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第四六七回('13年9月29日 放送)
 「オリンピック」がやってくる
 ゲスト: 森喜朗 氏 / 渡部恒三 氏

御厨

「今の消費税の問題。税率を3%増やす一方で復興法人税の廃止を前倒しすると、来年から廃止するということになるんですが、この個人の所得税の復興税はそのままとなりますので、その辺で若干色々と問題があるようですが」

渡部

「消費税作る時、竹下内閣で、安倍総理のお父さんが幹事長、で私は国体委員長で、まあ二人でつくったんですよ。これは税金取られて喜ぶ人一人もいないからね、これは非常に厳しい批判を覚悟でやったよ。竹下内閣の支持率も6%くらいになっちゃったくらい。

しかしあの時に、今でも私、後悔してるのはね、私はね、国民の皆さんにこの消費税お願いするのは、少子高齢化、今、年金・健康保険・介護、これを納める若い人がドンドンこれから減っていって、受給を受けるものはドンドン増えていくんだから、今のままで社会保障なんかできっこないんだから、だからもう国民の皆さんは将来に不安なんだ。だから消費税を福祉目的税にする。消費税は全部社会福祉に使いますと、そして、そんならもうどんな少子高齢化がやってきても俺たち心配ないんだということにすれば。今、金ないないって言っているけど、高齢者1300兆貯金持ってるんですから。これ皆不安で金使わない、これもうこの消費税の引き上げで将来の社会保障の心配ないっていうことになれば、これかなり使うんだから、これだけで景気対策になるんですよ。つまり1300兆の貯金の一割使うんだから。大変なものだ。

ところがね、今、安倍君の話聞いてるとね、なんか人気取り人気取りだけ考えてね、この消費税の引き上げ分の1%を何か人気取りに使うなんてなんか、公共事業を増やすだって、なんか引き上げの趣旨が訳わかんなくなってくるんだよ。そうなるとね、私もやっぱり国会議員やってると、まあ森さんも一緒に辞めたけど、やってると、国民の声を知ってるような顔して演説してるけど、本当は知らないんだなあって思ったのは、私初めて辞めて国民の生活知りました。

今ね、地方に行くとね、10万円で生活してる人いっぱいいるんですよ。もう20万円で生活してるのは良いほうなんですよ。そういう人たちにとって、消費税10%上がることは大変なことです。ところがそういうことを地方とね、今東京のオリンピックで東京はドンドン…しますが、今わたし地方へ行くと、もう僕が45年前にお世話になったところを今歩いてるんです。最初にお世話になった時はどこへいっても10人くらい着て、ああ恒三さん来たっていってね。大きな屋敷と大きな家はそのままなんですが、行くと人一人いないんです。大きな声で呼んでやっとおじいちゃんとかおばあちゃん一人二人出てくるんでね、こういう地方の状態ね、続いていったら10年後に東京だけになっちゃいます日本は。そういうのを安倍総理には真剣に考えてもらいたい。また私、税の問題ずいぶん勉強したつもりで知らなかった。今女房に毎日文句言われるの。あの介護の費用がみんな年金から差し引かれるって。やっぱり庶民の声を聞いてもらいたいな、安倍総理」

御厨

「わかりました、森さんはいかがですか」

「やっぱり国際国家日本であってね、だんだん国際的な基準はやっぱり日本だけ特別というわけには行かないですね。ですから法人税の話もそうだろうと思いますし、外国並みにというという気持ちもあるでしょう。消費税はヨーロッパ見てもどこ見ても常識なんですね。特に北欧の方行けばより手厚く、保障はされるけど税金もものすごく取られてますね。そういうのは日本の国民もだんだん慣れていかなきゃいかんと思います。

ただ今、竹下さんの話出ましたけど、消費税やると竹下さんも消費税を設定して内閣をつぶしちゃった。それからその次、橋本さんがやっぱり内閣をやめざるを得なくなった。こんどの8、10という新しい増税は野田さんがやったんですね。結局野田さんも内閣をこれによって犠牲にしたと。それからこの消費税を国民の皆さんに広くご協力いただくということは、まさに政治家にとって身を挺して、そして制度を生むと言う事なんでしょう。それだけの重いものであり、また価値のあるもの。それだけ有益なものっていうふうにしなきゃいけないと思います。

だから安倍さんも元々この今回の消費税の流れは、最初は自民党が言いだしたことです。そして、野田さんがそれをフォローして立派に安住くんと協力してやられたんです。私は立派だと思いますよ。それを今度は無駄にしたら安倍さんの価値なくなっちゃいますね。これはやっぱりしっかり仕上げると。形は8であれ10であれ、1・1にするなり、これはまあいろんな方法あるようですけど、とにかくこれを実現させるって言うことが、これまでの皆の血がにじむような努力。内閣ひとつふたつ潰してまでやって来たっていうこと。それはさっき恒三さんが言われた日本の国の安定した社会保障と、いうことを考えたらここはどうしても、やはり国際的な基準に合うようにしていかなきゃいけないと。それは私はやっぱり大事な生みの苦しみだと思う。

で安倍さんはそれをやると思うし、恒三さんが言われたように彼ほど地方を歩いている人いないし、時間があれば世界も歩きますが地方も歩いてます。まあ外国から疲れて帰ってきて、周りが休めといってもまた福島に飛んでいく。その点は彼はやっぱり若いし、素直ですよ安倍さん。それがまた人気にもなってるんでこのまあ辛いだろうけどペースを崩さないようにして、しっかり国民に理解を求めるように説明していくことだと思います」