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第六八九回('18年3月25日 放送)
 「『妻』を守り、『財務省』をこわし、『民主主義』をこわし」

ゲスト: 枝野幸男 氏/片山善博 氏

御厨

「『良い土地だから前に進めて』との昭恵夫人の発言を安倍総理は否定しています。今回、野党議員が籠池被告に会い、籠池被告は『確かにそういうふうにおっしゃっていた。間違いない』と言っていたと言われてますけど、この点どうお考えでしょう」

枝野

「籠池さんのおっしゃってることを、そのまま無条件に信用することも出来ませんが。一方で、安倍さんが家の中で、家庭内の会話で、こういう話を聞いてきましたということで、終わらせられる話ではないですよね。当然、もし本当に言ってないとおっしゃってるならば、じゃあ実際にお会いになって現地を見たりしてらっしゃるわけですから、どういうお話したんですかとか。様々なことをお尋ねをする中で、そのやり取りが本当は何だったのかということが浮き彫りになってくるということですので。一般にですね、刑事裁判でも民事裁判でも、家の中で妻がこう言ってましたとか、家の中で父がこう言ってましたとか、これは基本的には証拠能力ないですよね」

御厨

「さあ、片山さんはどうでしょう」

片山

「籠池さんが言われたこと、それを近畿財務局の職員が書類に残してるわけですけど。それが本当に昭恵夫人が言われたことかは分かりませんよね。ただ、籠池さんがそう言われたと。で、この度また大阪拘置所まで行って、もう一回確認したら、やっぱりそれは聞きましたと、ここまで出てきたわけですね。で、安倍首相は妻に聞いたけどそういうことは言ってないと言ってると。まあ、こういう膠着状態で。で、安倍首相は籠池さんのことを嘘つきだから信用できないんだと言われてましたけどね、この度、政府もかなり嘘つきだったんですよね。安倍首相の部下である。で、文書の改ざんなんかしてるわけで。そうしますとね、籠池さんだけが一方的に嘘つきだから信用ならないんだっていう理屈はなかなか通らないだろうと思いますし。私はやっぱり、ああいう籠池さんと昭恵さんが一緒に写った写真とか、各種ビデオが映像で流れてますよね、講演をされたり。それを見るとね、やっぱり言っててもおかしくないんじゃないかな、という印象はみんな受けると思うんですよ。であればね、さっき枝野さんが言われたように、本当に言ってないならば、言ってないということをちゃんとどこかの場で直接本人が説明されるということがあっておかしくないなと思いますね」

御厨

「いずれにせよ、書き換える前の文書には政治家秘書と共に昭恵夫人の名前があったわけで。このことを枝野さんはどうご覧になりますか」

枝野

「これこそ、片山先生も役所のご経験もあるので詳しいと思いますが、役所が決裁文書に何を書いて何を書かないかと。決裁文書ですから、将来にわたってみんなが見るので、圧力があったとしても、忖度したとしても、そんなことを書くはずはないですよね。一方で、人事異動してきますから、後輩がこの案件ってどういう案件だったのか、ちゃんと分かるようには伝えなきゃいけないわけですね。で、必要のないことは書くことはないわけですから。ああ、この議員の事務所の秘書がこういうふうに言って来ていたってことは伝えておかないと、後でまた後任者が問い合わせをかけられたりとか、困るわけです。ですから、そこになぜか私人であるはずの安倍昭恵さんについての記載があるということは、この案件には安倍昭恵さんが少なくとも、最低でも、関わっているかもしれませんよ、ということを後輩に伝えなきゃならないから、公文書に最初書いていた。これははっきりしていると思うんですよね」

御厨

「片山さんいかがですか」

片山

「私はこれ、元役人としてですね、書き換え前の決裁書を読んでみましてね、いくつか感想はあるんですけども。ひとつはやはり、この意思決定をした際に、職員の人達はやっぱり総理の夫人の存在というものをとても重く受け止めていたんだろうなという気はします。全く受け止めてなければね、まず書かないですよね。しかも、もうひとつはですね、今回は非常に特例的な扱いなんですよと。まあ特例ですよね。後の人が、後任者がなんでこんなことしたんだろうかと。どうしてこういう特例を認めたんだろうかっていう時に、実はかくかくしかじかですということを、やっぱり前任者はそれなりに説明するわけですよね。それは文章を通じて説明することになるわけですけど、その時のひとつのよすがと言いますかね。理由として昭恵夫人の存在があるんですよ、ということをそこに書き残したんだろうなと。役所に長いこといたものとしてはそういう印象を受けますよね」