時事放談

◆ 第六九七回（'18年5月27日放送）
　「『ミサイル』『拉致』！！対北朝鮮外交は･･･」

ゲスト：田中均氏／片山善博氏

御厨	「田中さん。６月１２日に向けてミサイル問題があったわけですが。今後、私たち日本にとって、これ、どうすればいいんでしょうか」
田中	「私は申し訳ないけど、日本の戦略が全く見えないんですよ。要するに日本は圧力、圧力、圧力、と言い。それで実際に米朝首脳会談が計画されるようになると圧力を引き続き言う。それから、核と拉致、ミサイルの包括的解決。これは正しいんだけど、常識的に考えてみればね、まさに朝鮮半島の平和を達成する。常に日本が拉致だ、核だ、ミサイルだって脅かされる状況を除去するというのが、日本の１番の国益なんですね。その為には非核化っていうのが、第一の前提条件になる。核を持った北朝鮮と正常化をするとか、核を持った北朝鮮と交渉して拉致問題解決するわけがないんですね。というのは、いろんなものに対して見返りを与えないと北朝鮮の動かないわけだから。そういうことを考えるとですね、まず、核の問題を解決するのが私は先決だと思うんですよ。そうするとね、確かに北朝鮮を引き出すまでの圧力っていうのは正しいし、この圧力を簡単に消し去るわけにはもちろんいかない。だけどね、日本として非核化のために何ができるかというベースでね、やっぱり戦略を組み立てないと。いやいやトランプさんに会って何をするのか聞くんだとか。米朝の首脳会談の後ね、真っ先に自分が聞きたいとか。それが外交と僕は言わないと思うんですね。やっぱり日本として何がしたいのか、どういう形で非核化を達成するのか、そのために日本がどういう協力をできるのか。ってことがベースにないとね、外交じゃないんですよね、これ。だから、私はちょっと外交における戦略の不在っていうこと感じざるを得ないですね。常に「圧力と拉致」という言葉を繰り返すことで物ごとが動くんだったら良いが、動かないんですよこれは」
御厨	「片山さん、いかがですか」
片山	「私もその通りだと思いますね。いま田中さん言われたことと関連しますとね、例えば拉致問題って日本にとってとても重要な問題ですよね。それで拉致もあるし、それから核もあるし、というようなことで、去年の秋には解散総選挙やったんですけど。国難選挙だということで、選挙で体制を整えて北朝鮮に対してもきちっとした基盤を作って向き合うということだったんですけど。この間は、何だったんだろうかと。核も、いま言われた通り、アメリカにどうだったんですかっていう話だし。拉致問題もアメリカ頼み、韓国頼みってことで。日本の主体性とかですね、それがひょっとしたらあるのかもしれませんけど、全く見えませんよね。ロシアも行かれてますけど、北方領土の問題も大きく前進するような印象を一時期与えられましたけど、その後、なにか鳴かず飛ばずのようなことですし。やはりもう少し日本の外交のスタンスっていうものが、国民にも見えるような、また実際の行動を伴うような、そういうことが必要だろうなと思いますよね」

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