|
この時計の文字盤に「N夜光」が使われています。
|
|
今週の現場にアタックは「世界レベルの日本の中小企業」を特集しています。今日は、時計の文字盤などに使われている新しい夜光塗料で世界を席巻している「根本特殊化学」のお話です。
担当は泉貴子です。
今から11年前の1991年、国内の大手時計メーカーが放射性物質が含まれる夜光塗料の使用を全廃を決めました。これは当時、時計の文字盤用の夜光塗料が収益の3割を占めていた根本特殊化学にとって会社存亡の危機でした。
この最大の危機を救ったのが2年間の試行錯誤の末に開発された「N夜光」です。放射性物質を含まず、長時間、明るく発光する新しい夜光塗料は国内はもとより、世界の大手時計メーカーの需要をほぼ独占しています。
|
暗闇でもこんなに明るく光ります
|
|
また時計ばかりでなく、自動車のトランク内にもドア・コックの取り付けが義務づけられているアメリカでは、多くのメーカーがコックの部分に「N夜光」を使用しています。
発光に電気が必要ないことから最近ではコスト面、セキュリティ面の対策として非常口や避難誘導の標示として需要が伸び、多くの劇場や航空機、船舶にも使用されるようになっています。特に去年の同時多発テロ以降注文が増え、アメリカ国防省(ペンタゴン)からもオーダーが来たそうです。
あえて夜光塗料という特殊な分野にこだわることで倒産の危機を乗り越え、世界に大躍進した根本特殊化学。「小さいマーケットでも高付加価値の分野を狙う。横綱ではなく、十両同士の競争のような生き方がいい。十両でも優勝はあるんだから」根本社長は穏やかに笑っていました。
それにしても、暗闇に夜光塗料だけが光る地下室でインタビュー取材をしたのは初めてでちょっと驚きました。
リポーター 泉 貴子