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第七〇八回('18年8月12日 放送)
「激突総裁選!石破茂の挑戦」

ゲスト: 石破茂 氏/藤井裕久 氏

御厨

「さあ、石破さん。とうとう出馬表明ということですが、どんな思いで決断をなさったのでしょうか」

石破

「これをやることは私に与えられた責務だと思っています。それは難しいこと苦しいことから逃げたいのは人間なんですけれども、そんなことは言ってられない。私の責務だという思いですね。三年前も無投票でした。私、閣僚だったので出なかったんですけどね。でもそれが、自民党の体質を変えちゃったのかもしれない。そういう思いがあります。ですから、麻生さんが総理になられた時、あるいは今、安倍さんが総理になられた時、5人出たんですね。総裁選挙はね、私も含めて。侃々諤々いろんな議論をやりました。まあ最後まではわかりませんけど、一騎打ちってことで、他にどなたもお出にならない。ですけど、いま日本の国って、このままほっといたらば、80年後に人口は半分以下になる。高齢者の方の比率は今の倍になる。どうやって財政を維持するんだ、社会保障を維持するんだ。格差はどんどん広がっている。大企業や大都市やお金持ちはいいかもしれないけど、そうじゃない地域、そうでない人々、一体どうなるんだってことがあります。安全保障環境はもう全く混迷以外の何物でもない。それは結局ね、人口が増えて経済が伸びてた時代、あるいは冷戦の時代、全く変わったってことだと思いますね。そうすると日本の基本的な、構造を変える、設計図と書き直す、そういう時に政治が信頼されないでどうしますか。構造を変えるわけです、今までの在り方を根本的に変えるわけです。そうでないと効果を持たないから。その時に、政治って信頼できるよね。政治って公正だよね。政治って丁寧だよね。そう思っていただかなければ設計図を書き換えることなんてできません。そういう思いです」

御厨

「まあ、一方で自民党議員は7割以上が安倍総理支持の状態です。それでも出馬される理由ってのは何でしょう」

石破

「それは我が自由民主党っていうのは国民政党であってね、イデオロギー政党ではないんです。いろんな考え方がある。自民党の綱領の中で憲法・安全保障・財政・社会保障・地方創生、いろんな考え方があるんです。それを皆が一緒のはずがない。党運営の在り方にしてもね。私はこう思うんだってことを述べて、党員の皆様方に判断していただく。それは自民党が党員に対して果たすべき義務だと私は思います。そして、与党だから、総理大臣選びなんだから、党員の方のみならず、国民の皆様方に選択肢を提示をして選んでいただく。そうでないと民主主義っていうのは機能しないと思いますね」

御厨

「なるほどね。そうするとね、石破さんが掲げておられる「正直、公正」の旗。これは具体的に何を意味するんでしょうか。つまり、不正直と不公正なものっていうのは具体的に何なのでしょう」

石破

「それは、政府が言っていることは信頼出来るよね。嘘言ってないよね。証拠を書き換えたりしないよね。ていうことなんですね。で、自民党が野党になりました。300あった議席が119になって、私も農林水産大臣務めてましたけどね。政策が間違っていたとは思わない。党の在り方が国民の皆様方に拒絶されたと思うんですね。その時に綱領、党の憲法を書き換えました。その時に自由民主党とは「自由闊達に勇気を持って真実を議論し決断する政党なのである。そして全ての組織と対話し協調し、そういう政党である。国会を公正に運営する政党である。政府を謙虚に機能させる政党である。政策作りや条件作りにあたっては全ての人に公正であらねばならない。」そう決めたんですね。ですけど、本当に政府は正直にものを言ってるか。証拠を書き換えたりしていないだろうか。そしてすべての人に公正なんだろうか。はっきり言っちゃえば依怙贔屓がないだろうかってことなんですね。あらゆる政策を行うにあたって全ての人に公正でなければいけない。政府は謙虚でなければならない。そういう、自民党が野党になった時に本当に真剣に自分たちを見つめて、新しく作った綱領に忠実でありたいと私は思っています」

御厨

「なるほど。そうすると今の自民党のどこに問題があるというふうに、そして総裁となったその後どう直そうと、そこら辺はどうでしょう」

石破

「これは1人1人の方に聞いてみたわけではない。ですけど、色んな世論調査を見ても政府は信用できないって方がずっと多数を占めてるわけですよね。誠実でありたい、正直でありたい。政府はそう思っていると私は信じたい。だけども国民はそう思っていない。これから先、色んなお願いをしていかなければならない。社会の在り方、あるいは外交の在り方。その時に政府の言ってることって信用出来るよねって思っていただかなければ、何にも始まらないと私は思いますね」

御厨

「藤井さん。今までの石破さんの出馬表明をお聞きになって、どういうふうに思われますか」

藤井

「あの、非常にご立派な話だと思いますし、今の安倍政治に対する、そうはおっしゃらなかったけれど、安倍政治に対するお怒りを言ってられると思います。特に申し上げたいのはですね、人間っていうのは永久にあるわけじゃない。時期ってものがあるわけです。石破さんはその時期を選んでくださったと思って。私は安倍さんがけしからんという意味を含めてですね、大変立派な事をなさると思います。正直、公正っていうのはね、安倍さんに対して今、一番言わなきゃならないことです。大体、森友とか加計でね、嘘ばっかり言ってるってのはね、世の中の人は皆分かってるわけですよ。それを是非やってください。そして、もうひとつはやはり、なんていうんですかね。マスコミに対してね、今の内閣はね、酷すぎます。なんか言うとね、お前の会社潰してやるぞとまで言われてるんですよ。それがマスコミに対する政治の態度なんでしょうか。私は岸信介、佐藤栄作、田中角栄、ずっといました、官邸に。絶対にこんなことは言っていません。お前の会社を潰すだなんてことは絶対言ってません。そういうのと戦ってください。それが「正直、公正」だと思います。よろしくお願いします」

御厨

「さあ、ここまでお話をしてきて改めて石破さん、勝算はどうでしょう」

石破

「それは勝てる選挙でなければやらない。勝たなければならない。それは自分のためじゃない。日本国の為に、次の時代の為に、勝たねばならない。そういう思いで臨まなければ誰も支持なんかしてくれないですよ」