時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第五〇九回('14年8月3日 放送)
 「今年も、また8月がやって来て」
  〜これだけは言っておく〜
 ゲスト: 野中広務 氏 / 古賀誠 氏

御厨

「さあ野中さん。武器輸出三原則が見直されて、ミサイル部品の海外輸出も承認されたと。野中さん、これ、どうですか」

野中

「本当はね、最初にもう一つあったんですよね。それは去年の秋、安倍総理とトルコの首相が協定を結んで、エンジンの納入を日本がするという協定が、なんかその中東をはじめとする問題と、むしろ中国も関係したかとか分かりませんが、そういう問題で向こうからキャンセルされたんですよ。それが第一で、今説明があったアメリカとイギリスは二番目の問題ですが、この二つが今回認められたという事なんですね。まあこれも海外に使うわけですからね、アメリカ自身が使うわけじゃないんだ。そういうところに、これから我が国の武器が出て行くと言うのが本当に平和国家を目指してきた日本のあり方として正しいのかどうかというと、私は大変な疑問と不安を感じます」

御厨

「いかがですか古賀さん」

古賀

「平和主義国家というものをずっと戦後守り抜いてきて、その中のひとつにこの武器輸出三原則っていうのがあったのは事実ですね。30数年間守り続けてきたものが、なんかあっという間にそれが覆されると。堰を切ったようにですね、防衛大臣はじめ政府がトップセールスになるなんていうのはとても僕らには感覚的に合いません。非常に残念だと思いますね。仮にそうであっても、そっとね、こういうのは静かにやるべきだと思いますね。政府がトップセールスを自ら買って出るなんて、私はちょっと。平和主義国家を目指してきた国として残念な気がします」

御厨

「野中さんも先ほどちらっとおっしゃっていた、アメリカのミサイルメーカーに納入されて、完成品は中東のカタールに輸出されると。これをやっぱり国際協力と言えるのかどうかって事ですけど。どうですか」

野中

「非常に問題があると思うんですよ。相手がアメリカだからって、アメリカが使う訳じゃないですからね」

御厨

「古賀さんはその点いかがですか」

古賀

「全く同じだと思いますね。条件はついておりますけど、形はアメリカという事ですけど、全然違う国に行っちゃうと。これはね、非常に大きな問題です」

御厨

「今回は戦闘機に積む空対空ミサイルをイギリスと共同開発する事も決めていると。なんとなくドンドン変わっていってるという感じがありますが、どうでしょう」

野中

「7月1日の集団的自衛権の閣議決定以来ね、この国の形がどんどんどんどん変わっていくんですよね。その事に非常に国民は不安を感じて、これに対して国民が行動で表したのが滋賀県の知事選挙だと私は思っているんですよ。だからそういうことが、だんだん国民の中に分かってくるのがこれからなんだ。ところがそれをですね、国民の厳しいまなざしが出てきたからと言って、次の国会は法案も何も出さないで、地方統一選挙が済んでから法案をやるんだというね、非常に我が国にとっていかにしてあの閣議決定が重大なもんであったかをですね、分からないままにずっといってしまうような危険がまた内在してきておると私は心配するんです」

御厨

「その点、古賀さんはいかがですか」

古賀

「やっぱりずっと言い続けてきましたけども、政府与党の議論も国会の審議もですね、言葉だとか表現の議論では私は集団的自衛権というのはないと思うんですね。最終的には国民の覚悟が出来るかどうかという事でしょ。ということは、国民に説明して国民に理解してもらうという努力が必要ですね。残念ながら政府与党の議論もそれが足りない。今おっしゃってるように国会の審議も地方選挙の後。これは政治の大道に外れると思いますね。国民が一番不安に思っているし、また国民に覚悟を求める以上、国民に理解して頂ける努力をすること。これが今、政府与党に与えられている責務だと思っています。しっかりやっぱり国民に説明する必要があると思いますね」