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第六六一回('17年9月3日 放送)
 「緊張の中で」

ゲスト: 岸田文雄 氏/藤井裕久 氏

御厨

「さあ、岸田さん。今回の事態をどうご覧になります」

岸田

「はい、北朝鮮の挑発行動。昨年から考えても2回の核実験、それから弾道ミサイルの発射も30発は優に超えてきています。そして今回、通告なしに我が国の上空をミサイルが飛び越えた。やはりこれは今までにない深刻な、重大な脅威であると受け止めなければならないと思います。政府としてもしっかりと対応していると思いますが。やはりこういった事態において、我が国自体、国民の命を守るためにしっかり備える。そして日米同盟の対処力、そして抑止力をしっかり高める。それと合わせて、これが最も一番大事なんですが、外交を通じてこの平和的な環境を作るべく努力をしなければならない。この3つは柱をですね、同時並行的に進めながら北朝鮮の出方を見ていく、まずはこういった所なんではないかと思います」

御厨

「藤井さんいかがですか」

藤井

「今おっしゃった通りに私も思っておりますが、北朝鮮の態度は許しがたいことだとまず思っております。ただですね、結局その北朝鮮はね、核保有国としてアメリカの核保有国と対等に話し合いをしたいという気持ちが根っこにあるわけですね。これは本当は絶対出来っこないんですけども、そういうことだと思います。そして、北朝鮮も特に国民もですね、相当浮き足立ってますね、昔の日本の戦前を思い出しますよ。そういう非常に難しい時期に来ておりますので、まあ岸田さん外務大臣を続けておられたらそれをうまくやって欲しかったけど、もっと大きな立場でやられるでしょうから、それで結構だと思いますけれどもね。やはり、北朝鮮の許しがたい態度に対してはですね、毅然とした態度を取るべきだと思うんです。ただアメリカがね、特に大統領がですよ、武力のようなことを言っている。やらないと思いますよ。マティスとかね、ティラーソンっていう下の人たちは、外交だ外交だ、と言っておられますから、それなりの私は評価はしますがね。1番偉い大統領がね、武力もあり得るようなこと言うでしょ。これは私は非常に怖い事だと思っております」

御厨

「日本の上空を事前通告もなく飛ばし、しかも「邪悪な日本を驚愕させる大胆な作戦」とまで言われるとですね。岸田さんどうでしょう」

岸田

「外交を通じて日本にとって好ましい国際環境を作っていかなければならないわけですが。その際に、交渉ですから、対話と圧力、両方が求められることになります。ただ今、現状、北朝鮮がどんどんどんと挑発行動をエスカレートしている。この状況で下手に対話ということを持ち出すと、現状までは日本が認めたんではないかと北朝鮮が勘違いをしてしまう。こういったことにも繋がりかねません。ですから、今は圧力をしっかりかけなければならないということで、国連の安保理においても、先日も新たな決議が採択されましたし、今回も議長声明が発出されたということだと思います。北朝鮮においては日本に届くミサイルだけでも、500発から600発あるといわれています。この現状に対して、北朝鮮が非核化に向けて、あるいは平和的な解決に向けて前向きな態度をしっかりと示す事が大事であり、それをなくして対話などということを言ってしまうと、勘違いをさせてしまうことになる。そういったことで、今は圧力をかけようということで国際社会が協力している。こういったところだと思います。こういった点をしっかり頭に入れながら今後の対応を考えていかなければならないと思います」

御厨

「藤井さんいかがでしょう」

藤井

「私はですね、やっぱりアメリカとは共同防衛体制があると。この事実は認めなきゃならないし、またそれは非常に大事なことだと思ってるんです。ただ、今のトランプさんはね、口だけかもしれないけどね、相当激しい事を言うわけですね。口だけであればいいんだけども、北朝鮮の方も相当酷い事を言ってますから、爆発する恐れはあるんですね、両方ともね。ですから、トランプさんにはもう少し自制してもらいたいし、もちろん北朝鮮には自制してもらいたいと思っておりますが。やはり話の仕方としてね、何かまるで戦争始める前提みたいな両国の態度はね、私は非常に問題だと思います」