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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第五四一回('15年3月22日 放送)
 「節目の年に/進む予算審議」
 ゲスト: 石破茂 氏 / 武村正義 氏

御厨

「急ピッチで進んだ集団的自衛権の容認した法律の準備ですけども、今回の合意でなにが変わるのか。この点を石破さんにポイントを分かり易く説明していただきたいと思うのですが」

石破

「ずっと議論されてきたことですよね。先送りされてきたことを今きちんと整理して、解決をしたいって思ってるんですね。例えば、日本の周りでそのまま事態が拡大すれば日本に重大な影響を与える事態がありますと。その時に米軍が活動していますが、それって米軍だけが出てくるんだろうか、オーストラリアとか、ニュージーランドとか、あるいは韓国とか、そういう国も共同で対処していたりしますね」

「今の法律だったらば、アメリカにしか支援ができません。隣で他の国の船が燃料が切れたよとか、あるいは行方不明者が出たよと言う時に、アメリカは支援するけども、他の国は知りません。そういう話にはならないんじゃないでしょうか。あるいは国連の決議があれば活動するというのだけれど、どこか他の国が拒否権使っちゃたら、一国でも拒否権使っちゃたら、そこで人道支援の必要があるのに行かなくても良いんでしょうか。あるいは日本の独立とか安全とか、国民の権利を根底から揺るがしちゃうような事態があった時に、それって日本が直接攻撃されてないから知らないよね、っていう、本当にそれで良いんでしょうかという論点がある訳ですよ。それを法律にこれからキチンと落とし込んで、議会で議論するんだけども、今までと違って拡大する訳ですよ」

「だとすれば、大事なのは国会の承認をどのようにかけるか。政府が勝手にやるんじゃなくて、この場合は出して良い、この場合は出しちゃいけない。そういう説明をきちんと政府がして国会がきちんと議論をするという。国会承認をどうかけるかがこれからのポイントになってくると私自身、報道で承知してますがね」

御厨

「どうでしょう、石破さんはこういうふうにおっしゃいましたが、武村さんはどういうふうにご覧なっていますか」

武村

「まあそれにしても、安全保障の議論が一挙に出てきましたからね。昨年の夏に集団的自衛権が閣議で、私に言わせれば突如、解釈改憲で表へ出てきたという感じがするのですけどね。それは、まあ火事だという風に例えるとその後去年から今年にかけていわゆる後方支援の問題にしろ、一括法の問題にしろ、PKOの問題にしろと、わっと色んなケースが、全部意味はあると思うんですよ」

「でも一挙に出てきたもんですからね、国民の皆さんもこんがらがって非常に分かりづらいんじゃないか。もう少し整理しながら一歩一歩進めるぐらいに政府もですね、取り組んでもらいたいなって。一挙に出すことになにか戦略があるとしますとね、あんまり分からないうちに決めてしまおうと、穿った見方もできますからね、ぜひ国の根幹に関わる大事な問題ですから、ひとつひとつ順を追って整理をしながら取り組んでもらえるとありがたいなと。それから公明党がやっぱり国際法上の正当性とか国会の関与とか、いくつか、3つくらい原則を提示しているのは大変良かったと思いますが、なにかひとつのプリンシプルを立てて、そして個別の生々しい問題を整理してく、そういう姿勢が欲しいなと言う風に思いますね」

御厨

「なるほど、あの、どうなんでしょう今、武村さんがこうおっしゃいましたけども、変更が必要なもの、その理由というのに関してあんまり説明されてないような感じなんですがそこら辺はいかがでしょうか」

石破

「それは安全保障法制ってなんでもそうなんですけど、これは大変だ。いよいよ変えなきゃいけない、てなことになるともう本当に日本にいろいろな危機が迫っている状況なんですよね。その時にバタバタといろんな法律を作っちゃうことの方がよっぽど危ない。このような、今のような時期に丁寧に、丁寧になんでこれが必要なのかってことを国民にご説明するのはとても大事だと思うんです」

「私が防衛の仕事をやっていた頃イラクに自衛隊を出すとか、あるいはインド洋での補給を延長するとか、国民の方々の異論が多かった、色んな事がありました。それはもう丁寧に政府全体で説明もしたし、あるいは街頭に出て演説もした。本当に一人ひとりの方になぜ必要なのかっていうのを分かってもらう、その努力と誠意なくしてこれが出来るはずがないっていうのは、それは我々は良く分かっています。日本の場合には結局自衛隊にこれやって良いいよ、あれやって良いよ、あれもやって良いよって言うのを一つ一つ書かなければいけないっていう法律になっている訳ですよね。それで他の国だとこれだけはやっちゃいかんっていうのが決まっていて後はやって良いんですよ。だから日本の法律の立て方がこういう感じになっているんで一つ一つの説明を政府の責務、与党の責務だと思います」

御厨

「武村さんどうでしょう、今回は政府与党から様々な提案がなされてきて今は与党の中で話し合いが進んできたのですけれども、これずっとこういう状態でいよいよ国会の本格的な論議ということになるんですけれども、どうなんでしょう、その時間的な落差って相当大きいと思うんですけどその辺いかがですか」

武村

「とにかく自衛隊は、今まではね、日本の国が攻められたら戦ってくれるのが自衛隊だった、守ってくれるのが自衛隊だった。こういう風に単純に割り切って日本国民は思っていましたからね。今度は海外へ出ていく、いずれにしても条件があろうと制約があろうとそういうケースを今議論されている訳で、それでも非常に専門的だし難しいんですよね。しかも一挙にいろんなケースがわっと出てきているのは、これは恐らく現場の自衛隊からも出てきていると思います」

「例えばPKOなんかはカンボジアから始まって今、南スーダンまでいくつかの国へ出ていって貴重な経験積んでますから、そういう中でここはこうしたい、こうしたいっていういろんな希望が出てきているんですよね。それはそれなりの正当性もあるんですが、しかし、もうちょっと時間もかけて国民に分かり易くって言うのが私の希望ですね」