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第四六〇回('13年8月4日 放送)
 「戦いすんで、スタート“一強時代”」
 ゲスト: 野中広務 氏 / 古賀誠 氏

御厨

「隣の超大国」である中国との関係改善ですね、これをこれからどうやって改善したらいいと考えますか」

野中

「私が発言した後で、いろいろ議論はありましたけども、元外務次官やった内閣府の参与やってる谷内正太郎君が、特使として静かに非公式で行って。2回くらい行ってると思いますよ。その後こないだ斎木次官が行って、両次官が会い、また王外務大臣に長時間にわたって話が出来たっていうのはね、やっぱりそういう方向に持っていく以外にですね、この中国なり韓国という一番大事な国々と今のような状況ではどうにもなりませんし、安倍総理が毎日毎日のように行動して積極的な外交をやっておられるけれども、何か見てると中国や韓国にこれでもかこれでもかと言わんようなね、そういう包囲網を作るんじゃないかと言う感じを受ける、そういう外交日程をこなしておられますよ。

そして一方では対話を受けるんだというメッセージを出しておられます。そうすると中におる外務省をはじめとする外交当局はなんとかそういうのだけで道を開いていかなきゃならない。そういうことを考えた時に私はやっぱり尖閣のこの争いを一時棚上げして、それこそ凍結して、不戦の誓いをしなきゃ41年前の日中国交正常化の共同声明、あるいは35年前の条約の制定の精神に反すると思うんですよ」

古賀

「なかなか難しい問題ですよね。まあ交流を深めていくというのはどのチャンネルでも盛んにやるべきだと思いますね。両国の関係が冷えてれば冷えてるほどね、どんな小さな繋がりでもやはりお互いの交流を閉ざしてはいけないと思いますね。

そう言う意味では6月、野中先生を団長として訪中が出来たと。そして様々な方々と、おそらくナンバーファイブ、あれ5位って言ってましたかね。劉雲山なんていう、ああいう人たちとお会いした人、まだ誰もいないんじゃないですかね。そういうことで成果を上げることが出来たと。それは何も国会議員同士の交流だけじゃなくて民間もあるし、地域交流もあるし、色んなルートがあると思うんですね。こういう時だからこそ、そうした交流を閉ざさないように努力していくと言うことだと思います。

ひとつだけね、やっぱり今お話があった尖閣の棚上げ論と言うのはね、これはちょっと僕は野中先生とは考えが違って。そう言うことを前提としたね、日中の首脳会談と言うのは、私は難しいんじゃないかと。お互いの国の歴史と違うところは認めていかないといけない。それを呑み込んだ上で私は日中間の外交を正常化していくと、言う意味ではね。これありきだよっていうものが何かひとつあるとそれが棚上げ論であれ何であれね、その時その時の現実を踏まえた中で一番良い選択と言うのが国交正常化の時のひとつの選択であったと。今それが通用するのかと言うことは、よほど私どもが考えなくてはいけない難しい問題だろうと思いますね」

御厨

「サッカー(日韓戦)の試合でも国民同士がいがみ合うと言う、こういった状況ですね。どうお考えですか」

野中

「競技がフェアでない結果を出したと言うことは残念だと思います。それは政治がですね、正面からこの歴史について行動しようとしないから、スポーツ団体まで民族的な意識が出てくる。そこを考えなければいけないし、やっぱり私は中国がね、2兆7000億という教育費を出しとる。7000億の軍事費の3倍出してるんですよ、教育費を。したがってやっぱり国民の教育、さらに国民の歴史的な教育をしっかりやっておかなければね、国会議員の中に戦後生まれが89%までが戦後生まれになった。そうなった時に徹底した教育をやって、他国、特に近隣諸国のあの戦争で迷惑を受けた所に心と感情が本当に伝わるように、そして日本の反省がそのまま映るように日本がやっていかなければ、日本がなんのために大きな犠牲を払ったのか分かりませんよ。死んでいった人が可哀想だ」

古賀

「教育費についての重要性は先生がおっしゃったとおりですね、ただスポーツの祭典で、ああした垂れ幕を出す。その国自身が恥ずべきことだと思いますね。あってはならないことだと思います」