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第五四〇回('15年3月15日 放送)
 「戦後70年の節目の日中」
 ゲスト: 丹羽宇一郎 氏 / 増田寛也 氏

御厨

「さあ、そして驚きなのは実は軍事費であります。なんでこんなに巨額になるのか。丹羽さんこれはどういうことでしょう」

丹羽

「あのね、軍事費巨額と言いますけどね、今アメリカの軍事費と中国の軍事費との金額の差はだいたい中国の4倍くらいアメリカなんですよね。それでアメリカがだんとつでありまして、世界全体の軍事費のおよそ37%くらい2位が中国で11%くらいロシアがクリミアの問題がありまして5%、あとですね、フランス、イギリス、ドイツ、日本とだいたいそれでアメリカを除いて中国から10カ国、合計してもアメリカに勝てないんです。だから多い多いと言いましても11%なんですよね。ただしGDPの比率から言うとアメリカが3.3%くらい、中国がだいたい1.5くらいです。日本とかイギリスとか欧州いるとだいたい2.5から3.5・6%。で、ロシアが5%ですね。韓国が2.4・5%初めて韓国が上位に入ったんです。ですからそれほど無茶に増えてる訳じゃない、ただしかし急速に増えてますから中身がどうだっていうと、もう人件費でね十数パーセント上がっている訳ですよ。だから中国全体の人件費と給料が上がってますから、軍人の方も上がってるから、12%も上がってるから、だから武器の装備費じゃなくて人件費というのが結構いっているんじゃないかっていう気もするんです。だからなんとも言えませんですから、軍事費の内容をね、透明度を高めてもらわんといかんね」

御厨

「増田さんはどんなふうにご覧になってますか」

増田

「毎年10%ずつ伸びてきましたよね、ですからその結果が、例えばベトナムとかフィリピンとか、むこうの方ですごく今緊張関係が高まってきていますよね。もちろん日本との尖閣の問題とかいろいろありますよね、周辺国に。非常にその、急激に伸びている事がどうしても脅威を与えてるし、それからあとまだ中身がまだよくわからないと皆さんおっしゃってるんですよね。で、発表されてる軍事費16兆くらいですか、だけじゃなくて他にもいろんな技術開発の予算が入っているんじゃないかってことがあって、どうも中国って言うのは全体で、透明性っていうのですかね、中身が良く分らないという所の不安がやっぱりどんどんどんどん増大していて」

丹羽

「まだ増えますよ。GDPが伸びるにしたがって、明治時代の日本と同じでやっぱり少しずつ伸びてくんじゃないでしょうかね」

御厨

「そうしますとね、やっぱり、日本の国民から見るとやっぱりこれはちょっと脅威になる訳ですよね、これ丹羽さん大丈夫なんでしょうか」

丹羽

「それは、間違いなくそうなんです。だからできるだけ透明度を高めてもらう事と、それからやっぱり周辺国に、あまり刺激的な事をしないようにしてもらわなければならない。それから、やはりアメリカとかそういう所と比べますと、おそらく10年とか15年後にねアメリカを抜くぐらいの軍事費になると思います。それはGDPの比較から言いますとそうなっていく、だからこれはね相当、世界中がウォッチして時々ウォ―ニングを与えていかなきゃいかんと思いますけどね」

御厨

「さあ、日本はですね、集団的自衛権の容認も踏まえた安保法制、安全保障法制の与党協議が進んでいる訳ですけども当然中国への対応が念頭にあるわけですけど軍事力による抑止力については丹羽さんはどうお考えでしょうか」

丹羽

「集団的自衛権とか今、いろいろと出てきていますよね、基本的にはね、できるだけ戦争に近付かないように近付かないように、そういう努力を日本としてはしてですね、やっぱり70周年の問題もありますから、そういう憲法の3原則は守るような方向で進めていく必要がありますよね。そうしないとあちこちの国に刺激的な対応を呼ぶんじゃないかとちょっと心配しています」

御厨

「増田さん、いかがですか」

増田

「平和を誰しも望む訳でね、せっかく70年続いたこういう期間は大事にしていかんと思うんですよね。その間に、国際情勢が非常に国家のですね、国家の対立というよりかは民族間の対立というか宗教とか、それからあと非常にグローバルな枠組みの中で民族紛争を抑えるような仕組みが出来てきてますよね。ですから昔のように典型的な国と国同士の戦いというよりはむき出しの軍事力よりは軍事力だけみたら圧倒的アメリカの方が強い訳ですよね。局地戦をどうやって抑えていくかって、それにはある程度国際的な枠組みの中で集団的にそれを抑るということは必要ではないかなと思います。ただ、議論はキチンとしないと、ですから連休明けに国会でいろんな法制が出てくるんでしょうけど、そこでの目に見えた議論が大事ですよ」