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第七〇〇回('18年6月17日 放送)
 「『歴史的会談』の裏側で」

ゲスト: 中谷元 氏/ジェラルド・カーティス 氏

御厨

「トランプ大統領が米朝首脳会談で拉致問題を提起しました。安倍総理も直接会談に動き出したということです。カーティスさん、これはどういうふうにご覧になります」

カーティス

「ひとつはやっぱり、トランプは確かにキム・ジョンウンに対して拉致の問題を解決しようと、日本の経済援助が必要だし、そのためにまずは拉致の問題を解決しようと、そういうようなメッセージを正確に伝えたんだと思います。ですから、今までの日本は圧力一辺倒だったんですね、北朝鮮に対して。それを変えざるを得ない時が来ていますね。

私が見ていると、日本の政府、安倍さんの表現、防衛大臣もそうですけれども。とにかくまず拉致問題解決なしでは経済援助もない、核兵器も放棄なしでは援助がない。それはそうなんだけども、もうちょっとね、前向きに、とにかく我々は北朝鮮と良い関係を持ちたいと。良い関係が持てるような環境が今出来てきつつあるので、是非前向きに、キム・ジョンウンと会って話をしたい、これから平和になるように、構築できるように一緒にやりたいと。そのためには拉致。要するに、もちろん拉致問題の解決は必要、核兵器の放棄も必要。

しかし順序として、あるいはトーンとして、もうちょっと前向きに。明るい将来を描いて、その明るい将来になるためにこういう問題を解決しなければならないと。こういう問題解決しないと明るい将来はない、じゃないの。逆なの。ですから、これからはそうしないとね、いつまでも日本は蚊帳の外に置かれますよね。

ですから、先ほど申し上げたように、今は日本独自の主体的な外交が問われているので。安倍さんはもうすでに少しトーンを変えてますよね、やっぱり会って色んな問題を解決したいと。私はそういう意味では、ちょっとトーンを変えて、もっと北朝鮮から見れば、日本は我々と良い関係を持ちたいと。今はとてもそういう印象を与えていないと思います」

御厨

「中谷さんはどうですか」

中谷

「その通りですね、安倍総理も北朝鮮と向き合うと言ってますので、これで早急に解決しないといけませんので。やはり話し合いと、パイプを持つということしかないんですね。

こういう点において、やはり信頼と誠意というのが大事で。2002年に小泉総理の時に訪朝して平壌宣言が出来ました。この時に率直にお父さんがですね、詫びたというか、反省をしたんですね。やはりそういう誠意を通じて平壌宣言が出来ましたが、残念ながら2005年10月に中断したままでありますので、やはりこの平壌宣言に基づく日朝国交正常化交渉、これを再開すべきでありまして。この中で拉致問題の解決を図っていくと。つまり平壌に連絡事務所を設けることもありますが、日本にとっては大きなチャンスで。

まあ、トランプが前のめりだと批判する人もありますが、そんな前のめりの大統領に遅れをとるのではなくてですね、大きな機会と捉えて、あらゆるチャンスを生かしてやるべきだと思います」