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第四六一回('13年8月18日 放送)
 「猛暑にて」
 ゲスト: 藤井裕久 氏 / 片山善博 氏

御厨

「(消費税を)引き上げた場合のデメリット、見送った場合のデメリット。どちらのほうが大きいんでしょう。藤井さんいかがですか」

藤井

「さっきの先送りした場合のデメリットというので、もう私の言おうとしたことは全部言われてますから繰り返しません。繰り返しませんが、ですね。要するになんというかそのデメリットの中に猛烈な金利の上昇があるってことなんですよ。この金利の上昇というものはね、完全に経済にマイナスに響く訳ですね。

それからもうひとつは、IMFが言ってることですがね。今世界の非常なリスクはね、アメリカと中国と日本の経済政策だと、いうことを言っている訳です。つまり、ちゃんと財政をキレイにするということは財政至上主義じゃないんだと、そうじゃなくて日本の経済そのものを良くするか悪くするかの問題なんだから、そこに今非常な問題が日本にもあるんだということをIMFが言っていると。このことはやっぱり謙虚に受け止めなきゃいけないと私は思ってます」

御厨

「藤井さんは今こうおっしゃったんですが、片山さん。上げれば景気が後退するのは確実だというふうに言われている中で、要はそれを乗り越えられるかどうかという話ですがこの辺どうでしょう」

片山

「それが一番ポイントだと思うんですね。消費税を上げるというのは法律で決めてますから、何もなければその方針で行くことになる訳ですけども。まあそこに一抹の懸念があって景気条項というのを盛り込んだ訳ですね、当時。それが今回の秋の判断になるわけですけども、一番最悪のコースっていうのは消費税を上げて、景気が落ち込んでトータルとしての税収は減ってしまいましたと。これが一番最悪ですよね。

それで、消費税上げることは国際公約だとか、それから消費税を上げることで財政再建の姿勢を示すんだとか。これはそうなんですけど、一番基本は税率を上げることじゃなくて税収を増やすことですよね。税収を増やして財政を健全化することですから、そこのメドがたつかどうかっていうこれの判断だと思うんですね。それがちゃんとたつんであれば消費税上げたら良いと思うんですけども。まあ橋本内閣の時の平成9年の時に、消費税を上げて、それから所得税も実質上がって、その他もろもろ社会保障の負担も増えて、結果的に失速しましたっていうのがありましたから、その二の舞にならないように良く見極めなきゃいけないですね」

御厨

「もうひとつ片山さんに伺いたいのは、安倍総理は財務省に安易にフリーハンドを持たせないようにですね、駆け引きをしているんではないかという説もありますが、この点はいかがでしょう」

片山

「まあこれはね、お役人のほうが周到に、だんだんだんだん追い込むようなことをやるんですよ。例えば長期財政見通しなんかの時に、もうそこで消費税を予定通り上げるっていうことを前提した見通しを作って、それで承認すると後はもう軌道修正できないようなことをやりますから。それに対してそうはさせないよって言うのが前回の長期財政見通しの時に消費税率を盛り込まなかったということだろうと思いますね。そういう攻防あると思いますね」

御厨

「藤井さんにもうひとつお聞きしたいのは、安倍総理がしかし、少し曖昧な表現を始めちゃったと、いうことで。いったんはもちろん先ほども出たように、法律はできてる訳ですよね。だけどもここに来て国民の間に消費増税先送りっていう期待が若干出てきているようなきらいもあるんですけども、藤井さんはどうお考えでしょう」

藤井

「まずですね、1997年の経済と消費税の関係を良く見てもらいたいんですよ。まず、97年の4月に消費税が上がりましたね。その前の3ヶ月は経済は伸びていました、その後が落ちました。それは何で落ちたかというと、前倒しでやった分が落ちたというだけですね。それが故にですね、7、9から12にかけて、97年のですよ、けして落ちてないんですよ。で、98年の2四半期まで落ちたんですよ。

これは何だと、これはもう明らかにどなたも学者さんたち言ってらっしゃるようにですね、不良債権の処理が進まなかった、もうひとつはアジアの金融危機があったと。だから要するに分けて考えなきゃいけないんだと。98年の、1、2四半期がものすごくマイナスになってるんですよ、それは今のふたつなんです。消費税じゃないんです、消費税は乗り越えちゃってたんです、その時。3から5ですけどね。私はそういうことはいろんな方に申し上げてます」