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第五七二回('15年11月8日 放送)
 「秋も深まり」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 藤井裕久 氏

御厨

「さあ、賃上げ3%、これ実現するならみんな嬉しいんですけどね。藤井さん、やっぱりこれ無理ですよね」

藤井

「これはですね、経済人が決める事なんですよね。経済界はですね、私はそういう事はやらないと思います。あまり余計なこと言うなって事をいってる経済人もいますのでね。それはやはりね、自分の会社から見てね、それは将来を考えれば無理だという人が大分多いようですね。ということから見てですね、あんまり政府が余計なこと言うなって人が多いですね、経済界の人で」

御厨

「そうですよね。武村さんどうです」

武村

「だから、今の話をちょっと表現を変えますとね、日本という国は、社会主義の計画経済の国じゃありませんよと。自由競争の市場経済の国ですね、安倍さん、と申し上げたい。政府がいちいち数字を挙げてね、経済はああする、こうするって大胆に言えるのかなと、いうふうに思いますね。もう賃上げを2回も3回も安倍さんは会合で強調されていますけどね、それもなかなか中小企業になると、笛吹けど踊らずですよね」

御厨

「なるほど。旧3本の矢の効果ですけども、黒田バズーカと言われた異次元の金融緩和。毎年80兆円もの国債を日銀が市中から買って、流通するお金の量を増やすというものでありました。これもデフレ脱却の2%物価上昇の目標の先延ばしに追い込まれたということですが。藤井さん、どうですかね」

藤井

「まずですね、世論調査でですね、安倍政治になってから、経済は良くなった実感の人はどれだけいるのって言ったら、2%とか3%ですね。悪くなった人どれだけいるのって言ったら30%ですね。変わらないが60%なんですね。ということはね、この超金融緩和政策というのは、何のプラスにもなっていないという事ですね。一部の本当の数限りある人がですね、株を買ってると。それだけなんですね。株なんかおよそ縁のない人がほとんどですから、やっぱり今のような数字は当然出てくるんだろうと思います」

御厨

「武村さんいかがです」

武村

「黒田総裁はお顔を見てるとなかなか迫力がありますから。2年間で2%物価を上げますとおっしゃった時はね、そうかなと私も思ったんですけど。もう2年は済んで、2回延ばしてますから、2年を4年にして2%というふうに言い替えておられますけどね。それとてそうなるのかなと、最近はむしろ疑い深く、素直には信じられない気持で見てますが。物価上昇というのはどうなんでしょうね、日本銀行はそもそもインフレを抑えるための機関ですよね。日本銀行がインフレを起こす主役になるというのは何か自然さを欠くなという感じもしますね」

御厨

「さあ、そして株式市場の話題としては郵政3社の上場がありました。藤井さんどうでしょう、上場すれば効率が求められる事で、過疎地の郵便局の存在の問題であるとか、あるいはそして今回は実は個人投資家が多く買ったといわれてますが。総括してどうでしょう」

藤井

「私はですね、さっきからちょっと触れたようにですね、経済が良くなったから株が上がってるわけじゃなくて、経済に無関係にとにかく金をバラまくことによって上げてるわけですね。前に言ったと思いますが、この70年の歴史の中でね、安倍さんほど株、株って言っている人はいないんです。池田さんがそうだというけれど、嘘ですよ。池田さんはね、所得倍増、月給倍増をやることによって証券市場がどうなるかってことをちゃんと見ておられたんですね。今の人は実体経済の方は見ないで株、株ですからね。これは全く基本が間違っている。その中での郵政ですが、もちろん今、お話のように上場すればそれなりの効果はあると思います。あると思いますが、これがいつまでも上がるとはとても考えられませんし、また株で損する人が出てくるんじゃないかという危惧を私は持ってます」