜市安全管理局 特別高度救助部隊1係 秋田真澄 隊員

スーパーレンジャー隊 (SR) に配属になるまでの経歴を教えてください。

消防学校を卒業後、神奈川消防署の消防隊 (消火活動を担当する隊) を1年間務めました。その後、レンジャー (救助) 隊員の資格を取得するための選考試験を受験、23日間の厳しい救助教育を受けてレンジャー隊員の資格を取得し、同署のレンジャー (救助) 隊を3年間務めました。
次に鶴見消防署に異動して、同じくレンジャー隊で3年半勤務。そしてスーパーレンジャー隊 (注:配属当時の名称は機動救助隊) に配属され、現在に至っています。
スーパーレンジャー隊への配属条件として、レンジャー隊での経験が5年以上に加え、大型免許や潜水士の免許などの特殊な資格を取得していなければなりません。その他の条件として、スーパーレンジャーとしての身体能力や救助技術など、総合的に優れた隊員が配属されます。
私は比較的最短で、スーパーレンジャー隊員になったほうだと聞いております。

高橋隊長のお話では、当初からスーパーレンジャー隊に入ることを目標にしていたと伺いました。

そうです。ただ、消防に入る前は、スーパーレンジャーという存在は知りませんでした。
元々、私の兄が川崎市の消防士をしておりまして、それがこの仕事に就いたきっかけです。
私が高校2年生のときに、兄が消防学校を卒業したのですが、そのとき 『実科査閲』 がありました。『実科査閲』 とは、消防学校での訓練の成果を、先輩職員や家族も見学することが出来る総合訓練会です。そこで兄が活躍する様子を見て、『こんなにかっこいい仕事があったんだ』 と感動して、消防士になろうと決意したんです。
それまでは消防士という職業に、まったく興味がなかったのですが、消防服に身を包んだ凛々しい兄の姿に 『自分もああなりたい』 と憧れました。
そして消防士の仕事について調べるうちに、オレンジの救助服を着て人々の命を助けるレンジャー隊員になりたいと思ったんです。
兄も今、川崎市の救助隊で副隊長を務めているので、兄弟揃ってオレンジの救助服を着ていることになります。

『腕立て伏せ200回』 や 『グランド100周』 など、大地たちがドラマの中で受けている過酷な訓練は、実際に行われているんですか?

はい… いや、現実はもっと過酷です (笑)。
朝から夜まで、延々と 『ロープ登はん、降下 (昇り降り)』 を繰り返したりとか、『腕立て伏せ1000回』 なども、当たり前でしたから。
ですが、これは決して “イジメ” や “シゴキ” ではないんですね。
身体を鍛えるというより、精神力や気力を鍛えるために行っている訓練なんです。
そもそもレンジャー隊員の選考試験を受けに来ているのは、すでに消防士として数年にわたり活躍している者ばかりで、もう身体は充分鍛えられているわけです。
しかし 『腕立て伏せ1000回』 を、楽々こなせる消防士は、そうそういません。
1000回こなすのは、ものすごくきつくて苦しいのは判りきっているんですが、そこで 「もう嫌だ」 と止めてしまうようではダメなんです。
訓練で頑張れない者は、実際の災害現場で困難に直面したときにも、簡単に諦めてしまう。救助活動中に、レンジャー隊が諦めてしまっては、人命救助なんてできないです。
つらい状況から、どれだけ頑張れるか… そんな精神力・気力を鍛える訓練なんですね。

過酷な訓練に耐えるために、大地や豊たちのように仲間同士支えあったり、励ましあったりしたのでしょうか?

はい。やっぱりあの訓練は、一人ではとても耐え切れないです。仲間同士で励ましあってこそ、耐えられるものだと思います。
技術面などのアドバイスも仲間同士なら気兼ねなく教えあえるし、訓練で自分の至らないところなど注意してもらえると、『よし、次は頑張ろう!』 と奮起できる。
仲間同士が良い意味でライバル関係になることで、お互い切磋琢磨できるんですよね。
また苦しい訓練を乗り越えるごとに、どんどん絆が深まるのを感じます。
訓練中は共同生活をしていますが、日数が経つにつれて、朝、顔を合わせただけで相手が何を考えているか解るようになるほど、深い絆が生まれるんですよ。
実際、あのとき一緒に頑張った仲間とは、配属が異なった今でも連絡を取り合っています。

スーパーレンジャーの先輩たちについても教えてください。

消防職員には気さくな人間が多いんですが、中でもスーパーレンジャー隊には、おもしろくて愉快な先輩が多いですね。
24時間勤務なので、寝食を共にしながら長時間一緒にいますが、どの先輩もリラックスする時間には楽しく過ごし、やるべき時には真剣に取り組むというように、メリハリよく仕事をしています。
ボランティアで、小学校へ体育の特別授業を教えに行っている先輩もいるほどです。
消防の仕事とプライベートを無理なく両立し、楽しんでいる姿は、とても刺激になります。
また消防職員としても、私より10年以上キャリアを積んでいる先輩ばかりなので、毎日いろいろなことを教えてもらえ、とても勉強になっています。

スーパーレンジャー隊員として、今後の抱負を教えてください。

私はまだスーパーレンジャー隊員としてはキャリアが浅いので、自分自身では半人前にもなっていないと思っています。毎日、先輩方に技術や知識などさまざまなことを教えていただきますが、それらを確実に吸収していきたいです。
そして、いずれ後輩ができたときには、「秋田先輩はすごいな」 と一目置かれるような存在になっていたい。「知識が豊富で何でも知っている先輩」 と言われるような隊員になっていたいですね。
もっと将来的な希望としては、やっぱり隊長を務めてみたいです。
それも高橋隊長のような技術も経験も豊富で統率力もある… そんな隊長になれたらいいなと思います。

(photo)