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第六六〇回('17年8月27日 放送)
 「緊迫!北朝鮮」

ゲスト: 玉木雄一郎 氏/田中均 氏

御厨

「田中さんは軍事的衝突の可能性について、どうお考えでしょうか」

田中

「私はね、1番危機が迫ってきた時だと思う。この北朝鮮の核ミサイル問題っていうのは90年代初めからあるわけですよね、25年くらい続いているわけですけど。やっぱり今ほど軍事衝突の危険があるときはなかったと思うんですね。それはいくつか理由があるとは思うんですけど。

ひとつはね、だんだん北朝鮮の核技術、それからミサイル技術が上がってきた。たぶん今の状況だとアメリカの東海岸に届くミサイル、1、2年だと言われているわけですね。それでね、私は、北朝鮮は基本的に見誤っていると思うんだけど、アメリカっていう国はね、自分の本土が撃たれるという具体性を持った話になればなるほど、極めて強硬に反応する国ですよ。真珠湾攻撃がそうだった。9.11がそうだった。必ず自分の安全が脅かされたことに対してね、やっぱり軍事的手立てで行動するっていう国なんです。だから北朝鮮はね、アメリカに届くミサイルを開発すれば、それが抑止力になるというふうに言ってるし、たぶん思っていると思うけど、それは大変な誤りだと。むしろ逆だというふうに私は思ってる。だからそういう時期にきてるということがひとつと。

もうひとつは、アメリカのアプローチ自身、常に上からがーっと抑えつけるアプローチなんですね。これは実は日米関係も実はそうだった。だけどね、北朝鮮っていう国は常に大国に蹂躙されてきた国なんですね。ですから、強い力に対する反発力っていうのは、相当強いという事ですね。

それからもうひとつ大きな理由というのは、この問題を扱っているアメリカも北朝鮮も国内の状況と密接に絡んでいるということなんですね。トランプの立場っていうのは相当悪くなってきてる。それに対して外との関係で強さを示すというところがあるし、キム・ジョンウンだって同じなんですね、若い指導者が国内の統治っていうのに強さを見せなきゃいけないと。

最後にね、最後の理由ですけど、私は基本的には北朝鮮の対外発表っていうのは、大本営発表だと思うんですよ。全てのことが脚色されて言われている。だから本質の部分っていうのは隠されているわけですね。アメリカのトランプのツイッターっていうのは、すごく衝動的なんですね。だからお互いが相手の意図を見誤る可能性っていうのはある。だから、もちろんそんなに簡単に戦争、戦闘っていうのは起こるものじゃないけど、私が言うのはね、やっぱり関係者はそういうこと頭に置いとかないと危ないよと。だからそういう起こり得る理由があるよ、ということを前提にして、物事を考えていかなきゃいけないと私は思います」

御厨

「さあ、深刻なのは、ミサイルがグアムに行くにはですね、日本の上空を飛ぶという事ですね。北朝鮮も「島根、広島、高知の上を通過する」と言っていますが、玉木さんこれどうお考えになります」

玉木

「実は先日の8月10日の国会の閉会中審査で衆議院の安全保障委員会が開かれましたけども。私そこで質問に立ってですね、実は日本のミサイル防衛っていうのは、イージス艦でまず迎撃して、撃ち漏らしたものをPAC3っていう地上配備型のミサイルを撃つということなんですが。四国とですね、中国地方、PAC3は実は空白地域だったんですね。

前から私はこれ、自分が住んでるっていうのもありますけれども、四国や中国地方、2段階で迎撃すると言いながらPAC3がないのはおかしいんじゃないかということを言ってまして、今回たまたまですね、この具体的な3つの県の名前が上がりましたので、PAC3の配備を中四国にもすべきではないかということを提案したら、質問した次の日の夜からですね、PAC3移動させて配備をされたという事であります。

これはもうしっかりと迎撃をするということをやる一方でですね、小野寺大臣がいわゆる集団的自衛権の行使、安保法制で認められた限定的に認められたものをですね、行使をするということにも一部言及をされましたが。これについてはですね、私はもう少し現実的に考えた方がいいなと思っているのは、例えば、グアムに向かって飛ぶミサイルをですね、日本の近海に展開したイージス艦で、技術的に本当に出来るのかと。理論的には可能であっても、そのミサイルっていうのは、実は迎撃するのは非常に難しいと。ずっと上がっていって降りるときの軌道計算が十分できるようになって初めて迎撃できますから。法的、理論的にできることと、あとは具体的にですね、日米で何が出来るのか出来ないのか、ということを、現実的にしっかり詰めておくことが今は大事かなと思いますね」