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第五九四回('16年4月17日 放送)
 「新年度が始まって…」
 ゲスト: 石破茂 氏 / 仙谷由人 氏

御厨

「さあ、石破さん。これはどこに問題があるというふうにお考えですか」

石破

「これをね、節税などと言ってはいけないんですよね。節税だからって言う人もいるんだけども、けしてそうではない。これは課税逃れですよね。お金持ちが海外の税金が安いところに持っていく。お金も持ってないし一生懸命汗水流して働いて税金納めた人達がいる、でもお金持ちは実際の活動の拠点が自分の国にあるにも関わらず、こういうところに移して課税逃れをしているっていうことですよね。一般の納税者の感覚からすると、節税でしょ、みたいな話にはならない。課税逃れですよ。そうすると、税がそんなことだったら民主主義が成り立たなくなってしまうと私は思いますね。

これは何が書いてあるのか分からないから、あまり軽々なことは言っちゃいけないが、これはきちんと徹底的にやるべきだと思いますし、わが国でも個人の場合ですけど5000万円以上海外に資産持つ時は届け出なきゃいけないってことになってますよね。その辺をきちんと厳正にチェックをして頂いて、きちんと納税して頂かないと。この国も民主主義もおかしくなると私は思いますね」

御厨

「仙谷さんどうでしょう。今も節税ではない、ということありましたけど。この違いがやや分かりにくい感じもするんですけど、どうでしょう」

仙谷

「会社はですね、合法的にやってると。それはスタバからグーグルから世界的な企業は皆、合法的にやってると言ってるんだけども、大変なこれは税逃れの極めつけで。流石にアメリカも含め先進国がですね、これはなんとかしようというのが、3年くらい前からOECDの租税委員会の中でも始まってるんですね。

ちょっと今日はこんなの持ってきました。これがですね、タックスヘイブンなんですよね。片一方がメキシコ湾岸、片一方がドーバー海峡。これは本当は片一方はウォールストリートと実は結び付いた税逃れの各島々、地域。こっちはロンドンシティ、つまり金融と結び付いた島々と。だからその中に当然パナマも入ってるわけですよ。パナマの法律事務所がこういう文書を持っていたということでですね、これは日本は実は先進国の中でもなんとかこれをしようということを提唱してね、先進的なリーダーシップを持ってOECDの中でもやっています。租税委員会の委員長は日本の今の財務省の財務官の浅川君というのが審議官の当時から、もう4年もやってますから。対策は取ろうとしてるんだけども、税法は水際で止まるとい原則が今まであるもんだから、国境を超えられるとなかなか手が出せないという、この法律の弱点を今まで使って個人も企業も税逃れをしてきたというのが実態です」

御厨

「そうすると石破さん、政府の対応で大事なことはなんでしょう」

石破

「これはね、パナマ文書なるものが、まだ誰も読んだわけではないですから、少なくとも日本人はね。そうすると私は今、仙谷さんが言ったように、そんなに日本人の名前って出てこないのかもしれません。分かんないですけどね。節税だ、とうそぶくのではなくて、これは課税逃れなんだということで、企業にせよ、あるいは個人にせよですね。それは税というのは、社会的サービスに対する対価ですから。それを払わないでってのはおかしくないですか。あるいは多くの資産を持っている人達は、そうでない人達に、良いサービスが受けられるように、それは出す応能負担ってのがあるべきでしょうよ。ですからその日本人のきちんとした納税意識、そういうものをきちんと発信させるというか、機能させる。もし法的にまだ手直ししなければいけないところがあるとすれば、あるいは運用の体制にさらに改善する余地があるとすれば、それはきちんと見直していきたいと思っています」

御厨

「なるほど。仙谷さんどうでしょう。今後5月上旬にさらに公開されるということですが、政府の対応っていうのは」

仙谷

「ひとつはね、国際的な協力関係の中でですね、特に先進国は税逃れを許さないというですね。スキームを作ると。つまり新しい国際税をそれぞれの国がやってしまえばですね、これはどんどん減っていきます。あるいは情報を相互に共有化して公開するとかですね、色んな方法あると思います。国際的な、今OECDでやっていることをより強化するということが重要だと思います」