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第四七四回('13年11月17日 放送)
 「イロイロ進む『臨時国会法案』続々」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 古賀誠 氏

御厨

「まず最初に野中さんにお聞きしたいのは、この法案にしても集団的自衛権にしても、アメリカとの同盟関係を深めようという議論、これがどんどん進んでいるということ。これ、どうお感じになります」

野中

「どうしてね、今、この法律がいるのか、私はそれが分からないんですよ。秘密は秘密にしときゃいいんですよ。どうしてそれを保護しなきゃ守れないんですか。私はね、古い人間ですから。こう言う問題が出てきたら、戦争の足音が聞こえてくるんですよ。かつて戦争を始めた時にも国家総動員法を始めとして、やっぱり戦争に突き進んでいく法律が次から次へと出てきた。そのことを思うとね、なぜ今、秘密を秘密としておいたらいいものを保護しなければならない。どう内容はどうなんだ。そういう中で、報道に配慮するとか、国民の知る権利に配慮するとかそういう事だけで問題が処理できるのかと思うと、何故今、これを無理に通さなくてはならないのかと言う大きな疑問にぶつかるんですよね。現職で私はおりませんから、非常に古い人間の感覚かも分かりませんけども、なんかこの法律は恐ろしい方向へと一歩一歩進んでいく、そういう危険を感じて仕方がないんです」

御厨

「どうでしょう、古賀さんはどういうふうにお感じでしょう」

古賀

「僕はね、ちょっと角度が変わった見かたをしますとね、確かに野中先生おっしゃるように、今なぜこんなに急いでやらなきゃいけないのかというのは全く同じ考えです。そんなに今日明日、ということではない。もっと大事なものがいっぱいあると思いますね、今国会で議論すべき課題は。ただこの設定がですね、特定秘密保護法というのはですね、国民を縛るんじゃなくて官僚を縛ると、こちらの方に議論をもう少しやるべきではないかと。水面下に出てきてるやつを隠すというんではなくて、官僚の世界の中では水面下でもう隠してるんですね、すでに。それをですね、そのままほったらかしたり、地下に埋めたりと、そういう事のないようにするんだと。僕は日米同盟を強化するということだけではなくて、むしろそっちの観点から、しっかり議論すべき問題ではないかなと、いうふうに思ってるんです。ただ悪戯に国民の方がですね、今、野中先生がおっしゃって頂いてるように、戦前の色んな難しい国民を縛りつけてきた法案とごっちゃになっちゃって、国民の方がむしろ必要以上の恐怖感になっちゃって。そうじゃなくて、官僚がやっちゃいけないことをね、これはダメですよと。それをやったらかなりの罰則も科して、これから是正しますよと、官僚の恣意的なですね、考え方をむしろ変えていくと、こういう議論がもう少し行われないと本来の趣旨から反してくるんじゃないかと思いますね」

御厨

「なるほどね、野中さん、どうなんでしょうか。結局、漏らしたりそそのかしたりすると処罰される特定秘密の指定ですね。指定を大臣等の判断に委ねるという訳ですね。なんだか基準が曖昧な気がするんですけど、その点どういうふうにお考えでしょう」

野中

「これだけね、ネットの発達した時期にね、こういう法律を作るというのは、より狭い範囲で物事を捕捉して、罪人を作っていく。そういう怖さを持っていると思うんですね。だから現在の情報社会に対応したような秘密っていうのは完全に保護されておる訳ですから。そういうものをネットで出そうが法律で作るまいが一緒なんで、善良な人達が罰せられたり、そういう事にいきかねない。そういう危険があると思いますよ」

御厨

「古賀さん、どうなんでしょうか。何を秘密にするかっていうことで実は議会でも大臣や与党幹部の発言がかなり迷走してますね。この点どうなんでしょうか」

古賀

「つい先ごろですけど、防衛大臣が防衛機密を隠してはダメですよという通達を出しましたね、これが本来の姿なんですね。こういう法律とか何とかというのをですね、今急いでやることではなくて、トップの大臣の姿勢というものが、きちっと正しく作用すれば十分な事ではないかと。むしろ悪戯に国民に不安を与える法律であることは間違いないですね」