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過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第四八四回('14年1月26日 放送)
 どうも「ガタガタ」と…、突入「首都決戦」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 丹羽宇一郎 氏

御厨

「若い人の間でね、靖国参拝に賛成する意見が多いと。とくに戦争で国のために亡くなった人をお参りするのに海外から干渉される言われは無いという考えが結構出ているようなんです。この点いかがでしょう」

武村

「戦争を知らない世代だからそういう世論になっているのかなと思いますが。前回、正月の番組でも申し上げましたが、私は日本の戦争を指導したリーダーがA級戦犯として裁かれて、その人達が靖国神社に祀られている事が問題なんで、その祀られてる靖国神社に今の総理大臣が堂々とお参りすると、そこにやっぱり異を唱えているんだと、思いますと。何故かと言うと、やっぱりあの第2次世界大戦、日本が関わった太平洋戦争なるものが、段々と遠くに行っちゃって若い日本国民には知らされてないというか。ましてや戦争前の日中戦争と言うのが10年近くあったんですけど、あの事は私なんかもほとんど習ってないしですね、本で読んだくらいで、もうひとつ認識がきちっとできてないです。日中戦争でどれだけの人が犠牲になったのか、日本人の犠牲もありますが中国人をどれだけ殺したのかとか、どれだけ家を焼いたのかとか言われてもわからない、南京虐殺事件でも確たる数字は分からない。

で、ああいう事が分からないままに靖国に参る事が賛成とか反対とか単純に本当は答えるべきじゃないと思いますが、若い人は割合単純に素直に答えると。で、安倍さんはそこは若くないんだから、知っているはずなんですけどね、やっぱり第二次世界大戦で戦勝国が作った世界の秩序に安倍さんの靖国参拝は異を唱えているような印象を与えているんじゃないですか。世界にそういう意味では波紋を投げかけているんで、連合国の判断がすべて正しい訳じゃありませんけどね、その上で戦後の秩序が成り立って、国連も全部出来あがってますから。何か日本の総理大臣の行動が非常に奇異に映っているというふうに思いますね」

御厨

「中国でいわゆる安重根記念館というものが開設されました。日本から見ますと、伊藤博文を暗殺したという人物な訳でありまして、何故今こういう記念館が建つのかということですね。これ、丹羽さんはどうご覧になってます」

丹羽

「安重根さんはですね、国の歴史的な認識によっては暗殺者であったり、英雄であったりするんですね。それをね、彼は英雄だと言う事を一方的に日本にも理解してくれと、それは無理ですよね。日本から見ればやはり暗殺者なんです、ところが韓国から見れば英雄だと。それはそれで良いんでしょうけども、国によって違って当然だと思うんですよ。

ただしかしながら、それをよその国にまで行って喧伝をする、ということは敵対的行為ですよね、一種の。これから友好関係を築いていかなきゃいけない日中、あるいは日韓の首脳がですね、それに対して敵対的行為をとるということは大変残念な事ですね、やはり十分反省をして頂きたいと私は思います。日本人として当然の事だと思いますね」

御厨

「丹羽さんにもう一点だけ、とにかく日中関係、かなり対立深刻化という感じに見えるんですが、こういう状況で中国でのビジネス展開と言うのはどうなるんでしょう」

丹羽

「やはり私が思いますに、習近平と安倍さんの信頼関係がですね、やはりヒビが入っているということが一番でかいですね。そしてこの経済関係におきましてもね、出来るだけ両国の首脳が現在のままの状況であればね、凍結ですね。特に政府間の話し合い、あるいは政府間のいろんな事業は凍結の考えを強めてるんではないかと。したがってこれはけして良い影響は経済関係にも及ぼさない。したがって日本の経済界としてはやはり、中国の14億の市場を無視してる間に、韓国とドイツと、アメリカがですね、どんどん中国に近寄ってる訳ですね。だからまあ漁夫の利とは言いませんけども、それをですね、日本がだまって見ててはいけない。

経済界も安倍総理に対して出来るだけ早く日中の間が正常に戻るようにね、努力をしなきゃいけない。パククネさんのようにですね、敵対的な行為をしちゃいかん。両国の間を友好に維持していけばアジアの発展にも世界の発展にもつながるし、日本の経済にも良いわけだから、その努力をするように私は要望したいですね」