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第五四六回('15年5月3日 放送)
 「安倍総理アメリカに行く」
 ゲスト: 田中均 氏 / 増田寛也 氏

御厨

「さあそして注目されているのは、日本とアメリカが慎重な、アジアの開発を手がけるいわゆる中国主導のアジアインフラ投資銀行です。田中さん、この銀行についてのアメリカの立場っていうのは、どうなんでしょう」

田中

「これからね、日本にとってもアメリカにとっても、中国とどういうふうに付き合っていくかっていう事が最も大事な課題なんですよね。今まさにおっしゃったけど、中国はアメリカを超すかもしれない。で、日本を見てみればですね、人口はどんどん減っていくわけですよね。それで2050年には1億を下回る人口。2030年からもうマイナス成長だと。その時にアジアというものを共に日本の経済の母体にしていかないと、日本の繁栄ってないんですよね。だから、大事な事を言われたんだけど、アメリカと日本がきちんとルール作りで主導権を取って、それで中国を巻き込んでいくってことなんですよね。それが日本としてやらなければいけない。で、同じような質問が、実は日米首脳会談が行われた後、日本の記者から質問があったんですね。今度の日米の首脳会談とか諸々の事っていうのは全部中国に向いてるんじゃないかと。で、これは中国を刺激するんじゃないかということを質問があった。それに対してオバマ大統領は、いやそんなことはないと。この安全保障体制の強化というのはあくまで防衛的なものだと。ただアメリカは中国と軍事的に経済の面でも政治の面でもしょっちゅう話してると。だから日米の関係を強化すると同時にアメリカは中国との関係を作っていく事をやってますと。こういう事を言ったんですね。だからまさにそれが日本にとっても重要な事であって、いかに中国を巻き込んでいくか。日本にとって中国と共存していくという事が、どう考えても必要な事なんですね。そこで今のAIIBの話が出てきていると。私はね、一刻も早く参加すべきだと思うんですよ。というのはね、日本はADBというひとつの大きな開発銀行を主導しているわけでね、本来このアジアはこの大きなインフラ需要がある。そのインフラを拡大強化していく事が日本の経済にとっても極めて大事な事である。アメリカにとっても極めて大事な事であると。したがって、中に入って、この銀行が透明なものになっていくようにしていく。これは安倍首相がワシントンで言われていること。実に正しい、この銀行っていうのは透明性をもってきちんとしたスタンダードで運営をされていかないとダメなんだと。日本はまだポジションを決めていないということを言っている。オバマ大統領は誤解を解きたいと、アメリカや日本がこれに反対しているわけではないと。良い銀行であれば大歓迎だと、こういうことを言っている。アメリカは議会との関係で入るのが難しいと、だけど日本は中に入って、それでその運営を透明なものにしていくという、私は責務があると思うんですね。だから、是非とも中国と敵対すると言う意識であれば多分やだという事になると思う。だけど中国と敵対して日本の未来はないんですよ。申し訳ないけど」

御厨

「どうでしょう。増田さんはこの日本の対応、この銀行への、どうお考えですか」

増田

「結局今、アメリカと共に見送ってるわけですけども、私はおそらくですね、これについて最終的に色んなタイミングがあってと思うんですが。今のこのタイミングから考えてみると、今入るっていうよりも、むしろ入る時のね、日本はどういった形になったら入るというか、それをきちんと明示をしておくと。要するに日本の考え方を明示してですね、いずれどこかのタイミングで入ってですね、むしろ中でルール作りというか透明性を確保するための運営を、中国が仮に政治的に何かこれを使おうとしたらそれを抑止するようなね、そういう役割を日本はきちんと果たすべき。多分アメリカから見ると、日中の中でどちらがアジアで頼りになるかという、多分アメリカからの見方はそんなところじゃないかと、やっぱりそこはきちんとしたルールに基づいた日本の姿を見せるという事がより日米関係でも大事じゃないかと思いますね」