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第五〇〇回('14年5月25日 放送)
 どうする「国の守り」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 増田寛也 氏

御厨

「これまでの政府の解釈では、憲法では禁止をされていた訳ですね。この攻撃されなくても攻撃できると言う集団的自衛権を行使できるように、憲法の解釈を変えようと、こういう動きなんですね。野中さんがそれをどうお考えになってるか、今まで野中さんは官房長官として、そして自民党幹事長としてこれらの問題に深く関わってきたという事があるんですが、いかがでしょうか」

野中

「私はね、今日ほど私の人生を通じてね、憲法と言うのがこれほど問題になった時期はないと思うんですね。それだけに憲法は十二分に検討されなくてはならないと思ってるんです。したがって憲法と言うのは解釈で決定すべきもんではない。

けれども、この間から安倍総理が自分の都合の良い答えを出してくれるような人をね、有識者と言う位置付けで懇談会を設けて答申を得られましたけども。あの中でですね、私どもに、あの委員会は政権の飾り物やったん違うかと。私どもに詳細に説明がなかったとか、あるいはね行ったらすぐ説明書を渡して、その説明書は取り上げられてメモで書いてくれと言われたとかね、色んな意見が出席した委員さんからも聞こえてきました。

したがってですね、あの意見と言うのは十二分に検討されて、そして安倍総理が説明したあのふたつの図面と言うのは中々矛盾に満ちておるし、一方でですね、非常にこれを政党間、与党間の協議にしようと言う訳ですが。

私はね、若い時から宗教団体の動きに非常に興味を持ってまして、例えば私どもの地元の大本教とか、あるいは救世教とか、ヤマギシ会とか色んな団体に自分も一週間ぐらい泊まり込んで行って勉強しましたからね。その時の事を思い起こすとですね、今、創価学会の池田名誉会長がですね、特に沖縄でですね、元気な時に月に一回ぐらいと言っても過言ではないほど行ってですね。一生懸命平和を説いておられたことをね、今本当に当時の状況を思い起こすんですよ。だから今度の創価学会が政教分離と言いながらですね、特に憲法について発言をしたと言うのは非常に大きな問題があると思うんですね。

したがって与党協議においてもですね、憲法に触れないで解釈でこれを変えていく、変えていってこれを集団的自衛権として行使した時には必ずですね…安倍さんは皆さんの子どもさんや親たちを私が守らなければいけないんだ、国民の命と暮らしを守るんだと情緒的に言っておられましたけどもね、しかし、攻撃すれば必ず攻撃されるんですよ。過去の戦争はそのために多くの犠牲者を出して戦争に負けた訳。来年で70年、この70年と言うのは、敵の攻撃を受けないで犠牲を出さないでやってきたという大きな証拠になってる訳ですから、そんなに簡単に憲法に触れてもらいたくはないと思ってるんです。解釈は言外の問題だと私は思ってます」

御厨

「なるほど、増田さんいかがですか」

増田

「この自衛権の中で、個別的自衛権と集団的自衛権とね、両方含んだものとして自衛権どこでも各国が有していて。それを集団的自衛権の行使を禁じているという従来の解釈は日本にとって特有のですね、日本の日本国憲法の価値あらしめていたものと。

ですからその問題、要するに自衛権をどういうふうに考えるかと、それから一方、もうひとつ憲法を解釈と言う形でですね、従来の考え方を変えて良いのかっていうふたつの問題が、この問題にあってですね。

私は要するに従来の考え方を変えるんであれば、今出てきている様々な具体的なケースが個別的自衛権で本当にカバーできないものなのかどうか、その限界はどこにあるのかというですね。そこのところを丁寧にやっぱり明らかにすることが、今一番大事な事ではないかと思うんですよね。

やっぱり憲法問題というのは国民にとってなかなか馴染みのない問題ですから、時間をかけてとにかく丁寧に丁寧にやらなければ、この問題っていうのはやっぱり、それだけ価値のある大事な問題ではないかなと思います」