2012年2月、熊川哲也のBunkamuraオーチャードホール芸術監督就任記念として世界初演を果たした至高のファンタジー超大作、それが『シンデレラ』。
全公演ソールド・アウトを記録したこの話題の舞台は、総合芸術としてのバレエへの飽くなき追求を重ねてきた現代屈指の演出家・熊川の卓抜した感性と才知に貫かれた、まさに集大成と呼ぶべき名版。
劇場をこの上ない驚きと感動の渦に巻き込んだ。観客を瞬く間に夢物語の世界へと導く神秘あふれる空間、よく知るはずのストーリーに豊潤な魅力を与えるキャラクター造形、そこにさらなる色を添える熊川流の上質なユーモア。
そして世界最高峰のダンサーならではの視点が生きた鮮やかな舞踊と寄せ来る波のように見る者の心をわし掴みにしてゆく、あまりにも美しい魔法の数々─