2016年最初のゲストは、古代ギリシャ研究家の藤村シシンさん。なんとキトンを身にまとい、頭には月桂冠という、古代ギリシャの正装でご登場。いや〜面白かったですね!
シシンさんは「青い海と白亜の神殿」というイメージに恋い焦がれ、東京女子大学で古代ギリシャ史を専攻。すると、ロマンティックで知的で高尚な世界は全くの幻想!
白亜の神殿は、実際は極彩色。青いエーゲ海は「ワイン色」と表現し、「海」という単語はなかった。パルテノン神殿は神殿じゃない。
そんなことはまだまだ序の口、本当の古代ギリシャはロマンティックとはほど遠く、もっと汗臭くて、泥臭くて、下ネタ満載で、現代に流布されているイメージとはまるで違っていたのです。
では今みんなが知っている古代ギリシャは一体何なのか? 実は、今のイメージができあがったのはつい100年ほど前の話。ヨーロッパの人たちが自分たちのルーツである古代ギリシャを理想化して、その理想象に沿うように、すっかり作りかえ、塗りかえてしまったんです。
しかも!
そもそも古代ギリシャがヨーロッパ文化の源泉だということ自体が実はアヤシイ話。古代ギリシャ文化は古代エジプトやメソポタミアの文化を取り込んでカスタマイズしたもの。つまりオリエントの影響をうけている。ということは、ヨーロッパのルーツは古代ギリシャではなくオリエント、つまり東洋!? それってヨーロッパ人による歴史のねつ造では…?
そんな古代ギリシャの「イメージ」と「リアル」のギャップを知って、シシンさんは幻滅するどころか、むしろ心は踊り、大学院まで進んで古代ギリシャ研究にますます没入。それでも足りず、ついに、人生を古代ギリシャに捧げることを決意したそうです。
去年(2015年)10月に出版した『古代ギリシャのリアル』は、発売1週間で重版が決定。歴史書としては異例のヒットとなっています。
ちなみに「シシン」という名前は、古代ギリシャで好まれた香草「シシュンブリオン」からとったペンネームだそうです。
神虜めでたく!(古代ギリシャの碑文によく書かれている言葉です)
|