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第七〇二回('18年7月1日 放送)
 「私は日本をこう良くする」

ゲスト: 野田聖子 氏/増田寛也 氏

御厨

「さあ野田さん。女性活躍社会、女性はどんな苦労があるか、どうご覧になってます」

野田

「例えばですね、働く女性と専業主婦っていうのを、すぐ対立をつくりたがるんですけど共通点があって、それぞれ働いてても専業主婦であっても育児にかける時間、または家事にかける時間はほぼ変わらないんです。

つまり今、人口減少で働き手を失う中、これまで補充要員としてしかみなされてこなかった女性もしっかり働いてほしいということを政権が言うけれども、実態はやはり補充要員のままの社会で仕事量だけ増やすという、そういうミスマッチが新たなる女性の苦しみにつながってくんじゃないか。

就業者数も増えたと言いますけれども、実際のところはやはり非正規が女性は増えているのであって、賃金格差も同一労働してても今違うんですよね。7掛けとか6掛けぐらい。つまり、まだまだ私たちは女性活躍とか輝けとか言われてるけれども、実態は人手不足の補充という地位に甘んじている。

もう、日本を見てごらんよと。もう人手不足、人口減少っていうのは、老若男女満遍なく減るんではなくて圧倒的に労働力、将来の労働力がなくなるっていうことを考えてくれなきゃいけないのに、ちょっとそこのところがぬるいですよね、みんな。で、有効求人倍率も改善されて良かった、良かった、って言うけれども、既に業種別で見ると介護とか建設とかっていうのは、もうどんどんうなぎ上りですよ。

ですから、今、全く違う日本が出現してるっていう中で、実はまだこの政権ではどうしても今までの余力をはんで生きているところがあって、私たちのようなその女性の側にいるとまだまだ厳しいことがたくさんある中で、そんなのんきなことは言ってられないっていうことをしっかり声に出して、形にして改善していければなと思ってます。つまり、女性政策なんてないんですよ。国策なんですよ。そこがやっぱり多くの男性は間違ってる。構造改革ですから」

御厨

「間違ってる男性、増田さん」

野田

「いやいや、増田さんは分かってます」

増田

「例えば、出生数。今94万6,000ですよね。で、3万ずつ毎年毎年減ってきてるんですよ。だから今年は何とか90万人台ですが、2019年って多分80万人台まで落ちるんじゃないかと思うんですね。で、親の数も減ってきてますから。

そのときに大事ないろいろデータ見てると、男性の、要はその若い男性が家事育児にどれだけ参画をするか。これが多子世帯になるかどうかの決定的な要因なんですね。1人は何とか女手で、男はもう会社行って残業でも仕上げられるけど、3人4人になったら絶対それは無理ですから。

で、一方で別の調査だと、やっぱりそういう若い人たちも家帰って家事育児したいっていう思いが、以前に比べるとずっとあって、だけどそれが断念せざるを得ないのは、上司から残業を命じられる。せっかくその子どもがいるってことが分かってるにもかかわらず「おい、きょうはもうこれだけあるから残っていけよ」と。

で、やはりこの女性活躍っていう視点は、いかにそういう男たちの視点を変えるかっていうことであるんですが、なおかつその男性の中でも、若い層とそれから支配層との間の意識がものすごく今変わってきてる。むしろだからその若い層の声をいかにくみ取って、それを広げていくかってことにかかってるんじゃないでしょうか」