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第五八三回('16年1月24日 放送)
 「年の始めから大騒ぎ」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 仙谷由人 氏

御厨

「さあ甘利大臣は安倍総理の側近ですね。TPP交渉の文字通りの中心人物なんですね。今回の事態、これ仙谷さんどういうふうに見ておられますか」

仙谷

「今の安部内閣はですね、安倍総理大臣と麻生副総理と、それとこの甘利さんと菅官房長官の4人で成り立っている、というふうに永田町あるいはメディアの世界では評価されておりましてですね。極めて重要なポジションを甘利さんが占めていると。

TPPその他、経済政策も彼が担っていると言われてるんですけども。そのことのみならず政局的にも、どうも甘利さんはあるグループを率いて党内でも非常に大きな影響力を持ってきたと、こういう見方がされておりますので。

これは、私は今度の話は金額はともかくとしてですね、菅内閣の時に前原さんが外務大臣やってる時にですね、地元の日本国籍の無い在日韓国の方に、たぶん1万円か2万円の寄付を貰ったという事だったと思うんですが。これを当時の野党の自民党が、ものすごい追及してですね、遂に前原さんが外務大臣を辞めざるを得なかったというのを思い出しました。

したがって、この種の話というのは、国会の運営との駆け引きになってくるとですね、なかなかしんどくなると。それで甘利さんのポジションが安倍内閣の中でものすごく大きいだけにですね、これは内閣にとっても深刻な事態になるのではないだろうかと。こういう感じで見ております」

御厨

「分かりました。武村さんいかがでしょう」

武村

「甘利さんに向かってなんですが、もうちょっと人を見て付き合われたらどうですかと言いたいですね。建設業者など大臣室に入れて会うということ自身も、その事だけでもちょっと異様に感じますし。その業者がモノとかカネを大臣室で大臣に差し出すと、それをまた手にするなんて普通ならあり得ないことだと思いますね。

だいたい政治家の事務所の秘書というのは、政治家の姿を見て秘書の仕事をしてますから。政治家が一歩でも半歩でも道を誤ると、いかがわしいことに手を出すと、例えば建設業者とどんどん会うしお金も貰ってるということを秘書はみな知ってますからね、そうすると2倍3倍のことを秘書がやってしまうと。真似するんですよ、皆。事務所全体がそういう体質に簡単に染まってしまいますから。

だから本当にそういう意味では、甘利さんともあろう人が、もう長いキャリアのある政治家がなんでこんな甘いずさんなやり方をしてるんだろうと。ちょっと驚きながら見てます」

御厨

「これからまさにTPPの関連法案の審議や締結手続きなどが始まるタイミングなんですね。これ、進退について様々な見方が出てますけども、仙谷さんどうでしょう。甘利大臣は職務を全うすると言ってますけども」

仙谷

「だからTPPの審議とか経済政策の事から考えるとですね、安倍内閣にとっては大柱ですから、ここで変わられたりするととんでもない停滞が出てくることは間違いないんじゃないでしょうか。特にTPPの国会審議なんかは甘利さんが裏も表も全て仕切ってやってたわけですよね。これを事後に文章とか記録で学習をして答弁をせいって言われてもですね、新しく大臣になった人は大変ですよね。やっぱり経験した者の強みを持ってる甘利さんじゃないと、これはなかなか大変だと思いますね。

僕はしかし、にもかかわらず今度の週刊誌の生々しい報道はですね、その背景、動機がどの辺にあるのか僕はちょっと分からないんだけども、事実としてはなかなか否定しようがないと。事実として否定が出来なければ、政治家としてやっぱり出処進退なるべく早く考える、ということが必要になってくるんじゃないかというふうに思いますね」