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2005年02月07日
 エコロジーで千客万来!?〜品川区商店街連合会の取り組み

エコスポット前にて 今月16日にいよいよ京都議定書が発効することもあって、今年は特に環境問題への関心が高まっています。そんなエコロジーブームを活用して、集客を増やしている商店街があるということで、取材に行ってきました。
(リポートは宮脇花織が担当しました)

東京都の品川区商店街連合会(http://shoren.shinagawa.or.jp/)が行っている試みなのですが、区内の商店街(戸越、中延、北品川など)12ヶ所に、リサイクルのために空き缶やペットボトルを回収する装置「エコスポット」を置いたところ、予想以上に缶や人が集まっているんです。エコスポットの集客効果について、品川区商店街連合会・副会長の綱嶋信一さんは次のようにおっしゃっています。

「当初は1台あたり月に3万個の缶やペットボトルを集める計画でしたが、今は平均で8万個集まっています。装置の前には人が並んでいる状態。一人が1回に10〜15個持って来るとして、1台あたり月に6000〜7000人集めていることになる。うれしい悲鳴をあげている状況です。」

2年前から始まった企画なのですが、2004年度は1年間でなんと1000万本のペースで、空き缶やペットボトルが集まっているそうです。綱嶋さんの計算では、1台あたり月に6000〜7000人の集客効果があるということで、もちろん、そのすべての人が商店街で買い物をするとは限りませんが、とにかく人を呼ぶという点では、かなりの効果が上がっているようです。

それにしても、なぜそんなに集まっているのでしょうか?

エコスポット実はこの「エコスポット」、ただ空き缶などを回収するだけじゃないんです。ちょうど缶ジュースの自動販売機ぐらいの大きさの装置なのですが、利用するときには商店街が発行しているポイントカードを挿入する仕組みになっていて、缶やペットボトルを入れると、1本につき1ポイント付くようになっているんです。そして500ポイント貯めると、品川区の商店街で使える500円分の共通商品券に交換してもらえるというわけ。

、、、とすると、ひとつ疑惑が湧いてきます。それって結局ポイント目当てということで、
エコロジーなんて関係ないんじゃないでしょうか?

ということで、その点を実際にエコスポットを利用している街の方に聞いてみました。

「やっぱり環境のことを考えると、ゴミを減らしたい。それでおトク感もあればさらにいいなと。」「前からこういうのがあればいい思っていたんです。ドイツなんかこういうの進んでるでしょ。(エコロジーとポイント、どちらが目的ですか?)それは半々。」「初めは環境。それにプラスがあるからますますやろうと。」「ポイントがあるとうれしいですよ。すぐそばがお店だからすぐ使えるし。」「良いことしてる、とまではいかないけど、ちゃんと分別しているという満足感はありますね。」

、、、お見逸れしました。決してポイントだけが目当てというわけではないようです。みなさん思った以上に環境への意識は高いんですね。特に、若い人は環境問題に敏感な傾向が強かったです。確かに公共広告機構などでも環境問題を訴えるちょっとコワイCMをやっているし(砂浜で砂の人形が崩れ落ちるのとか)、なんだか人間が文明生活を送っていること自体が地球を傷つけているみたいで、「生きててすみません」という気にさえなりそうな昨今ですから、エコロジーの役に立つことが出来れば(しかも手軽に)、多少なりとも免罪された気になるのかもしれません。

エコスポットに並ぶ人達とはいえ、ポイントが無かったら寒いなか並んでまでここに持って来ようとは思わないという方も多いのも事実。きっかけはエコロジーでも、お得感があるから続くのでしょう。それに、「エコロジーのため」という大義名分があると持って行きやすいですよね。この日も右手にペットボトル、左手にプラダのバッグを持って並ぶ、ちょっとセレブな雰囲気の奥様がいらっしゃいましたが、こういう方はポイントだけじゃちょっと並びにくいかもしれません(笑)。商店街としても、ポイントだけでは結局それは価格競争になってしまいます。それでは大型量販店には対抗できませんから、むしろエコロジーや地域貢献という別の価値で勝負したいという気持ちもあるようです。

品川区の商店街さん、なかなか巧いところを突いているじゃないですか!と思わず感心してしまいましたが、実はコレ、最近のビジネスのトレンドにも一致しているようなんです。この試みについて、エコロジーとビジネスの関係に詳しい、『日経エコロジー』(http://bpstore.nikkeibp.co.jp/kw1/eco.html)編集長の神保重紀さんは次のように分析しています。

「消費者がエコ商品を選ぶようになったのは、環境への意識が高まったのと同時に、電気代が節約できるなど、家計にも優しいという一石二鳥だからという側面があります。この品川の例も環境意識のモラルに訴える面とお得感の一石二鳥。だから成功しているのだと思います。」

なるほど。「地球に優しく、家計にも優しい」というのが、ヒットの秘訣のようですね。

品川区の商店街ではさらに戦略的なエコスポットの活用法を考えているようなんです。再び品川区商店街連合会・副会長の綱嶋信一さんのお話です。

「この機械はどのメーカーのどの商品が入れられたかが全てデータ化されるんです。つまり地域ごとに強い商品、弱い商品がわかるわけですね。このデータを武器にメーカーに対しても販促やキャンペーンを呼びかけることもできるはず。つまり、商店街のメディア化ですね。消費者に一番近い商店街の逆襲だと思ってます!」

確かに、地域に密着した年間1000万本のデータの価値は小さくないはずです。メーカーに対しても受身ではなく、商店街の側からいろいろと仕掛けていきたいとのことでした。

商店街というと、時代の流れに取り残されているところも少なくありません。正直言って「衰退するのもしょうがないんじゃ、、、」と思うようなやる気のない商店街もあります。自分たちを弱者と位置付けて、ひたすら大手の出店を阻止することで事足れりとしているような後ろ向きな商店街もあります。しかし、立地に良さやお客さんとの距離の近さなどの強みを生かせば、まだまだやれることはあるはずです。品川区商店街連合会の「攻めの姿勢」を拝見して、商店街の持つ可能性を感じました。

ディレクター 長谷川裕
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