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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第五四三回('15年4月5日 放送)
 「突入!新年度」
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 片山善博 氏

御厨

「年金は物価の伸びより年金額の支給の伸びを低くするのが、いよいよこの春から始まって実質目減りということですね。増田さんこれはどうですか」

増田

「本来ですと、もっとずっと前からマクロ経済スライドが発動されるはずだったんですが、なかなかこの民主主義の国家でやっぱり選挙で代表者が選ばれると、そうするとやっぱり選挙で負担が多くなるってことは皆さん避けてですね、それでずーっと実施を延期してきた訳ですよね。で、年金財政が本当にもう破綻に近い状況になってですね、やっとこう発動されたのがね。最初、どうしても負担感が増します。思ったほど年金が頂けないってことでね。ただ、本来こういうマクロ経済スライドのようなですね、物価との関係で変動させないと、年金額変動させないと、多分持続可能性というか、これからは高齢者が増えて若い人たちが少なくなってくるんでですね、ですから高齢者の中だけで負担感を見るんではなくて、若い人達がこれからどれだけ年金財政で負担が増えていくのかって事を考えるとどうしてもやっぱりマクロ経済スライドを入れてですね、この負担に耐える社会が必要になるんじゃないかと思いますね」

御厨

「片山さんいかがですか」

片山

「これはね、マクロ経済スライドっていうのはもう何年も前にこの仕組みが出来て、本当にもっと前からやっておくべきだったんですね。年金の持続可能性の事を思いますとね。で、今回初めて発動するんですけど、いかにもタイミングが悪いですよね。去年消費税上がって、今回円安で物価が上がって、そういう時期ですから。本当は本当に経済が上向いて給料も高くなって全体が底上げになって、そういう中でっていうんならまだ局面は違ったんでしょうけども。必ずしも所得は上がらないで、まあ一部は上がってますけども、物価だけが上がってる時に、今回発動したっていうのは、ちょっとタイミングがちぐはぐのような気がしますね」

御厨

「なるほどね、さあそして国民年金では保険料アップということです。増田さん、どうでしょう」

増田

「まったくその、この関係も社会保障全体から言うとどうしても財政の破綻、社会保障財源の厳しさと全体の負担増。で、それをずーっとこれまで先送り先送りしてきて、ですからある時期になったら、一挙に、堪えきれなくてタイミングも何もなしにですね、どんと上げなくちゃいけないと。まあ今までの過去のツケが出て来た事になるんですが。大事なのは、ですからこれから先の絵姿っていうんですかね、社会保障改革まだやらなきゃいけない事色々ある訳で、だから合理化の余地ですね。医療にしても何にしても、例えばレセプトとですね、オンライン化して非効率的なところを直していくとかですね、そういう事色々ありますから、そういったことをきちんとやると言うことじゃないですかね」

御厨

「片山さんどうですか」

片山

「保険料上げなければバランスがとれないと。ですから財政の規律って言いますか、持続可能性を考えればやらなきゃいけないっていうこの律儀さが今回も出てる訳で。これはこれで間違いじゃないんですけど、気になりますのは一方で、他方で地方創生などと言ってですね、いっぱいお金が出て行きますよね。それで本当にその両者を比べた場合、弱い人達の年金とか保険料とか。それから他方で使う自治体なんかが色んな施策で使いますよね、それとの間の優先順位、バランスがいかにもずれているんではないか。一方では非常に律儀な財政節度を守ろうと言いながら、他方ではかなりルーズになってると。このアンバランスが非常に気になりますね」