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第四七七回('13年12月8日 放送)
 「今、日本にとって一番大切なこと」
 〜「沈黙」の中、どんどん「変化」が…
 ゲスト: 与謝野馨 氏 / 藤井裕久 氏

御厨

「さあ、この法律を与謝野さんはどうお考えでしょう。問題点があるとすればどんな点でしょう」

与謝野

「ふたつ申し上げたいんですけど、9・11以降、適正手続きに関する条文、考え方っていうものが各国でないがしろにされてきた。とくにアメリカでは、テロっていう名前が付けば令状もいらないと。お前来いって言って、オイこら警察みたいのが出来ちゃった。イギリスは無令状だ、中国は判決がおりたら一日二日で公開処刑だ。そういう中で、やっぱり日本の刑法とか刑事訴訟法ってのは非常に精密に出来ていて、人々の人権を守る、私は素晴らしい物を実は持っているのに、こんなまた訳の分からない法律を作って、アメリカから戦闘機を買うんだけど、秘密が守れなければ困ると、具体的な問題に対応するのは良いんですけど、ぶわっと投網をかけるようなのはよした方が良いんじゃないかと思ったり」

御厨

「藤井さんはいかがでしょう」

藤井

「まずですね、選挙の結果ね、これだけ多数をとった事に伴う暴挙ですよ、こういう事はね。奢りそのものだと私は思ってます。まずこの法律を出す時にね、言いにくいけどね、担当大臣どうしてあんな人にするんですか。これね、国家間の問題なんですよ、弁護士さんの法律問題だけじゃないんですね。そしてそういう方が出たから色々言い方を変えちゃうわけですね。ですからその事がまた国民の不信を買ってますし、今さっき出た国連の高等弁務官も含めてですね、つまり世界の知性派が皆怒ってるんだと思うんですよ。私はそういう意味で絶対にこれは許しちゃいけないというふうに思っています。もっと慎重に審議すべきだったと思ってます」

御厨

「そうなんですね、そもそもアメリカから機密情報の提供を受けるには、日本での秘密が漏れないようにする必要がある、そういう説明だったんですね。ならば受けた情報を漏らす事だけ罰則にすればいいようなものなんですが、どうもお役人がこの機に乗じて、先ほど与謝野さんがおっしゃったように範囲を広げちゃって、そもそもの趣旨が変わってしまったようにも思えるんですけど、与謝野さんはどうでしょう」

与謝野

「思い出して頂くとお分かり頂けるんですけど、今から20年前か25年前に、スパイ防止法っていう法律を作った。それで、なんとか法律にしようと自民党の中でも随分シンパが出来たんだけど、やっぱり良くはないよと、こんな法律は。それで、そのスパイ防止法っていう法律は全然実現しなかった。今回の特定秘密の法案ってのは流れとしてはスパイ防止法の流れなんで、私は嫌だなと、これは。現職だったら反対するだろうなと自分で思ってます」

御厨

「なるほど、藤井さんいかがですか」

藤井

「私も同じような感じを思っておりますしですね、要するに組織と言うものは、みんな身内のことは秘密にしたがるんですよ。これは役人だけじゃありませんよ、会社だってそうなんですよ。だけれどもですね、役人は特にそうですからね、各大臣にそういう何が秘密かって権限与えるってんでしょ、これはダメですね、完全に秘密を広げますね。私も実例で言いますとね、今から40何年前にね、日中講和条約出来たでしょ。その時に周恩来が言った言葉がある訳ですよ。それはね、尖閣の問題なんてやめときましょうと。あれは大体その近所の海底から石油が出たからやり出した話でしょうとまで言ってるんですよ。それが秘密になってるんですよ、極秘になってるんですよ。それで40年間、平成23年まで秘密なんですよ。どうしてそれが40年近く秘密である必要があるかと。その1つ見てもですね、役所は必ず秘密を増大させます」

御厨

「なるほど、与謝野さんにお伺いしたいんですけども、今回の審議、最後の所でバタバタと第三者機関の設置。これが昨日は3つくらい出てきたんですけども、こういう審議のされ方って、どうご覧になります」

与謝野

「国政のチェック機関と言うかな、国会じゃなきゃいけないんですよ。だって我々国会議員やってる時は国民の代表だったんだから、国民の代表がチェックするというのが本筋。もしそれがダメだったら、やっぱり完全に党派的な動きをしない中立純粋な人を選ぶってのが無いと、御用委員ばかりできちゃって本当にチェックするなんてことしなくなっちゃう」