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第六四三回('17年4月16日 放送)
 「緊迫『トランプVS金正恩』!どうする『習近平』!『日本』は!」

ゲスト: 丹羽宇一郎 氏/田中均 氏

御厨

「シリアでは、『超えてはならない一線』いわゆるレッドラインを超えたとして実際にミサイル攻撃をしたわけですね。北朝鮮がレッドラインを超えたと判断したらトランプ大統領は軍事行動に踏み切るんでしょうか。どうでしょう」

丹羽

「私はどちらが先に手を出すか分かりませんけれども。少なくともそういう紛争というものは、力と力がベースの場合はね、偶発的に起きるものなんです。政策的に打って出るぞということよりもね、そういう体制をとって、力と力のね、その関係が高まりますとね、予想もしないような所から偶発的に起きて、その時にね、同盟関係というものが世界を巻き込むんですね。これは第二次世界大戦の時もそうでした。したがいまして、北とアメリカとの関係というのは、結局ね、北と中国の同盟関係、日本とアメリカの同盟関係、こういうものでね、この4カ国を巻き込む。

その時に1番被害を受けるのは日本でしょう。つまり北と南の韓国はやはり同胞なんですね、直接的には被害をそんな大きなことはやらないだろうと。中国も同盟関係ですね。そうするとね、アメリカまでロケットを飛ばすとかという力はないでしょう、今。と私は思う。そうするとね、アメリカ国外の米軍基地に対する襲撃ということがね、極めて可能性が高い。となると、戦場になるのは日本じゃないのかと。私はそれを日本人がもっとシリアスにね、考えないといけないと思うんですよ。

そうなるとね、私は厚木の近くに住んでますから、おいおい冗談じゃないよと。まあ、フィギュアスケートも大事だけども。もっとね、この問題をテレビ、新聞はね、ちょっと真剣に考えないと日本ほど脳天な国民はいないんじゃないかな。本当に死んだらどうするんだと。日本人がですよ。空から爆弾が落ちてきてね、とんでもない騒ぎになると思いますよ」

御厨

「さあ、丹羽さんはいまこうおっしゃいましたけど田中さんどうでしょう」

田中

「シリアにね、米国がクルーズミサイル59発打ち込んだわけですね。それとこの北朝鮮に同じ事やるんじゃないかってことが言われますけど、やっぱりそれは違うと思うんですね。なぜ違うかと言うと、シリアの場合に米軍自身とか同盟国に累が及ぶっていう可能性は非常に少なかったわけですね。

今回、北朝鮮に軍事的な行動をとると、全てをせん滅する事は出来ないのでね、仮に先制行動をとっても必ず北朝鮮から撃ち返される可能性は相当と高いわけですね。そうすると、まさに韓国であり日本がその標的になるっていうことは容易に想像ができる。だけどね、こういうことに対して十分な準備をしないで行動をとるということは、たぶんないんですね。

米軍にしたって、ここに5万人いてね、韓国だって2〜3万の兵力があるわけですよ。まさに行動をとる北朝鮮に対して軍事的な行動とるということは、即戦争になるということを覚悟しなければいけない。戦争になるということは、それなりに経戦能力とかね、誰がどの戦闘機をとか。当時ね1994年に危機があった時に、まさにそういう準備がされ出したわけです。アメリカから200数10機の戦闘機がね、日本に来援するという前提。そういう前提をおいてそういう準備をされていた。だからそういう準備をしない限りね、戦争なんて出来ないんですよ。

だから今、新聞資料ではね、危機管理計画を作れと。私に言わせればね、この後に及んで危機管理計画を作るって言う事はたぶんない。あり得ない。もっと前に、平時にね、もっときちんと計画を作っておくべきだと。私はもう数年前から言ってますけどね、そういう必要があるわけですね。そういうね、いざとなったらこういう段取りで米軍の支援をしたり、あるいは難民の対応をしたり、あるいは邦人の救出にこういう手立てを取るということが、計画として存在していることが、北朝鮮が愚かな行動を取るのを抑止するということなんですね。

ですから私は、戦争というものを、今丹羽さんが言われたようにね、偶発的に起こる可能性っていうのは実はあるんですね。ただ、それに対する準備っていうのはしておかなきゃいけないし。私は多分ね、2015年に新しい安保法制が出来た最大のメリットというのはね、こういう、いざ北朝鮮が行動起こした時に、我々が準備ができてるよと、そういう計画作りができるということだと思う。だから私は是非ともそれを真剣に政府は捉えてね、きちんとした危機管理計画を持って、国民に対して、いや大丈夫だよ、自分たちは準備が出来てるんだ、というようなアシュランスをね、してくれるような政府であってほしいと私は思いますね」